我が子のためが裏目に…「不登校の原因」を生んだ親の過干渉

水野達朗

不登校を乗り越えた親からの手紙

・学校嫌いの子どもの自立を目指して(小2・男)

1年前の今頃は、こんなに楽しい毎日が送れるとは思ってもみませんでした。

息子が小2のゴールデンウィーク明けの朝、「乱暴な子と同じ班活動が嫌だから学校へ行きたくない」と言いだしました。

もともと幼稚園の頃から登園渋りがひどく、小学校へ上がってからもことあるごとに「学校なんて嫌い」と言っていた息子ですので、正直なところ「やはりこうなったか」というのが親の本音でした。

その時は私が担任の先生に電話をし、その子と違う班にしてもらうとすんなりと登校しました。しかしそれから3週間後、「乱暴な子に、いきなり蹴られた」と泣いて登校を嫌がりました。

担任の先生に伺うと、その子は息子だけに乱暴なわけではなく、他の子にも乱暴だという事でした。その後も、給食がイヤ、運動会の踊りがイヤ、プールがイヤ、作文がイヤと行き渋る理由が次から次へと出てきました。

毎朝そのひとつひとつに時間をかけて説得して、ようやく登校する時間が1時間目、2時間目、3時間目と、どんどん遅くなりました。学校に行ってしまえば楽しく過ごしているとのことでした。そんな時、担任の先生の勧めもあり、母子登校を始めました。

すると1時間目から行けるようになり、このまま順調にいけば一人で行けるかもと期待しました。ですが1週間後、胃腸炎で休むと休み明けからの行き渋りは以前よりひどくなりました。

息子は行き渋り出してからキレやすくなり、姉弟ゲンカが絶えませんでした。止めに入った私や主人にまで暴力をふるいました。最初は暴言を吐く、腕をつねる、といったことから、叩く、蹴る、と徐々に乱暴になっていきました。

スクールカウンセラーに相談しても、「母子登校は時期が来ればなくなるので、それまで待ちましょう」と言われ、その母子登校も、日に日に行く時間は遅くなり、7月は5時間目からの登校日が多くなりました。

見上げるほど高いひまわりも首を垂れる頃、夏休みが明けた2学期の始業式の日、「行きたくない」と休みました。主人が叱っても登校するように強く話しても次の日も行けませんでした。その時から完全に不登校になりました。

今までの対応に限界を感じ、ネットで検索し、ペアレンツキャンプを見つけ、水野先生の本を読みました。

過干渉、先回り、失敗を経験させてこなかった、「命令・指示・提案」が多い母子コミュニケーション、すべて良かれと思ってしてきたことが年相応の自立ができていない子に育て、それが行き渋りの原因だったことに気がつきました。本やホームページの内容はストンと心に入りました。なので、読み終わる頃には支援をお願いしようと決めていました。

支援を受ける前は、息子に悲しんでいる姿は見せないで、明るく振る舞おうとしていましたが、水野先生から「親の気丈さはあなたのお子さんには伝わりにくいです。悲しい時には素直に悲しい顔を見せましょう」とアドバイスをいただき、私は怒りではなく悲しみを伝える対応に切り替えました。すると乱暴だった息子が落ち着いてきました。

息子が行き渋る前から、私の心の中で「私の子育ては何かが違う、悪い方向へ向かっている」という思いがありました。でも「何が」いけないのかには気づけませんでした。

けれど、息子が行き渋り、不登校をすることでSOSを出し、そのおかげでペアレンツキャンプと出会え、我が子に合った、私たちの家庭に合った自立を育む家庭教育理論を学ぶことができ、「何が」いけないのか教えていただき、気づかせてもらいました。

その気づきを実践し、自分を変えることはとても大変でしたが、自分が変われば、それ以上に子どもが変わっていき、問題行動もなくなり、自分のことは自分でできる子になり、素直になりました。

訪問カウンセラーの先生方は息子だけではなく、私と主人を精神的に支えてくださいました。そのおかげで、早期に復学することができました。あの日の感動は一生忘れることはないと思います。本当にありがとうございました。それ以降、息子は毎日元気いっぱいに「行ってきます!」と登校しています。

息子は1年前とは比べものにならないぐらいの大きな成長を見せてくれました。これからも「子育ち・親育ちの精神」を忘れずに、子どもたちの成長に負けない様に、私と主人も一緒に成長していきたいと思います。

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