子どもの「お手伝いしたい」は急成長のチャンス! 男の子がぐんぐん伸びる育て方のポイント

神成美輝,百枝義雄(監修)

最後は「ありがとう」を忘れずに

お話ししてきたように、小さい頃のお手伝いの目的は「手伝う気持ちを育むこと」です。ですから間違っても、結果に文句をいってはいけません。 

せっかくタオルをたたんでくれたのに、「こんなぐちゃぐちゃじゃダメよ」などといって、目の前でたたみ直したりしたら、子どもはやる気を失ってしまいます。たたみ直すなら、お子さんが寝た後で。できれば「タオルくらいぐちゃぐちゃでもいいか」といったおおらかな気持ちを持てるといいですね。 

そしてどんな結果になっても、必ず「ありがとう」と伝えてください。子どもはこの言葉が聞きたくて、がんばっているからです。

いつか本当に「お手伝い」になる日がくる

料理に興味のあるハルト君は、4歳の頃から卵料理のお手伝いをしていました。最初の頃は、卵を落として割ることも多く、お母さんは「もったいない」と思っていたそうです。しかし、だんだんと落とす回数も減っていきました。1年後には落とさないようにはなったものの、割った殻が混ざっていることも多く、それを取り除くのが面倒だったといいます。

しかし、6歳になる頃には、ひとりでスクランブルエッグがつくれるようになりました。お母さんが忙しい朝は、パパッと卵を割り、くるくるとかき混ぜ、塩胡椒をして、小さなフライパンで焼いているそうです。

このように最初はうまくできなくて、母親の手をわずらわせることが多かったお手伝いも、続けることでいつしかきちんとできるようになるものです。そして、このように本当に助けとなる「お手伝い」になる日がくるのです。

2年の辛抱はもちろん簡単ではありません。しかし、この先ずっと息子さんが料理を手伝ってくれるとしたら? それは十分に意味のある2年間ではないでしょうか。

お手伝いは自立への第一歩

お手伝いを通じて身につけた家事のスキルは、将来の自立への大きな一歩となります。先のハルト君のお母さんは「何より良かったと思えるのが、将来ひとり暮らしをしても、安心だということです。ちゃんと自分で料理をして食べてくれるのがわかるからです」と話してくれました。自立するということは、単に社会に出て働くことだけではありません。自分の生活を自分ひとりでやることも含まれています。 

「せっかく現役で第一志望の大学に合格したのに、ひとり暮らしを始めたら朝起きることができずに、留年した」などという、嘘みたいな話も耳にします。朝起こすことから始まって、身の回りのことすべての面倒を見続けていたら、そういうことが起こってもおかしくはありません。 

男の子には特にお手伝いをさせなくてもいいか、と思っているご家庭もあるかもしれませんが、お手伝いは社会的行動を身につける第一歩。男女に関係なく必要なものなのです。

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