思春期の男の子への性教育、家庭でどこまですべき?

中野日出美
2023.10.05 15:44 2023.05.17 11:50

ネット情報を鵜吞みにする危険性も

ネット情報を鵜吞みにする10代

性器や体毛の発育、精通、性衝動などに戸惑い、「自分は異常ではないか」と不安やコンプレックスを抱えている……。

そんな男の子たちが頼りにしてしまうのが「ネット情報」です。

しかし、ネットの情報には、往々にして間違っているものや過激なもの、歪んだ性行動を推奨しているものが氾濫しています。

それでは本来、体を使った最たる愛情表現であるセックスの本質を、はき違えてしまうかもしれません。

現代では、ネットやアニメの世界の女の子にしか興味をもてなくなり、実世界の大人の女性とは怖くてつき合えない男性が増えています。

また、母親の過保護や過干渉、愛情過多で育った男性は、精神的、肉体的に大人の男になれず、恋人にも母親の役割を求めるようになります。

その一方、母親から虐待、育児放棄された場合も、女性に対して不信感や憎しみを募らせ、歪んだ性衝動をもつこともあります。

どちらの場合にも、男の子の潜在意識に、「女性は男性にとって対等な愛の対象ではなく、男性本位の欲求を満たすためのもの」という思いを植えつける危険性があります。

そのような意味でも、思春期の男の子と母親との関係性は大切ですし、父親と母親の関係性もまた大きな影響を及ぼします。

男の子の性教育は男親に任せる

お父さんにおまかせ

思春期の男の子に、対等な男女関係や正しい性の知識をもたせることは、とても大切です。

できれば、思春期の男の子の性教育は、父親に任せたいものです。

「お父さんのときはさ……」「お父さんもお前くらいのときには悩んでたよ」などと、自分の体験をさりげなく語りながら、教えてあげるといいでしょう。

もしも、父親があてにできない場合は、信頼できる身近な大人の男性に頼むのでもいいですし、そんな人はいないというときには、男の子の性について書かれた良書を探し、「あなたも中学生だから、そろそろちゃんと勉強しなさい」と言って渡すのも1つの方法です。

たしかに細かな性事情について母親が説明するのは大変ですし、男の子も嫌がるでしょう。

でも、女性としての立場から、恋愛やセックスについて正直に話すのは、とてもいいことです。

「男と女は体も違うし、セックスに対しても考え方がちょっと違うのよねえ」などと、ニュースの事件報道などを見ているときなどに、さりげなく話してみてはどうでしょうか。

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この時期の親の関わり方で、男の子の人生は決まる! 3000組以上の親子関係を見てきた心理セラピストが「心と体」「友だち関係」「勉強」など5つの側面から、それぞれの問題に親がどう対応すべきかを平易に解説した必読バイブル。

中野日出美

中野日出美

NPО法人日本心理コミュニケーション協会代表。公認心理師。心理セラピスト。絵本作家。親子関係の改善を図るセラピーの専門家。