「子どもの身長が伸び悩んでいる?」と感じたら…睡眠の習慣を見直してみよう

額田成
2023.05.31 10:20 2023.06.09 06:00

笑う女の子

※本稿は額田成著『[新版]子どもの身長を伸ばすためにできること』(PHP研究所)から一部抜粋・編集したものです。

額田成(ぬかた・おさむ)
医学博士、小児科専門医。鳥取大学医学部卒業後、岡山大学医学部大学院で成長ホルモンの研究を行い学位を取得。神戸市立西市民病院等で低身長外来を行う。2003年、「低身長専門ぬかた小児科クリニック」を開院。低身長外来については、日本テレビ、フジテレビ等でも紹介された。著書に『子どもの身長を伸ばす成長食レシピ』(PHP研究所)などがある。

睡眠は「成長ホルモン」の分泌を高め、骨を休める役割も果たす

寝ている女の子

寝ている間に身長が伸びるともいえるほど、睡眠は大切です。

「寝る子は育つ」ということわざがあります。これは、科学的にも正しい事実です。
子どもの成長にとって、非常に大切な「成長ホルモン」は、昼間起きているときより、夜寝ているときのほうが多く分泌されます。睡眠初期の深い眠りの時期に分泌が多く、血液中の成長ホルモン濃度はピークに達します。

もし、途中で睡眠を妨げられたり、睡眠時間が短いと、成長ホルモンの分泌が悪くなり、身長の伸びも悪くなる可能性があるのです。

さらに睡眠は、「骨休め」としても大切です。昼間は、上半身の体重がズッシリと下半身の骨にかかっています。横になって寝ることで、縦方向の重力から解放され、骨を休めることになるのです。成長ホルモンの分泌も、立っているときより横になっているときのほうが多くなります。

「身長は、寝ている間に伸びる」といっても、言い過ぎではありません。

世界一睡眠不足な日本の子ども

ゲームコントローラーと子どもの手

では、日本の子どもたちは、どのくらい寝ているのでしょうか。小学校高学年の睡眠時間の調査結果では、8時間未満が31%もいました。10時間以上寝ている子は、わずか4%です。これに対し、世界の子どもは9時間以上が半数を超えています。とくにフランス、イギリスでは半数以上が、10時間以上寝ています。日本の子どもたちは、世界一睡眠不足なのです。

その原因として、日本は夜型の遊びが多いこともあげられます。TVやゲームをやめられず、勉強の時間も遅くなり、結果的に寝る時間が減ってしまっています。また、寝ることを軽視してしまうような日本の生活文化も、その背景にはあるのかもしれません。

熟睡できる環境も大切

「子どもの身長が伸び悩んでいる?」と感じたら...睡眠の習慣を見直してみようの画像1

もうひとつ注意したいのは、寝る前の子どもへの接し方です。怒られて興奮したり、光の刺激などがあると、熟睡できないものです。寝るときは部屋を暗くして、ゆったりと寝られるように工夫することも大切です。また、寝付きが悪い子や、睡眠が浅い子は、運動量を見直してみましょう。昼間の適度な運動は、眠りを誘い、成長ホルモンの分泌量も増やしてくれます。

これを機に、ベッドや布団、パジャマに気配りする、生活リズムを見直すなど、少し「寝る環境」や「睡眠時間」について考えてみてはいかがでしょうか。子どもの成長を促すには、快適な睡眠が、もっとも大切なのですから。

[新版]子どもの身長を伸ばすためにできること

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