「東大生の小学生時代の習い事」で圧倒的1位! 水泳で身につく5つの能力とは?

菅原優

子どもの習い事において、長年にわたってダントツの1位を誇る「水泳」。これまで、多くの子どもたちを指導してきた菅原優さんは、「水泳には全てのスポーツの基礎が詰まっており、心身ともにさまざまな力を養うことのできるスポーツです」と言います。水泳によって子どもの身につく大切な”5つの力”について解説してもらいました。

※本稿は、菅原優著『子どもに必要な能力はすべて水泳で身につく』(かんき出版)から、一部抜粋・編集したものです。

菅原優 (水泳教育者/Swimmy(株)代表取締役)
東京学芸大学教育学部生涯スポーツ専攻卒業。「水泳は子どもの生きる力を育む」をテーマに、14年間水泳指導を行う。マンツーマンで300人以上の子どもに教え、延べレッスン数は3000回を超える。スポーツ庁委託事業やクラウドファンディングにて、発達障がい児を対象とした水泳教室を開催。同時に東京学芸大学と発達障がい児の水泳に関する共同研究を実施する。映画『流浪の月』で水泳指導を担当。
NHK大河ドラマ『いだてん』に出演するなど俳優としても活躍。NPO法人スーパーダディ協会に所属する、1児のパパでもある。「日経xwoma DUAL」にて連載「水泳で子どもの生きる力を伸ばす」がある。

東大合格者がしていた習い事のダントツ1位は…

水泳は長年、子どもの習い事人気ナンバー1の座を不動のものとしています。「東大生が小学生時代にしていた習い事」のトップが「水泳」で、2位以下を大きく引き離す60%が経験者です。

学力向上に直結しそうな塾より、スイミングスクールに通った子どものほうが、東大生では多数を占めているのです。

水泳を続けることによって、さまざまな能力が身につきます。子どもの「体力」はもちろんのこと、「自己肯定感」「好奇心」「集中力」「メタ認知力」なども伸ばしてくれるのです。これら5つの能力について、順に見ていきましょう。

子どもが得られる能力➀「自己肯定感」

水泳は、たくさんの成功体験を得られるスポーツです。

水泳には、「種目」「距離」「タイム」など目標設定に便利な客観的指標が数多くあるからです。目標設定しやすいスポーツなので、それだけ多くの成功体験が積めるのです。

たとえばサッカーで、自分が「成功した」と客観的にわかる指標は、走る速さやリフティング回数、得点数くらいではないでしょうか。

いくら上手いスルーパスを出しても、ゴールが決まらなければ、成功体験にはなりにくいです。また、そのパスを受けた相手がゴールを決めた場合、より大きな成功体験を得られるのは相手になります。小学生サッカーなどでは、ゴールを決めた人にスポットライトが当たりがちです。

強豪チームに入ると、自分より上手いプレーヤーがいれば出場できない、監督の戦術に合わなければ出場できないなど、自分ではコントロールできない部分もあるため、全員が平等に成功体験を積むのは難しくなります。

サッカーと比較して、水泳は誰でも試合に出場できるチャンスがあるので、全員が平等に成功体験を得ることができます(水泳では「制限タイム」などのハードルが設けられていない大会も多いです)。

子どもが得られる能力➁「好奇心」

プールの中は、子どもの好奇心を育てる最高の学び場です。子どもにとって透明の水は、自由に形を変えることができる、自由度の高い教材になります。

子どもを観察していると、「水と身体が触れている感覚を楽しんだり」、「水の流れや泡を観察したり」、「キラキラした光の反射をさわろうとしたり」、自由な好奇心で主体的に活動しています。

子どもは「どうやったら水をたくさんつかめるのだろう」などと想像力を働かせ、その答えを自分で見つけようとします。幼いながら実証実験をしているのです。同時に、目や耳や皮膚感覚などの五感を通して、水の「不思議さ」や「美しさ」と出会っているのです。

私は自分の子どもをプールに連れて行っても、水泳はほとんど教えていません。子どもの遊びを見守り、リクエストされた遊びに本気で向き合っています。私から時々「泳ぐ練習する?」と聞いて「する!」と返ってきたら、水泳を教えるくらいです。ですので、なかなか上達しません。

でも、それで全然問題ありません。親の役割は、子どもが夢中で遊べる環境をつくり、見守ることだと考えているからです。また親だからこそ、子どもと真剣に遊べるのです。