子どもの「相手の気持ちを察する力」を育てる親の3つの質問

中野日出美
2024.06.25 16:07 2023.10.25 11:50

勉強に悩む女の子

想像力を鍛えることで、相手の気持ちを察したり、将来進むべき道についてしっかり考えることが出来ます。お子さんの人間関係を豊かにし、充実した人生を歩むために必須の力なのです。本稿では、想像力を鍛えるために有効な3つの質問を紹介します。

※本稿は中野日出美著『自信がない・考えるのが苦手・傷つきやすい 「心が強い子」に育つ100の質問』(大和出版)から一部抜粋・編集したものです。

中野日出美(なかの・ひでみ)
NPО法人 日本心理コミュニケーション協会 代表。公認心理師。心理セラピスト。絵本作家。親子関係の改善を図るセラピーの専門家。

なぜ、想像力が必要なの?

小学生の男の子

想像力は共感力の源です。

共感力とは、相手の置かれている立場や気持ちを想像できる力、そして、それを相手に指し示すことができる力のことです。

ちなみに共感とは、同感ではありません。同感は、自分も同じように感じるということです。

一方、共感は、相手の立場になって感じる力です。「この人ならば、きっとこう見えているんだろうな」「こう聞こえているんだろうな」「こんな気持ちなんだろうな」と感じ取り、それを相手に伝えられる力―。

これが、相手の内面を想像する力です。

また、想像力の高い人というのは、夢見がちな人ということではありません。あるいは、ものごとを自分の都合のいいように解釈したり、思い込んだりする人でもありません。

事実を活用しながら、見えないものを推測する力をもっている人です。人の心は目では見えません。

だから、日常のその人の振る舞いや性格、思考パターンなどを通して、その人の心を想像できるかどうかが、とても大切です。それができれば、その人が言われて嫌なことは何なのか、言われて嬉しいことはどんなことなのか、今、かけてほしい言葉はどんな言葉なのかが、自然とわかります。

当たり前ですが、こうした「察する力」があり、相手の思いを汲める力がある人は、人から好かれ、愛されることは間違いありません。

電車に乗る子ども

なお、想像力があれば、未来を予想することもできます。未来に起こるかもしれない問題を想像できれば、その問題が起きないように準備することや、問題が起きたときのための対処方法を早めに考えることができるでしょう。

自分にとって理想的な未来を想像できれば、向かうべき場所がわかりますし、そこにたどりつくために何をすればいいかもわかります。

豊かな想像力があることのメリットは、それだけではありません。

たとえば大人になって、何かしらの職業に就いたときに、ユーザーや顧客がどんな問題を抱えているのかを知り、既存のアイデアではなく、オリジナルの新しいアイデアを提供できれば、間違いなく差別化ができ、成功しやすくなります。それらもまた、想像力が高い人と低い人とでは大きな差が出るところです。

想像力は、まさに問題を回避したり、解決するためにも使えますし、自分の目標を明確にするためにも、そして、ゴールにたどりつくためにも使える力なのです。

面白いのは、現実に体験していなくても、想像しただけで身体が反応を起こすことです。

レモンを食べる想像をしただけで、唾液が出るのはそのためです。ネガティブな想像をしたり、いつも不安や怒りを抱えている人は、身体にも悪い影響を及ぼしています。

想像力は、心と身体を健康にするためにも大いに役立つのです。

成功する人生を歩むために必須となる想像力―。

本稿では、質問の答えを考えながら、お子さんの想像力を鍛えていきます。どうぞ、お子さんと一緒に想像をふくらませてみてください。

中野日出美

中野日出美

NPО法人日本心理コミュニケーション協会代表。公認心理師。心理セラピスト。絵本作家。親子関係の改善を図るセラピーの専門家。