出産に立ち会うパパが「後悔しないために知っておくべき4つのこと」
「本当は気が進まない」「その場にいても何をしていいのかわからない」…立ち会い出産に対して、そんな後ろ向きなおもいを抱えているパパも多いのではないでしょうか。パートナーと一緒に出産当日を乗り越えるためのポイントを、産婦人科医の重見大介さんが解説します。
※本稿は重見 大介著『病院では聞けない最新情報まで全カバー! 妊娠・出産がぜんぶわかる本』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集したものです
重見大介
産婦人科専門医、公衆衛生学修士、医学博士。株式会社Kids Public 産婦人科オンライン代表。大学病院の産婦人科で臨床を経験したのち、「女性の健康 x社会課題」へのアプローチを活動の軸として、オンラインで女性が専門家へ気軽に相談できる仕組み作りや啓発活動、臨床研究、性教育などに従事。また、SNSやネットニュース等で医療情報を積極的に発信している。
多くのカップルが立ち会い出産に臨む
最近では、立ち会い出産を希望するカップルが増えているように感じます。私が前に勤めていた病院では、想定外の急な出産でなければ、経腟分娩のうち8〜9割のカップルが実際に立ち会い出産に臨んでいました。
産婦人科医として正直に言えば「立ち会い出産するかしないかは2人で決めてOK」と思っています。立ち会い出産しないと産まれた子どもに愛情を持てないということもないですし、立ち会い出産したカップルがみんな幸せいっぱいかというとそうでもないのが現実です。
また、生理的に血が苦手だ、どうしても前向きになれない、という男性もいて、立ち会いを強要することは当然できません。
しかし、立ち会いを希望する男性にはあらかじめ知っておいてほしい/知っておいたほうがよいことがいくつかありますので、ここでお伝えします。
1 知識
出産に関する基本的な知識・情報を事前に身につけておくことは重要です。陣痛開始後の流れやいきみのタイミング、帝王切開の概要などを把握しておくと、パートナーへ適切なサポートができるようになります。
2 サポート
出産時のサポートとして、それぞれに合った励ましやリラックス方法、されて嫌なことを共有しておきましょう。マッサージや呼吸法を一緒に練習したり、リラックスできる音楽を用意したりすることができます。されて嫌なこともありますので、事前に確認しておきましょう。
3 心理面
出産は心身ともに大きな負担がかかるため、パートナーの心理面への配慮も大切です。不安や恐怖などのさまざまな感情に寄り添い、一緒に大変な時間を乗り越えていきましょう。
4 緊急時の対応
緊急時に慌てず対応するためには、急速遂娩や帝王切開の理由や流れ、新生児蘇生について事前に把握しておくことが大切です。立ち会い出産中であればその場で一緒に医師からの説明を聞けますし、同意書にサインをするなどの手続きをすべてすることが可能です。慌てず、不安を抱えているパートナーを支えてあげましょう。
配慮を忘れず、素敵な思い出に
立ち会い時には、女性パートナーのいろいろな「顔」を見ることになるかもしれません。そうした「顔」を笑ったり、茶化したりするようなことは決してしないようにしましょう。産後何年経っても、そうしたことで受けたショックは覚えているものです。
出産しても家族としての時間は長く続いていきますので、ぜひ心情への配慮を忘れず、出産立ち会いを素敵な思い出にしてくださいね。
関連書籍
病院では聞けない最新情報まで全カバー! 妊娠・出産がぜんぶわかる本(KADOKAWA)
「妊娠・出産」については、変わらない常識もあるが最新研究によって「昔の常識が非常識」になることもたくさんあります。新しい情報へのアップデートに加え、「妊娠・出産」の期間はもちろん、妊娠前に気を付けておきたいこと、産後のママの体のケアなどにもフォーカス。女性の心身のケアや回復、産後の健康がよく分かります。