中学入学後に気づく「こんなにお金がかかるの!?」… 専門家が教える習い事より貯蓄が大切な理由

和田由貴
2024.04.22 14:30 2023.09.06 06:00

悩む女性

私立中学の受験者数は年々増加しています。過酷な受験を乗り越え、晴れて志望校から合格が出た時には親御さんもほっと胸を撫でおろすことでしょう。しかし、安心していられるのも束の間、中学入学以降には数多くの支払いが待ち受けています。

入学金や授業料、教材費や修学旅行の費用などまで、「想定外の出費」がかさむことが珍しくないのです。子どもの将来のためになる家計管理について、消費生活アドバイザーの和田由貴さんが解説します。

※本稿は和田由貴著『即実践! 即効果! 節約のプロがおしえる家計防衛術100』(辰巳出版)から一部抜粋・編集したものです

和田由貴
消費生活アドバイザー。家電製品アドバイザー。食生活アドバイザー。暮らしや家事の専門家として、幅広い分野で活動。「節約は、無理をしないで楽しく!」をモットーに、日常生活に密着したアドバイスを得意とする。私生活でも2 人の子を持つ母で、現役の”節約主婦” でもある。『あさイチ』『羽鳥慎一モーニングショー』『ひるおび』『ホンマでっか!? TV』をはじめとした数多くのワイドショーや情報番組に出演し、講演、執筆活動なども精力的に行っている。また、環境カウンセラー、省エネ・脱炭素エキスパートとして環境問題にも精通している。

子どものためになる節約をしよう!

勉強に悩む女の子

 

子どもに対して使うお金は、惜しむことなく、しっかり使いたいと考えるご家庭が多いと思います。家計のさまざまなものが節約の対象となるなかでも、子どもにだけは不自由な思いやガマンをさせたくない…親ならば誰しもそう思うことでしょう。

でも、「不自由をさせない=ぜいたくをさせる」ことではありませんよね。習い事や塾などにかかる費用は、かけようと思えばキリがありません。いくらでも支出できるご家庭ならいいですが、そうでないならこの部分もメリハリをもたせる必要があります。

おやつやおもちゃ、旅行などのレジャー費も同じです。意外とお金をかけなくても子どもって喜ぶもの。あえてたくさんお金をかけようとせず、子どもの目線で楽しめるものを考え、工夫していくのも節約の近道になると思います。

子どもが大きくなったとき、本当の意味で不自由な思いをさせないためにも、節約できるところはしっかりと節約しましょう。

また、子どもの将来のためにも、小さい頃からお金に関心をもってもらうことも大切です。おこづかい帳をつけるなど、お金の管理も取り入れてみるといいと思います。

大人にもいえることですが、節約は習慣になってしまえば苦労はしません。こまめに電気を消したり、生活のなかでの節約術は、親がやっていれば自然とマネするようになるものです。小さい頃から節約が身についていれば、大人になっても持続するはず! 子どもと一緒に楽しく節約を続けたいですね。

子どものために使うお金は先を見据え、計画的な貯蓄プランを

泣く赤ちゃん

・成長に合わせて支出の予想ができる費用
・乳幼児のときには予想以上に光熱費が負担に
・年齢に比例して支出は増えることを念頭に

子どものためのお金、いわゆる「子ども費」は、生まれたときから成人するまで、ある意味で見通しが立てやすい費用です。

6歳になれば小学生に、12歳になれば中学生にと、受験や進学なども何歳で迎えるかがわかるので、「今から何年後に何が必要になるのか」を見据えた貯蓄のプランを立てやすいと思います。

子どもが生まれて、すぐに買い揃えなくてはいけないものもたくさんありますが、乳幼児のときに予想外にかかるのが水道光熱費。衣類や食器を分けて洗ったり、冷暖房を常に使う必要があったりします。ここは子どものために避けて通れない出費ですので、ほかの部分での節約を心がけましょう。

また、内閣府の調査によると、子どもがいる3人家族の支出は、子どもの年齢が0〜2歳のときと比べ、18〜21歳のときに10万円以上アップしています。

学習塾などの教育に関する費用などもそうですが、食費や通信費(スマホ代など)の負担も年齢に比例して増えていきます。子どもにはいくらでもお金をかけてあげたいのも親心。ですが、今だけではなく、子どもが巣立つまで無理のないプランを立てましょう。

小学生の頃が貯蓄しやすい時期…夫婦間での共有もしっかりと

野原を走る小学生たち

・子どもが小学生の頃は比較的お金がかからない
・無計画でもなんとかなると考えない!
・時間にゆとりがあれば収入アップや働き方も考える

教育費は、進学先が公立か私立かで大きく変わってきます。仮に小学校から私立への進学を考えていないのであれば、子どもが小学生の頃までが比較的お金がかからない時期となります。その間は、子どもの将来に充てるお金を貯めやすい期間と考えて、計画的に貯蓄していくとよいでしょう。 

「どのタイミングでいくらまで教育費をかけられるか」について、夫婦間でもお互いの考えや認識にズレのないよう、きちんと話し合って共有しておくことも重要です。

子どもが小学校に上がり、ある程度手がかからなくなった頃は、子ども費を含めた今後の家計管理を見直すにもよい時期だと思います。行き当たりばったりで無計画でもなんとかなるなどとは考えずに、子どもの年齢に比例してお金がかかるということを忘れずに。

時間にゆとりがあるようでしたら、この時期に収入アップのために動くなど、仕事の仕方についても検討できるといいかもしれません。

幼少期は習い事より貯蓄が優先! 将来までの子ども費全体を意識する

机に伏せる少女

・幼少期の習い事にお金を使いすぎないよう注意!
・子どもの将来のための貯蓄を後回しにしない
・計画的に子ども費を考える

小学校に上がる前から、習い事をはじめるお子さんも多いと思います。教育方針はさまざまですが、習い事にかかっている費用についても、将来までの子ども費全体の負担として、先を見据えて考えておきたいところです。

水泳、ピアノ、英会話に学習塾など…お金を惜しまずいろいろな経験をさせてあげたいと思う気持ちはとてもよくわかります。幼い頃の習い事は、レッスン料も比較的高くはないでしょう。

ですので、その先にかかる教育費も考えた上で、今かけられるお金で習い事をしているのなら、もちろん問題はありません。

でも、幼い頃から習い事をさせることで、その先のための貯蓄が後回しになっているようでは本末転倒。また、子どものためと親は思っても、案外本人の負担になっているかもしれませんよ。まとまったお金が必要になるときのためにも、計画的に子ども費を考えるようにしましょう。

私立の学校に行かせるなら入学してからの費用も調べておく

学生

・受験と入学までにかかる費用だけでは安心できない
・志望校は教育面だけでなく費用もしっかり調べる
・私立学校は入学してからも想像以上に費用がかかる

中学受験をするお子さんが増えているようです。とくに首都圏では、私立・国立中学受験者数が2023年に過去最多だったということです。大学への進学やその先の就職も考え、より豊かな学びの場に進めることは、子どもの将来の選択肢を増やすためにもとてもよいことだと思います。

ここで重要なのは、受験までにかかる費用だけでなく、入学してからも想像以上にお金がかかる可能性があるということ。受験までにも、学習塾に通えば通常の授業料に加え、夏期講習や模試の受験料、遠くまで通うのであればその交通費や、夕飯が遅くなるためにおやつや軽食代などもかかるかもしれません。

そうした受験までにかかるお金はもちろん、中学校の入学金や授業料(学費)まで貯蓄していても安心とは言い切れません。私立では教材費や修学旅行の費用なども高くなる傾向にあり、入学してから急な出費に慌てる場合も。

中学受験に限った話ではありませんが、進学を志望する学校は、教育面だけではなく、入学後にかかる費用もしっかり調べ、その分も見据えた貯蓄をしていきましょう。