中学入試の問題にも登場した「猫の清盛」はどれ? 異色の学習まんが「ねこねこ日本史」誕生秘話

そにしけんじ、福田智弘
2023.09.07 12:35 2023.09.15 11:30

ねこねこ日本史入試問題

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歴史学習まんがが有力出版社から続々と刊行されるなか、異色を放つ作品があります。「ギャグマンガにして学習マンガ」と人気を呼びシリーズ累計 150 万部を突破した「ねこねこ日本史」。ねこじゃらしで民衆をあやつる卑弥呼、法隆寺でつめとぎする聖徳太子から、猫化した渋沢栄一まで、有名人を猫の見立てて紹介する共感がを呼び、アニメ化もされ、有名中学の入試問題にまで登場するほどの人気を博しました。

そんな「ねこねこ日本史」の作者のそにしけんじさんと、歴史監修者の福田智弘さんに「ねこねこ日本史」の誕生秘話をお聞きました。

歴史が嫌いな娘に悩んだ父は…

ねこねこ日本史頼朝と政子 

――「ねこねこ日本史」を描こうと思ったきっかけは?

そにしけんじさん(漫画家、以下そにし) 「当時小学生だった娘さんに「なんとか日本史を楽しく学んでほしい」と思ったからです。私はもともと日本史が好きだったんですが、歴史に興味がない子どもにどうしたら面白さを伝えられるんだろう……と考えた時、かわいい猫のギャグマンガなら興味を持つんじゃないか?と思いついたんです」

――なぜ猫を選んだのですか?

そにし「うちにも猫がいましたし、当時『猫ラーメン』というマンガを描いていて、猫のギャグを描くのは得意だったので。ねこねこ日本史は学習マンガなので、ギャグは史実に反しないギリギリの範囲で遊ぶというルールでやっています」

こんなに監修に時間がかかるマンガは初めて

ねこねこ日本史豊臣秀吉

――「ねこねこ日本史」を監修者として読まれてどう思われましたか?

福田智弘さん(歴史監修者、以下福田)「ねこねこ日本史はかわいいギャグがたくさん入ってるので、内容もゆるいと思われがちですが、そにし先生はすごく史料を読みこんで調べてらっしゃるんですよ。絵はかわいいのに、内容は大人向けの本よりも本格的。大人向けの歴史本によくある個人的な解釈は入れず、客観的に史実を押さえているのも特徴です」

――福田さんは「ねこねこ日本史」を監修する上で意識したことは?

福田「私も信頼できる史料をもとに史実をしっかり監修しているので、親子で安心して学べると思いますよ。マンガで読むと、ギャグやキャラクターの生き方にワクワクしながら覚えられるんですよね。ワクワクしながら覚えたものは覚えやすく、忘れにくくなるのではないでしょうか」

――具体的に執筆作業はどう進めるものなのでしょうか?

そにし「メインで描く歴史人物を決めたら、編集者から段ボールでドサッと吉川弘文館さんや、ミネルヴァ書房さんなどの歴史専門出版社の本が山のように届くんですよ。私の人生の中で一番、今が勉強していると思います。

調べる時間を入れたら、完成までこんなに時間がかかるマンガは初めてですね。ただ、歴史の知識がゼロの子どもでも楽しめる内容じゃないと面白くないので、私もマンガを描くときは頭に入れた知識をいったん忘れて、知識ゼロでも笑えるギャグを考えています」