親子関係にヒビが入ることも…家庭で「ゲーム禁止」は避けるべき理由

東大カルぺ・ディエム、西岡壱誠
2024.04.18 17:14 2023.11.03 11:50

【悩み】ゲームばかりして勉強しない

【解決策】小学生の間は、1日「1時間以内」にする

・具体的なルールを決める
どれくらいゲームをやっていいのか子どもが判断できない頃は、親がある程度管理してあげることも必要になります。

例えば、小学生の間はゲーム時間を1日「1時間以内」にするという具体的なルールを決めるといいでしょう。

東大生へのアンケートでは、小学生のときのゲーム時間は、60%以上が1時間以内と回答(75件の回答中、禁止は27件、1時間以内が33件)。学習習慣がまだついていない小学生だからこそ、ゲームの時間が長くなりすぎないように気をつけると良いでしょう。

ただし、家庭のルールでは「全面禁止」としていたのが小学校低学年で36%、中学年で20%、高学年で17%という結果となり、「宿題が終わったらOK」「リビングでのみOK」などのルールのもとゲームをしていた、という東大生が一定数いました。

考える小学生
・全面禁止は避けたい理由
学習習慣のついていない小学生の頃は、いくらでもゲームにのめりこんでしまう可能性があるので、一定のルールをつくり、学習習慣が身につくまで見守ってあげてほしいです。

それなら「最初から全面禁止にすればいいのでは?」と思う方もいるかもしれません。

しかし、ゲームを禁止されていた東大生からは不満の声も出ており、家庭内不和の原因となります。全面禁止にされた人からは「友達との話についていけなくなった」という人もおり、禁止令は諸刃の剣であるようです。

また、子どもが隠れて遊ぶようになれば、禁止の意味がありませんし、むしろ「親に隠れて遊ぶ」という悪い経験を覚えるようになるかもしれません。

全面禁止にするのではなく、「ある程度のルールのもと制限する」と良いでしょう。

例えば、「宿題をやったらゲーム解禁!」でもいいですし、ポイント制にして、「宿題を時間内に終わらせたら1ポイント! 1ポイントで30分、ゲームしていいよ!」というように付き合い方を考えてみましょう。

さらにいえば、勉強になるゲームもあります。「ゲームだから」という理由だけで縛ってしまうようでは、何も考えていないことと一緒です。付き合い方を一緒に考えることこそが、上手に遊びと勉強の両立を実現するための一歩となるでしょう。

【まとめ】
・小学生のうちはルールがあった方が学習習慣が身につく
・厳しすぎるルールは逆効果!「親に隠れて遊ぶ」ことを覚えてしまう

【東大生の声】
・友達のゲームの話についていけないので、当時としてはゲーム禁止令はやめてほしかった。しかし、ゲームが解禁されたら堕落することは目に見えていたので、今としてはある程度、その方針を理解している。
・ゲームは禁止されていたが、友達と話が合わなかったのが辛かった。また、受験の反動でソシャゲにとてものめり込んでしまった。
・自由にやらせてもらえて、その点はありがたかった。ゲームのために友達を家に呼んだりもしており、コミュニケーションツールになっていた。
・ゲームに関するルールは当時は嫌だったが、どうしてもやり過ぎてしまうので、必要なルールだったと思う。

スマホなどの誘惑を断つ方法は?

スマホをいじる男の子

タブレットやスマートフォンにはいろいろな便利機能があって勉強にも役立つ反面、遊びにも使えるのが難しいところです。勉強すべきときに、動画ばかり見てしまうときなどは、どうすればいいでしょうか?

【悩み】暇さえあれば、スマホやタブレットを見ている

【解決策】「勉強する場所」と「休む場所」とを分ける

・場所を分けることで、スイッチが切り替わる
勉強中、スマホやタブレットを手元に置いておくと気になり、つい遊びたくなってしまうもの。そこで、勉強するべき場所、時間帯には持ち込まないようにしましょう。目に入らない場所にあれば、強制的にスイッチが切り替わり、勉強すべき場所では遊ばなくなります。

同時に、いくらでも遊んでもいい場所や時間帯を決めましょう。遊んでいい場所でいじっている分には、一切文句を言わないようにすることも重要です。これを親が破ってしまうと、「勉強する場所/しない場所」という区分けが崩れてしまい、せっかく引いた境界線がなくなってしまうからです。

勉強する子ども
・「場所」という物理的なスイッチが、習慣化に役立つ
息抜きをすべきときには全力で休み、代わりに勉強すべきときには全力で勉強に打ち込む。このようにメリハリをつけることが重要です。

実際、子どもは自分でスイッチを切り替えるのが難しいもの。だからこそ、「場所」という物理的なスイッチを作ってあげるべきなのです。

自分で切り替えられるようになるまでは、使っていい場所、ダメな場所を決めて徹底させましょう。もし、勉強場所で遊んでいたり、遊び場所で勉強していたら、注意してください。一旦、線引きしたなら、親御さんもそれを守り、お子さんもそれを守れるようにフォローしてあげることが大事です。

【まとめ】
・「勉強する」「遊ぶ」を切り替えるために、物理的なスイッチ(場所、時間帯など)を作ってあげる
・「勉強する場所」では勉強のみ、「遊ぶ場所」では遊びのみと決めて守ってもらう

【東大生の声】
・親が自営業をしており、中学受験の勉強は店の事務所で父に教わりながら行っていた。家とは少し離れたところに店があったため、良い切り替えになっていたと思う。
・高校生の受験期間、勉強は学校で行い、家はあくまでもリラックスする場所としていた。親の前で勉強する姿を見せていないため、勉強について心配することもあったかもしれないが、親は口出しをせずに見守ってくれたので、自分のやり方で受験期を乗り越えることができた。

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西岡壱誠

西岡壱誠

偏差値35から東京大学を目指すも、現役・1浪と、2年連続で不合格。 崖っぷちの状況で開発した「暗記術」「読書術」「作文術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大(文科二類)合格を果たす。2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国20校以上の中学校と高校で学生たちに思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている。また、YouTubeチャンネル「ドラゴン桜チャンネル」を運営、約1万人の登録者に勉強の楽しさを伝えている。 著書はシリーズ累計40万部突破の『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』(東洋経済新報社)ほか多数。TBS系日曜劇場『ドラゴン桜』脚本監修。

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