叱っても片づけしない子どもを変える「親の言葉」

天野ひかり、とげとげ
2023.08.28 13:44 2023.09.29 11:50

子どもに我慢させるのはいけないこと?

子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉

・「受け身の我慢」と「自発的な我慢」どっちを育てる?

「娘が泣き虫なので、我慢できるようになってほしいと思って”泣かずにがんばろうね”と常に声をかけていたら、顔を引きつらせながら我慢するようになってしまいました。今からでも「泣いてもいいんだよ」と言ったほうがいいでしょうか」。

多くのお母さんお父さんから我慢に関するご相談をたくさんいただきます。

まずはNGマンガを見てみましょう。

いかがでしょうか?そんなに悪い言葉かけではないように思いますよね。

まず「我慢する力」とは何かを考えてみましょう。一般的に「我慢」は、人や環境から押し付けられた圧力に耐える意味で使われます。つまり「受け身の我慢」です。

しかし、子どもの成長で大切な我慢の力とは、自分の気持ちをコントロールできる「自発的な我慢」です。

自発的な我慢とは、自分の目的のために、何をすべきかを考えて自己抑制できることです。

ミーちゃんは、「ジャングルジムに登りたい」「蜘蛛の巣の前を通りたい」という自分の目的に向けて、泣くことを我慢しているので、自発的な我慢の力が育っています。

ですから、お母さんがここで「我慢しなくてもいいよ」というのは、考えてみればおかしな話。心配するお母さんの気持ちはよくわかるのですが、この場合は「認める言葉」をかけましょう。

「我慢しなくていいよ」も認める言葉ではないの? と思いますよね。実はこれ、認める言葉ではないのです。

OKマンガを見てみましょう。

「無理しなくていいよ」がNGの理由

子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉

OKマンガとNGマンガとの決定的な違いは、「無理しなくていいよ」「泣いてもいいよ」「我慢しなくていいよ」といった、許可の言葉を使っていないことです。

「無理しなくていいよ」という言葉は、子どもを認める言葉にも聞こえます。でもこれは親が判断を下している言葉。認める言葉ではありません。

同じ意味で、「我慢しなくていいよ」も一見、認める言葉のように感じますが、せっかく子どもが自主性を伸ばそうとしているのを妨げる可能性があります。気をつけましょう。

「我慢できたからえらいね」も一見、認めている言葉のように感じますが、子どもは「我慢できる子」という期待に応えようとして、自分の意思とは違うことを演じて苦しくなる可能性があるので、気をつけたいですね。

それでは何と言えばいいのか? お子さんの行動や気持ちをそのまま言葉にして認めるだけでいいのです。子どもが「怖い…」と言えば、「怖いね」。子どもが「てっぺんまで登った」ら、「登ったね」。これが認める言葉です。そう、とっても簡単なことです。

我慢の力を育てる2つのポイント

海で遊ぶ親子

認める言葉をかけた上で、我慢する力を育てるためにポイントは2つ。

①自発的な我慢の力は、おおむね4才以降に発揮されることを知る

子どもに我慢させることよりも、欲求や意欲を育てることが先です。0才から無理に我慢させたり、子どもに無関心だったりすると、4才以降に育つとされる「我慢の力」が十分に育たないことがわかっています。

②親がお手本を見せる

一緒に挑戦したり楽しんだりする姿を見て、子どもも安心して挑戦できるようになり、自分が本当にしたいことやすべきことは何かを考えられるようになり、自分を抑制できるようになります。もちろん親が我慢する姿を見て、子どもも覚えていくことを忘れずに。

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