SAPIXが見た「中学受験の国語を伸ばす」ために重要な親の態度

佐藤智

作文に行き詰まった時はインタビューしてみよう

小学校でよく作文の課題がでますよね。とくに夏休みには作文の宿題がでて困っている保護者がいるのではないでしょうか。

私たちも、「うちの子、なんで長い文章が書けないのかしら?」「作文が嫌いと言っているけれど大丈夫かしら?」と思っているお父さんお母さんから相談されることがあります。

作文は、自分の経験や自分の考えを表現する力が必要です。これは書いてある内容を正確に読み取る「読解力」とは、また別の能力です。

そして、作文を書けない子は、「エピソードトークが苦手な子」でもあります。何があったか話せないけれど、書くことはできるというケースはほとんどありません。

そのため、作文を書くために必要なことは、「何があったのか」「どんなことを思ったのか」について、まず子どもの話を聞いてみることです。

子どもが作文に書こうと思っていることを話しているときに、親がインタビュアーになって、「そのとき、どう思ったの?」「そのあと、どうしたの?」など、質問を挟みます。

聞かれることで、子どもは思い起こしたり情報を整理したりしていきます。聞き手がいることで、内容が膨らんでいくのです。その膨らんだ内容を文章にすれば、作文になっていきます。

本来は自分の考えを自力で整理して、文章に表現していきます。それが自然にできる子もいれば、苦手な子もいるのです。苦手な子には、話を聞きながら、一緒に内容をまとめていくサポートをしてあげましょう。

ほかにも、「作文の語尾がほとんど『〜しました』『〜して楽しかったです』ばかりになっているんです」という相談も保護者から受けます。

これは、語彙力の問題です。端的にいうと、語彙が足りないから同じ表現になってしまうのです。

大人もそうですが、自分が理解できる語彙と自分が使える語彙には差があります。使える語彙は理解している語彙の3分の1〜4分の1ぐらいだといわれます。意味を知っているだけでは、適切に使うことはできません。

語彙を増やすには、まず言葉をたくさん知ることが第1ステップです。その次に、いろいろな使い方ができることを知っておくといいでしょう。

親が「そのときどう思ったの?」と尋ねる機会を増やすことで、知っている言葉を表現する機会を意識的に増やすことができます。すると、「楽しい・うれしい・悲しい」以外の表現もでてくるようになります。

ただ、SAPIXに通う3・4年生でも、「楽しい」や「悲しい」という表現しかでてこない子もいます。1・2年生の作文でいえば、なおのことでしょう。使える言葉が増えていくのには時間がかかるもの。焦りすぎず、親子の会話を増やして表現力を身につけていきましょう。

Check!
・作文を書く前に子どもへインタビューをして考えをまとめる
・親子のコミュニケーションを増やして、子どもが表現する機会をたくさん設ける