叱っても片づけしない子どもを変える「親の言葉」
子どもの片付け力や、我慢する力を伸ばすにはどんな声かけをすれば良いのでしょうか? 天野ひかりさんは、子どもが自信を持ち、力を発揮するためには、その子の工夫やがんばりを見つけて「そのまま認める」ことが大切だと語ります。子どもの自己肯定感がアップし、内に秘めた力がぐんぐん伸びる言葉をご紹介します。
※本稿は天野ひかり[著]とげとげ。[イラスト]『子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)から一部抜粋・編集したものです
天野ひかり
NPO法人親子コミュニケーションラボ代表理事、フリーアナウンサー。上智大学文学部卒。テレビ局アナウンサーを経てフリーに。NHK「すくすく子育て」キャスターの経験を生かし、親子コミュニケーションアドバイザーとして講演や企業セミナー講師を務める。子どもの自己肯定感を育てるため自身で立ち上げたNPO法人親子コミュニケーションラボ代表理事、一般社団法人グローバルキッズアカデミー主席研究員。主な著書に『子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ』(サンクチュアリ出版)や『賢い子を育てる 夫婦の会話』(あさ出版)など。
とげとげ。
元ナースの漫画家でイラストレーター。著書に「夫ですが会社辞めました」(KADOKAWA)。日常を4コマ漫画にするのが得意。
インスタ:togetoge.i
気づけばいつもぐちゃぐちゃ…片付け上手に育てたいのに
・片付け力がアップする3つのステップ
お母さんお父さんからのご相談で一番多いのが、ズバリ「片付け」です。おもちゃも絵本もぜーんぶ出しっぱなしで遊び続け、そこに取り込んだままの洗濯物も加わって、お母さんお父さんのイライラも募ります。
NGマンガを見てみましょう。
何度叱っても片付けできるようにならず、疲れますね。そもそも子どもは、片付けのやり方を知りません。だからお母さんお父さんが一緒に片付けて、お手本を見せることが大切です。
OKマンガを見てみましょう。
子どもが出したおもちゃは、子どもが自分で片付けるべき。そう考えるお母さんお父さんも多いはず。ある意味、正論です。
でもそれは、片付けの意味がわかるようになった後の話。なぜなら、「片付けたい」のは親だけで、できれば子どもは遊びかけのおもちゃを「出しっぱなしにしたい」からです。それでは片付け力がアップする3つのステップを見てみましょう。
①一緒に片付ける(子どもにやらせずに、お手本を見せる)
「ブロックは、この箱に入れるね」「本は棚に並べようか」
「パズルはなくならないように、数を数えてから、しまおうね」
こんなふうに一緒に片付けをしていくと、実はたくさんのことを学べます。
・おもちゃを同じ種類に分けること
・本を1巻、2巻と順番に並べること
・手触りや色の違いを確認すること
こんな学びを得られるのです。
成長に合わせて、楽しく、知的好奇心をくすぐるような言葉かけをすることがおすすめです。やらせたり、ダメ出ししては逆効果です。例えば、
「お母さんとどっちが早くたくさんのボールを箱に戻せるのか競争しよう!」
「このぬいぐるみは、どこに戻すのか教えてくれる?」
などと遊びの要素を入れたり、教えを請うと、子どもも得意になって片付けをしてくれます。そうやって片付け方を1つ1つ覚えることで、だんだん一人で片付けられるようになります。
②片付いた部屋を一緒に見回す
片付けたお部屋を一緒に確認しましょう。
「部屋がきれいに片付くと気持ちいいね」「寝転がったり、ダンスできるね」
部屋をこの状態にすると、また新しい遊びができるんだ! ということを言葉でしっかり伝えることがポイントです。
子ども自身が、片付けるといいことがある(この場合は、片付いた部屋ではダンスができる)ことを実感するのが何より大切です。
③約束を守る
最後に、約束は絶対に守ってくださいね。今回は「ダンスをすること」です。片付けをさせるために1回でも約束を破ると、せっかくの積み重ねが台なし! これだけは要注意です。
このステップの繰り返しで、片付けたお部屋の気持ちよさがわかるようになり、それが、片付ける動機になります。とはいえ、自分から率先してどんどん片付けるようになるのは、まだ先の話。
でも大丈夫。実は、モデルルームのように片付いたお部屋よりも、昨日遊んだおもちゃがそのままになっているほうが、子どもの前頭葉が活発になって遊びに工夫が生まれるようになると言われています。
子どもが小さいうちは、「片付けなさい!」とあまり怒る必要はなさそうですよ。