約束を守れない子を叱るのは本当にNG? 3歳から12歳の「迷った時のベストな声かけ」

若松亜紀
2023.10.02 14:10 2023.11.07 11:50

草原を歩く親子
自由にふるまう子どもに対して、つい厳しく叱りすぎたり、甘やかしてしまったり……。こどもとのかかわり方に難しさを感じる親御さんも多いのではないでしょうか。

「こんな時どうする?」と思うシーンでのベストな声かけを、若松亜紀さんに教えていただきました。


※本稿は『PHPのびのび子育て』2021年2月号から一部抜粋・編集したものです。

若松亜紀
(秋田県児童会館「みらいあ」館長)
幼稚園教諭、子育てサロンの経営などを経て、現在は子育て、コミュニケーション講座やセミナー、執筆活動を精力的に行なう。著書に、『巣立っていく君へ 母から息子への50の手紙』(青春出版社)などがある。

子どもはいつだって、親に注目してほしい

パパと娘

結婚前、夫に夢を語りました。

「庭付きの家で、キッチンは白い大理石。ぴっかぴかの作業台でお料理するの♪ お手伝いさんがね」

あれからうん10年。お手伝いさんは頼めていませんが、食材キットを注文しています。形は違えど、相変わらずラク家事道を求めて。

これを代替え行為と言います。子どもが寝たすきにやけ食いするのも同じこと。子どもを征服できない代わりに、食べ物を征服してスッキリ! というわけです。

わがままに見える子どもも、無意識に代替えをしているのかもしれません。抱っこが無理ならおんぶを、おんぶもだめならイタズラしちゃえ! と。そうやって、お母さんやお父さんの注目を勝ち取ろうとしているのです。

このとき、適当にあしらうと長引きます。「うるさい!」とビシバシやるとおじけづく子もいます。

子育てはLIVE! 「どうしたらいいのよ〜」と迷うことも、こちらが泣きたくなることもたくさんあります。そんなときは自分に聞いてみてください。「私が子どもならどうされたい?」と。その「問」が、あなたを良い方向に導きます!

こんなときに甘やかしやすい!

子どもに甘くなるのは、手なづけたいとき、めんどうなとき、だまらせたいときなど。まったくもって大人側の都合です。

ごはんの前は何も食べない約束なのに、子どもから「おなか減った!」攻撃にあい、「これでも食べとけ」とちくわを与えるのは私です。

こんなときに厳しくなりやすい!

子どもに厳しくなるのは、時間に余裕がないとき、思い通りにならないとき、好きな俳優の写真にいたずら描きされたときなど。こちらの思惑から外れたときです。

体育会系のお父さんが、やわな子・やさしすぎる子に、「強くなれ!」とスパルタするのも、そのひとつです。

幼児期 3~4歳

何を言っても伝わらず、手をやくことも。親の根気が試される時期です。

間違いやすいシーン1:
友だちやきょうだいに、すぐに手が出る

真剣な顔の子ども

「しないこと」ではなく、「すること」を伝える!

すぐに手が出る子がいます。足が出る子もいれば、歯が出る子もいます。見ているほうはハラハラです。その手を「たたいちゃだめ!」とパチンとたたく人がいますが、言っていることとやっていることがちぐはぐです。

こんなときは、お手本を示すとグッド。おもちゃを取ったら「貸して」と、相手が泣いたら「ごめんね」と、どうするといいか見せましょう。

ダイエットも「食べちゃだめ」と禁止するより、「食べたくなったらガムをかむ」など、することがわかっているほど成功しやすいそうです。

「しないこと」より「すること」を伝えましょう。

間違いやすいシーン2:
「買って買って!」とねだる

泣く男の子

「見せない」「事前の約束」「待つ」で応戦を!

ガチャガチャ(カプセルトイ)を見れば「やる!」と言い、戦隊ものが交代すれば新グッズに目がくぎ付け。スーパーでは子どもの目線にお菓子が並び、水族館の出口付近には、ぬいぐるみが勢ぞろい。そのたびに買うの買わないので、ひともんちゃく。

ここで折れたら、子ども産業の思うツボ。(1)見せない、(2)事前の約束、(3)待つ、で応戦しましょう。

たとえば、(1)ガチャガチャは遠回り、(2)買い物前に「お菓子は1つ」、(3)欲しがったら「誕生日にね」「じぃじに会ったらお願いしよう」など。

カウントダウンカレンダーは「待つって楽しい」が身につく強い味方です。

幼児期 5~6歳

だいぶ聞き分けがよくなるものの、まだまだ甘えたい時期です。

間違いやすいシーン1:
寝る時間や遊ぶ時間など、約束が守れない

笑う子

まずは共感、それからブレーキ!

テレビや動画を見続ける、チャイルドシートから抜け出すなど、何度注意しても言うことを聞かないと、親はドッカンと爆発します。けれども、子どもにしてみれば、「ダメよ!」だけではおもしろくありません。

ここは気持ちに共感、行動に制限! やりたいのはわかるけれど、いけないことだと教えます。

まずは、「楽しいもんね」と子どもの思いをくみましょう。すると聞く耳ができます。その上で、「もう約束の時間だよ」などとブレーキをかけましょう。
あ、私も夕飯前は「おなかすくよね~」だけにして、ちくわはやめなくちゃ。