子どもがお風呂を嫌がる原因は「床」? 発達障害の子の感覚過敏への対処法

熊仁美、竹内弓乃
2023.04.28 17:46 2023.06.09 11:50

見上げる女の子

ABA(応用行動分析学)とは、行動の原因を「個人の心の中」ではなく、「個人と環境との関わり」から分析し解決していく心理学です。この考えを取り入れることで、お子さんのよい行動を引き出し、増やす、よい循環が自然と生まれます。
本記事では、発達障害の特徴の1つである「感覚過敏」への対処法について紹介します。

※本稿は、熊仁美、竹内弓乃著『「できる」が増える!「困った行動」が減る! 発達障害の子への言葉かけ事典』(大和出版より、内容を一部抜粋・編集したものです。

熊仁美
特定非営利活動法人ADDS共同代表/博士(心理学)/公認心理師/日本女子大学講師/慶應義塾大学非常勤講師/法政大学兼任講師ほか
慶應義塾大学文学部心理学専攻卒業、同大学大学院社会学研究科心理学専攻博士課程修了、博士(心理学)。2009年ADDSを設立。保護者支援や発達支援プログラムの開発と効果検証を行う。

竹内弓乃
特定非営利活動法人ADDS共同代表/臨床心理士/公認心理師
慶應義塾大学文学部心理学専攻卒業、同大学大学院社会学研究科心理学専攻修士課程修了、横浜国立大学大学院学校教育臨床専攻臨床心理学コース修士課程修了。2009年ADDS設立。親子向け療育プログラムや支援者研修プログラム、事業者向けカリキュラム構成システムの開発などに携わる。NHK「でこぼこポン!」番組委員。

うちの子感覚が過敏で、ちょっとしたことを嫌がるんです…

立体工作をする子

「お風呂の床が濡れているのが苦手で、自分で歩いてくれません」「トイレのエアータオルの音が苦手で、駅のトイレに入ることができません」、「工作の時ノリが触れません」、「換気扇、掃除機の音が苦手です」……などお子さんの感覚に関するお悩みをいただくことがあります。

発達に特性のあるお子さんは、私たちが思うよりも、刺激をずっと強く感じてしまったり、逆に、転んでも全然痛がらなかったり……など、感覚の過敏性や鈍麻などが認められることがわかってきています。

本記事では、その対応についてスモールステップで考えていきましょう。

手

感覚への苦手さは、「我慢させて慣れさせる」という発想で対応してしまうと、お子さんは不安や恐怖を感じるようになってしまい、より過敏になってしまうことがあります。大丈夫なラインを丁寧に探してあげ、環境の工夫を最大限に行うことが、大前提です。

お子さんによって、気になるポイントは変わってきます。無理に慣れさせるのではなく、環境への工夫でのりきることをまず考えましょう。

たとえば、べたべたと手につくノリが苦手であれば、スティックノリを使ったり、音が大きいピストルの音が苦手な場合は、イヤーマフをして参加したり、事前に伝えて違う合図に変えてもらったり……環境で工夫できることはないか、周囲と相談しながら配慮してください。

次項以降のスモールステップは、環境の配慮を最大限したうえで、それでも日常に支障があり、本人の社会参加や学習の機会を著しく減らしていたり、生活の幅を狭めてしまっている出来事に対する策と考えてください。楽しく取り組むことを徹底しましょう。

また、近くの専門家や関係する大人への相談もなるべく行って、話し合いながら取り組んでいきましょう。