本当は怒りたくないのに…専門家が語る「子どもへのイライラ」解消法

野村恵里

・優しい刺激を与える

他にも、自分の胸に手を当てて「トントントン」と優しくたたいて刺激してあげるのもオススメです。ママが子どもを寝かせるときや泣いているときに、抱っこしながら「大丈夫よ。よしよし」と言いながら、とんとんするイメージです。それを自分にしてあげるのです。

「いったん落ち着いて。大丈夫、大丈夫」と言いながら優しく刺激することで、怒りが鎮火していくはずです。まさに心のお手当です。そうすれば、子どもの怒りの炎に油を注ぐことになりません。落ち着いて向き合って話を聞いてあげることができれば、子どもの気持ちは落ち着きやすくなるはずです。

子どもも感情をコントロールできるようになっていく

ちなみに、子どもの感情コントロールができ始める時期としては、一般的に2~3歳頃からと言われています。もちろん個人差はありますが、自分以外の人とのかかわりの中で少しずつ自分の感情に向き合うことをし始めます。

嫌なことや悲しいことがあったとき、親や保育者など身近な大人がその感情に寄り添い、受け止めてくれる体験を通して気持ちを立て直すことができれば、また子どもの世界へと戻っていきます。

4~5歳になってくると、感情を表現する言葉の数が増えてよくしゃべるようになります。しゃべることで、相手に自分の気持ちが伝わります。伝わることで、さらにおしゃべりが盛んになっていきます。

その繰り返しの中で、言葉の発達は促され、人とのコミュニケーション力が上がり、感情をコントロールする力が身についていくのです。この時期以降、大人に受容してもらうことによる調整に加えて、少しずつ自分で気持ちの調整ができるようになっていきます。

子どもの怒りに乗っからないで

話が少し脇道にそれましたが、私の子育ての反省を踏まえてお伝えしたいこと。それは、「子どもの怒りに乗っからないこと」です。

幼い頃、天真爛漫だった長男が私の顔色を見ながらビクビク生活するようになった原因の1つに、私のかかわり方が少なからず影響しているだろうということは薄々気づいてはいました…。

私が彼の気持ちなどお構いなしに怒鳴り散らすようなかかわりの積み重ねが、少しずつ彼を変えてしまったことは(認めたくなかったけど)、明白です。 

後悔しない子育てをしたいなら、私と同じ間違いを繰り返さないでください。「子どもの怒りに乗っからないこと!」、ぜひ試してみてくださいね。

子どもは気持ちの切り替えが早い

子どもって、感情を吐き出すと意外にさっぱりと気持ちを切り替えることができる生き物かもしれません。

例えば、ママに叱られて、ぎゃんぎゃん泣いているとします。ママとしては「ちょっと怒りすぎたかな…」なんて反省していても、当の本人はしばらくするとケロッとしてお絵描きを始めたり、テレビを見て笑っていたりするなんていう経験はありませんか?

こっちとしては、「泣いたカラスが、もう笑ってるの!」という感じです。拍子抜けして、ちょっとイラッとしたりして…。「まさか、反省してないんじゃない?」なんて思ったりしてね。

でもね、実は、これが気持ちを切り替える「ベストタイミング!」なんですよ。

子どもが自分で気持ちを切り替えられるって、すごく大事なこと!にもかかわらず、私がやらかしていたのは…、「ちょっと! さっき怒られたこと、わかっとるん? なんで、もう遊んどんよ」って、気持ちを振り出しに戻してしまうことでした。

これね、子どものレジリエンスの力をぶっつぶす行為です。「せっかく前に進もうとしていたのにね。ほんと、ごめんよ、子どもたち~」と、今なら素直に謝れます。

レジリエンスの高い子どもは、くじけない!

さて、このレジリエンスの力とは、簡単に言うと子どもが気持ちを立て直そうとする力、逆境から復活しようとする力のことです。

レジリエンスの高い子どもは、自分で自分を慰めたり励ましたりできるので、辛いことや悲しいこと、悔しいことがあったとしても挫けず頑張ることができたり、もう一度チャレンジできたりします。

つまり、私に叱られても、彼らは自分なりに気持ちを調整して心を立て直し、絵を描いたり、テレビを見たりして気分転換しようとしていたんでしょうね。

それなのに、当時の私は、全然気づいてあげられませんでした。でもね、アンガーマネジメントを学んだことで、私はこのレジリエンスの力を、「感情コントロールの上達と共に身につけてこられた」と思っているんです。

アンガーマネジメントは、無駄な怒りを手放して、必要なことにだけ怒る技術です。だから、アンガーマネジメントが上手になれば、怒らずにすむことが増えるのでイライラしている時間が減ってきます。

子どもを怒るときも、今、怒らなければならないことだけに絞って、その後はグチグチネチネチいつまでも怒らないですむんです。怒ってすんだことは、その場できれいさっぱり終わらせる!

だから、怒った方も、怒られた方も気持ちの切り替えがしやすくなります。怒り終わったら「もう怒ってないからね」と、必ず伝えるようにしていました。そう言えば、子どもは安心して気持ちを切り替えることができます。

今ではそんなセリフも必要ないくらい、お互いにサクッと気持ちの切り替えができています。これで、お互いに不機嫌な時間を過ごさなくていいのだから、一石二鳥です。

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