勉強に遅れがある子が「2年でトップを狙う」ための自宅学習

陰山英男

陰山英男さんは、正しい方法で自宅学習をすれば、学校や塾に頼らずとも成績を上げることが出来ると語ります。本稿では「勉強が進みやすい子・遅れている子」それぞれに合った自宅学習の進め方について紹介します。

※本稿は、陰山英男著「陰山流 新・おうち学習戦略」(Gakken)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

1年分の勉強内容を2か月で終わらせる

【基本の年間計画の立て方】
・忘れることを前提にする

おうち学習計画の基本はスピードです。「ゆっくり、ていねいに」は一見よいことのようですが、実はダラダラを増長させるだけ。さっとできることが目標です。

1年分の勉強内容を2か月~3か月程度で終わらせるように計画を組むのが、おうち学習計画の基本です。さらに、それを3回以上繰り返します。これは「忘れることを前提」にした勉強法です。

当たり前ですが、子どもも大人も時間と共に記憶は薄れていきます。大人でも、今新たに覚えたことを復習しないまま半年後、1年後にテストしたら、点数は下がりますね。「人間は、忘れるのが当たり前」を前提にして、3回は同じ範囲を繰り返します。そうすることで、暗記が定着し、理解も深くなっていきます。

また、学んだことは瞬時に頭の中から取り出せるようにしておくのが理想です。たとえば三角形の面積の公式を問われて、すぐに答えられないと、中学校では完全に暗記しているものとして授業が進むため、ついていけなくなります。



・2学期終了までに超強力な基礎を身につける
まずは年間計画の基本パターンを紹介しましょう。1年分の学習を3か月で終え、それを3回繰り返す。スタートは春休みです。すると、1回目の追い越し学習が5月末~6月中頃に終わりますので、すぐに2回目、3回目と繰り返すと、だいたい年内には3回目が終わるはずです。

2か月で1年分が終わるペースだと、ゴールデンウィーク前後に1回目、夏休みまでに2回目、夏から秋にかけて3回目になります。繰り返しは時間が短縮される可能性が高いので、1回目は3か月、2回目は2か月、3回目は1か月半ぐらいのペースで進むこともあります。この場合、3回目を終えるのが9月末あたりです。この3回は、同じドリルを使ってかまいません。

1回目:基礎を固める。ひととおりドリルが終わることが目標
2回目:基礎を盤石にする。問題の正答率ほぼ100%が目標
3回目:超強力な基礎にする。問題の正答率100%が目標

3回目には問題を覚えてしまっていて読まずに答えを書く子もいますが、それくらいまで仕上がるのが理想です。ちなみにドリルをコピーして使う人もいるかもしれませんが、同じドリルを3冊買うことをおすすめします。成長記録として残せることと、コピーより結果的にコストがかからないことが多いためです。

勉強が進みやすい子の学習計画の立て方

・4年生で6年間の勉強を終えるのが理想
学習を継続していると、学習スピードが上がってきて、1年分の学習量を半年ほどで終えて、超強力な基礎を固める子は珍しくありません。そのため、たとえば1年生から「基礎を3回、最後に穴埋め・増強」をしていると、最短で3年生いっぱいで6年生の学習まで終えてしまえます。

つまり、学年を超えた”追い越し学習”です。

学年を超えた追い越し学習は、その子の習熟度によって進め方が大きく変わってきます。モデルケースを示すのがむずかしいのですが、次のような進み方で自然と学年を超えていきます。新1年生の場合です。

3月~5月初旬……1年生の追い越し学習1回目
5月初旬~7月半ば……1年生の2回目
夏休み……1年生の3回目
9月~11月……穴埋め・増強
12月~1月……2年生の追い越し学習1回目

現実的には、4年生で6年間の勉強を終えるくらいのペースがよいでしょう。中学受験を検討している家庭は、それくらいのペースを目標にすることが多いようです。学校では5年生の範囲となっているところを、塾では4年生で勉強することがあります。

6年生まで終わっていなくても、1年上の学年の追い越し学習が済んでいれば、精神的にもゆとりを持つことができます。


・学年を超える目安を知っておこう
もちろん、焦りは禁物です。そもそも私が世間一般で耳にする”先取り学習”という言葉を使わないのは、先取りを焦るばかりに基礎基本ができないまま上の学年の内容を勉強して、ドツボにはまる親子を見ているからです。

“追い越し学習”は基礎基本を固めることを主眼としています。2年生の学力が身につけば3年生の内容に、3年生の学力が身につけば4年生の内容にと、結果的に自然と次の段階の学習に進んでいくものです。

一見、似ているようですが、本質はまったく異なります。正反対の考え方です。子どもの様子を見ながら進めたり、戻ったりを繰り返して基礎力を頑丈にしていくのが原則であることを忘れないようにしましょう。

およその目安は百ます計算が2分以内であれば4年生の学習に、百割計算が5分以内になれば6年生の学習内容に入ることができる、というものです。百割計算が2分以内になったら、小学生の学習を超えてかまいません。

ここまで高速化して基礎が超強力に固まると、子どもはもっと高いレベルを求めるようになります。少しむずかしい教材を与えて、学習意欲を伸ばしてあげましょう。

中学受験を考えてもよいですし、中学生で学習する範囲の勉強に入るのも1つの方法です。この場合は、漢字と数学の基礎を中心にするとよいでしょう。方程式ぐらいなら苦労なく解けるはずです。

漢字、特に熟語まで学習すれば、小学生には多少、難易度の高い文章も読めるようになります。読書体験を増やしたり、生活の中で知的好奇心を刺激する体験を与えましょう。

おうち学習の最大のメリットは、子どもにジャストフィットできることです。進めるか、戻るか、次の教材はどうするかなど、学習を進める中での悩みは、SNSで保護者同士で意見を交換することができます。自分の子どもにちょうどよい内容を、適切な教材と量で与えていきましょう。

学習の遅れがある場合には思い切って戻る学習計画を

・2年かけてトップクラスになろう
「学校の授業についていけない」「基礎力が足りない」という場合の年間計画を考えてみましょう。学習習慣が身についていない子の場合、毎日、自宅で机に向かうのが当たり前になり、ある程度の基礎力を確立するまでに2年くらいかかるのが目安です。

確かに、2年もの期間、保護者が子どもに寄り添って遅れている勉強を一つずつクリアしていくのは楽ではありません。それまでなかった学習という習慣を生活に組み入れるのも慣れるまでは苦労するでしょうし、子どもを見守るのも根気が求められる作業です。

しかし、逆に言えば、「今学校の授業についていけなくても2年後には上位の成績が取れるくらいになれる」わけです。

なお、そこまでではなく、「今ひとつ学力が上がってこない」くらいの子の場合、前の学年に戻って学習すれば早くて3~4か月で基礎力を身につけることができるでしょう。


・遅れのある子の具体的な計画と方法
勉強に遅れのある子の場合、本人が「これならできる」「簡単だ」と感じるところまで戻るのがコツです。集中してできることを高速化していきます。

このとき、戻ることをためらってはいけません。むしろ思い切って、徹底的に戻ってください。戻ると余計にいまの学年の勉強に遅れてしまうと怖さを感じるかもしれませんが、戻ることが逆に近道になります。小学生の算数の場合、1~3年生の前半までを完璧に固めると、4~6年生はスムーズにいきやすくなるからです。

たとえば5年生で学校の授業についていけない子も、1年生の内容はすらすらと解くことができたりします。時間の経過で脳が成長しているので、簡単に感じるわけです。思ったより時間もかからず、「1週間で1年分が終わってしまった」ということも珍しくありません。

さらに、一気に戻ると、つまずいたポイントがわかるので、その穴埋めで基礎力を固めることができるのです。

よく高学年だと追いつくのは無理との話がありますが、実は逆です。高学年になれば脳は成長していますから、やり方が良く、毎日やれば半年、1年で追いついて、高成績になることは十分可能です。その後、6年間の仕上げをまとめてやれば、卒業時には安心して中学生になれるだけの学力が身についています。

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著者は、「これからの学習は『家庭』が担う」「子どもの学力を伸ばせるのは『家庭』の戦略と心掛け次第」と明言。戦略的な学習プランと教科別の進め方ポイントをマニュアル化し、ムダなく理解がすすむ攻略ポイントをこの一冊にまとめました。