子どもの高校入試を失敗させる「親のNG行動」とは?

國立拓治

「才能」ではなく「努力」をほめる

「おお! すごいな! 天才だな!」

いい成績をとってきた生徒に対して、私は冗談でもこういったほめ方をすることはなくなりました。なぜなら、このほめ方は成績を下げる可能性を高めるほめ方だと知ったからです。

生まれもった才能であるかのような声かけをふだんからされていると、子どもたちはひどい成績をとってしまったときに、大きな不快感をもってしまいます。

ここから、自分の能力を超えるかもしれない難題への挑戦をしたくなくなり、ひどい成績をとってしまったときには、その結果を隠したりごまかしたりするようになってしまったりするそうです。

では、どんな声かけがいいのでしょう?

「おお! すごいな! 頑張った成果だね!」

このように「結果を出すまでの努力の具合」をほめるのです。

「努力を重ねたからこそ手に入った成果だね」と声をかけていくことで、「取り組みの結果は努力に左右される」という考え方になっていき、いい成績も悪い成績も受け止めることができるようになります。

実際、努力をほめられて育った子は、才能をほめられて育った子に比べて、自分の能力を超えるかもしれない難題であっても、どんどん挑戦していくそうです。

そして、たとえひどい結果であっても、「次はもっと努力をしてみよう」「努力のしかたを変えてみよう」と、前向きに受け取ることができるようになっていくそうなのです。

ちなみに、これらはスタンフォード大学教授であるキャロル・S・ドゥエック教授の著書『マインドセット「やればできる!」の研究』(草思社)で知ったことです。以来、私はこれを日々、実践しています。ぜひ、保護者の皆さんも、今後は才能ではなく努力をほめるようにしてあげてください。

合格だけを目指すようなことはしない

決して、合格だけを目指さないでください。ちょうど先ほど「才能をほめないで努力をほめてほしい」という話をしましたよね。このことは、受験の結果に関しても同様なのです。

「受験結果で評価しないで、努力を評価してほしい」

これは、まぎれもない私の本音です。

数年前のことです。私の塾に見事な努力を重ねてきた中3の女の子がいたのですが、入試の結果は残念ながら第一志望の高校が不合格でした。合否の連絡をお願いした時間帯から半日遅れたころに、お母さまと一緒に泣きながら結果報告に来てくれました。

彼女の悲しみは、心から理解できます。しかし、私は彼女の感情の波長に合わせることなく、笑顔で言いました。

「結果は残念だったけど、本当に見事な努力だったよ。この重ねた努力を高校に入っても続けていくんだよ」
「リベンジという表現は嫌いだけど、次の挑戦のときにいい結果を手に入れることができるように、頑張っていこう」

私の言葉は、その日の彼女の心には届かなかったかもしれませんが、いつかこの言葉を受け止めて実践してくれるはずだと信じて伝えました。

どうか、子どもたちの受験の合否だけで評価をしないで、そこへ向けた努力を評価してあげてください。子どもたちが迎える人生最初の岐路です。どんな結果であっても、前を向いて次への挑戦の気持ちが湧くように、応援してあげてほしいと思います。

以上、私が保護者の皆さんにお願いしたいことを見てきました。ぜひ、ここでお話ししたことを参考に、お子さんの「最強のサポーター」になってあげてください。

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