子どもの質問「なぜ胸やおまたは服で隠すの?」にどう答える? 産婦人科医から親へのアドバイス

宋美玄(監修),のはらあこ(漫画)
2024.05.13 12:04 2023.06.16 06:00

子どもに「プライベートゾーン」や「同意」を説明できますか?  産婦人科医が教える武器になる知識の画像1

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子どもに「プライベートゾーン」や「同意」を説明できますか?  産婦人科医が教える武器になる知識の画像2産婦人科医の宋美玄先生には、小学生のふたりの男女の子どもがいます。いまの母親世代はきちんとした性教育を受けておらず、娘に「女性の体」についてどのように伝えていいのかわからない人がとても多いといいます。

人に見せない・さらわせない場所「プライベートゾーン」や、「同意」に関わる体の自己決定権、産む・産まない・いつ何人産むはすべて女性が決める権利があるという「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」など、これからを生きていく女の子の武器になる知識を、宋美玄先生なら娘にこう伝える、という形で教えてもらいました。(漫画:のはらあこ)

※本稿は、宋美玄・監修 のはらあこ・漫画『女の子の体 一生ブック』(小学館)から一部抜粋・編集したものです。

見せない、さわらせない特別な場所「プライベートゾーン」

プライベートゾーンとは、自分だけの大切な場所のこと。主に、胸やおまたといった水着でかくれる部分や口を指します。このゾーンは、人に見せたりさわらせたりしません。プライベートゾーンは、自分と好きな人(パートナー)だけの特別な場所なのです。

また、プライベートゾーンは、自分から人に見せたり、人前でさわったりしないのがルールです。

ただし、プライベートゾーンは「はずかしい場所」ではありません。自分の体に、はずかしい場所というものはないのです。

「プライベート」とは「個人的な」という意味をもつ言葉です。だれにでもオープンにするのではなく、自分だけの個人的な場所として大切にしましょう。

プライベートゾーンだけでなく、自分の体はどの場所もとても大切です。

相手が自分の体にふれていいのかどうかは、自分で決めることができます。

これを「体の自己決定権」といいます。たとえば手をつなぐのがイヤだと思うなら、「ダメ」といって断りましょう。

あなたを大切に思っている人なら、それで関係が悪くなることはありません。関係性が悪くなるのであれば、それだけの関係だったのです。

さわられてもいいと思うなら、同意していることを伝えて受け入れましょう。

「同意」をしているのか確認する方法、それは「聞く」こと

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人にはそれぞれ境界線があります。自分にとってはOKでも、相手にとってはイヤなこともあります。人によって、また、そのときどきによって、OKの境界線は変わります。

大切なのは、何かをしたいと思ったときに相手の気持ちを聞くこと。そして、相手の気持ちを大切にすることです。相手が「いいよ」といったら、それは「同意」です。もし相手が答えなかったり、イヤだといったりしたら「同意」がないので、やめなければなりません。

おどしたり、○○をあげるからなどといったりして、無理やり「いいよ」といわせるのは同意ではありません。

「同意」は、おたがいが積極的なときにだけ、成立するものなのです。

「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」という言葉を聞いたことがありますか?

日本語にすると「性と生殖に関する健康と権利」という意味です。少しむずかしそう…と感じるかもしれませんが、とても大切な考え方なので、ぜひ最後まで読んでください。

リプロダクティブ・ヘルス/ライツとは、子どもを産む・産まない、何人産むか、いつ産むのかなどを女性が自分自身で決める権利があるという考え方です。そのためには、適切な性教育を受け、ピルや避妊具、中絶などにアクセスできる環境が整っている必要があるとされます。

そんなの当たり前だよ、と思うかもしれません。しかし、世界には女性の権利を大切にしていない国があることも事実。リプロダクティブ・ヘルス/ライツは、1994年の国際人口開発会議で生まれた世界基準の考え方です。

リプロダクティブ・ヘルス/ライツの考え方を理解できていない人もいます。

もし大人になったときに、「子どもを産みなさい」「もう1人生むべきだ」「子どもを産んではいけない」など口を出してくる人がいたら、それはおかしなことです。特に、自分との関係性で力をもっている人がいう場合は要注意です。すべての人が自分の体のことを自分で決める権利があるということを覚えておいてください。