子どもの癇癪がグッと減る「3歳からできるアンガーマネジメント」

野村恵里
2023.09.20 11:18 2023.10.26 11:50

イライラしたら、6秒数える

絵を描く子ども

・お絵描き遊びで

子 「もう! また間違えた」
ママ 「間違えちゃったの? なんだかイライラしているねぇ」
子 「だって、うまく描けない!」
ママ 「悔しいんだね。イライラしているみたいだから、一緒に6秒数えてみようか
子 「……」

子どもに向き合い、子どもと目の高さを合わせて両手をつなぎ6秒数える

子・ママ「1、2、3、4、5、6
ママ 「上手にできたよ。どう? 少し落ち着いたかな?」
子 「うん」
ママ 「どんなふうに絵を描きたかったの?
子 「ゾウの耳をもっと大きく、かっこよく描きたい」
ママ 「そうだったのね。ママは、すごく素敵だと思うけど、もう一回描いてみる? 落ち着いて描いたら、かっこいい耳が描けるかもしれないよ」
子 「うん!」

泣く男の子

・保育園、幼稚園の送迎時に

ママ 「〇〇ちゃん、一緒に帰ろう」
子 「嫌だ! 帰らない!」
ママ 「どうしたの? 何か嫌なことがあったのかな?
子 「だって! だって!」
ママ 「うん、うん。落ち着いて話せるように、一緒に6秒数えてみようか

子どもをハグしながら6秒数える

子・ママ「1、2、3、4、5、6
ママ 「上手に数えたね。よしよし。少し落ち着いたかな?」
子 「うん」
ママ 「ママにお話を聞かせてくれる?
子 「うん。あのね、〇〇ちゃんとケンカしたの」
ママ 「そっか、ケンカをしたから、悲しくて淋しい気持ちだったんだね
子 「うん」
ママ 「〇〇ちゃんと仲直りできる方法を、一緒に考えながら帰ろうか?」
子 「うん!」

6秒ルールの解説

砂遊びする親子

「6秒ルール」の目的は、一呼吸おくこと、落ち着いた心の状態を作ることです。会話文でも紹介しましたが、ママと「手をつないで」「ハグしながら」など、数を数えるだけでなく触れ合いながら、抱きしめてもらいながらという肌感覚の安定剤になってあげてほしいのです。

「静かにしなさい!」「イライラしないの!」「怒ってもしかたがないでしょ!」と、命令や否定をされてしまうと、くすぶっていた怒りは、あっという間にヒートアップし大炎上します。

でも、スキンシップをとりながら6秒数えて落ち着いた後、ママに話を聞いてもらうことで子どもの心は安心感で満たされます。自分を大事にしてくれている感覚が、イライラをポカポカの気持ちに変えてくれます。

なお、このテクニックは、子どもの気持ちを落ち着けることさえできればいいので、「数を数える」ことが重要なわけではありません。6~7文字程度のフレーズを考えて、代用してもいいのです。

例えば、
「たーぬきさんが、ぽんぽこポン」
「いーちごさんが、わーらった」
「おーほしさまが、ぴんぴかりん」

など、リズムが取りやすい言葉をつなげてフレーズを作っておくと使いやすいのではないでしょうか。

こうしたかかわりを続けていると、ママがいないときに子ども自身が自分のご機嫌を取るために、6秒ルールのテクニックを使うようになっていきます。

時間はかかりますが、学童期、青年期を迎えたとき、子どももママもイライラをぶつけ合うことなく良い関係で生活できる未来の土台作りだと思って、取り組んでみてはいかがでしょう。

関連書籍

とっさの怒りに負けない!子育ての画像1
とっさの怒りに負けない!子育て(すばる舎)
なかなか怒りを抑えられないタイプのお母さんでも実行できる現実的な方法を紹介。併せてお子さん自身の癇癪が減っていく接し方も併せて解説しています! 保育士歴20年子育て歴18年の「子育てのプロ」が4コマ漫画を使いながら、わかりやすく紹介していきます。