「13歳までの親との関係」が子どもの自己肯定感を決める

中野日出美

目標を持ち、努力する大切さについて考える

【質問1】神様があなたに1つだけ何かの才能をプレゼントしてくれるとしたら、どんな才能が欲しい?

この質問もまた、親子で楽しめる質問です。

「勉強しなくても、いつも100点がとれる才能!」「メジャーリーグで活躍できるくらいの野球の才能!」「映画やドラマ化されるくらい、すごいヒット作を描ける漫画の才能!」などなど、考えるだけで楽しめますね。

ときには、現実にはありえない「魔法を使える才能」などと答える場合もあるかもしれません。そんなときは、「じゃあ、その魔法で何をしたいの?」とお子さんの真の望みを掘り下げてみるといいでしょう。  

なかなか思い浮かばないお子さんには、お母さん(お父さん)から先に、「お母さんだったら、”微笑みかけるだけで、誰からでも好きになってもらえる才能”がいいかなあ」などと、面白い例を提示してあげてください。

この質問でもやはり、「神様からはプレゼントしてもらえなくても、自分の力で何とか手に入れることはできないものか?」と思考を広げていきたいものです。そのためにも、ワクワクして、何としても手に入れたくなるような気持ちにさせたいですね。

生まれもった才能がなくても、大きな目標をもち、努力を少しずつ積み重ねることで手に入れられる能力がたくさんあることを示唆してあげましょう。

ありのままの自分を愛するには…

【質問2】あなたの身体のどこか1カ所だけ変えられるとしたら、どこをどう変える?

現代では、容姿にこだわる傾向が強くなり、「痩せていなければ美しくない」「二重瞼でなければかわいくない」と思い込んでいる女の子が増えています。さらには、女の子だけではなく、男の子も容姿にこだわるようになってきました。

美しいことは悪いことではありませんが、摂食障害や整形依存、自分の容姿に対する不必要な劣等感からくるさまざまな問題を抱えている人が年々増えているように感じます。

「たった1つだけ?」とか「顔全部」などと答えてきたら、「どうして? どこをもっと変えたいの?」とさらに考えることを促したり、「すごくいい顔しているし、ママは○○の顔、すごく好きだけどなあ」とこの質問に乗じて、自信をもたせてあげましょう。

ポイントは、美しくなることや子どもの理想をいたずらに否定しないことです。理想どおりの自分になることは、決して悪いことではありません。

問題なのは、ありのままの自分に対する劣等感から、無理なダイエットや整形、運動などに走ることです。ただし、子どもに自信をもってもらいたいあまり、「あなたは今のままで十分に完璧よ!」などと励ますと、かえって白々しい感じになりますのでご注意を。

年をとればとるほど、見た目よりも能力や実績という中身が重要視されてきます。そんなこともさらっと教えてあげましょう。

自分らしく生きる力を育むには?

【質問3】無人島でたった1人で生きなければならなくなったあなたは、好きなものを3つだけもっていけます。あなたなら、何をもっていく?

この質問では、無人島という隔絶された世界で生き延びるために、または、自分らしくいられるためには、自分には何が必要なのかを考えさせることを目的としています。

その子によっては、「ナイフとライター、テント」など生き延びるための実用品を選ぶかもしれませんし、「家族の写真、大好きな漫画全集、集めてきたカード」など、自分が大切だと思っているものを選ぶかもしれません。

あるいは、現実的に生き抜く力の中には、自分のメンタルをケアできるような方法も含まれています。

いくらお金持ちの家に生まれて、容姿も学力も備わっていたとしても、幸せだと感じる力が欠けていたり、心が弱ければ、社会の中でたくましく生き延びることは難しくなります。

現実的な思考とともに自分を喜ばせるもの、自分を動かす燃料にも視点を向けられるような働きかけも必要ですね。現代では、ただ生きるだけではなく、自分らしく、満足しながら生きることが幸福の必須条件。そのためにも、自分を満たすものを考えさせましょう。

自信がない・考えるのが苦手・傷つきやすい 「心が強い子」に育つ100の質問
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