点数だけでなく人間力も見られる!「小学校受験で受かる子」の3つの特徴
小学校受験に「お受験対策」は必須ですが、実は先生方が見ているのは試験の点数だけではありません。
私立小学校教諭として18年勤務されたなごみゆかりさんが、小学校受験に受かる子の3つの特徴をご紹介します。
※本稿は、なごみゆかり著『忙しいママでもできる! 私立小学校を受験しようと思ったら読む本 』(日本能率協会マネジメントセンター)から、一部抜粋・編集したものです。
「この子いいな!」と思う子には、3つの特徴がある
小学校受験に挑戦される場合、みなさんお子さんを幼児教室(塾)に通わせて、しっかりと「お受験」の準備をされると思います。当然、当日は点数が高いお子さんから順に合格が決まっていくわけなのですが、教師側から見て「ああ、この子は魅力的だな」「うちの学校に来てほしい」と思うのは、ただ単に点数の高い、「そつなく問題をこなす子」だけではないのです。
点数としては他の子と大差なくても、「この子いいな!」と思う子には、以下の3つの特徴があります。採点している教師側の考えと、入学後実際に一緒に生活することを踏まえて長期的な視野で「合格」する子の特徴をぜひ知ってください。
ユーモアのあるコミュニケーション力
…積極的、感情豊か、前向き、ひとへのかかわりを楽しむ、緊張している子がいたら笑わせてあげる、など
コミュニケーションは、ときとして人に勇気を与え、あるいはリラックスさせ、笑顔にし、身体の内側から「楽しいな!」と感じさせる力を持っています。その代表的なコミュニケーション力が、「ユーモア」なのです。
この「ユーモア」とは、何かを言って、ゲラゲラ笑わせることを指しているわけではありません。受験においては、「自分のことで精一杯」「必死」な子どもたちがほとんどです。もちろんそれでいいのですが、中には、目と目が合うとニッコリ笑ったり、緊張している子を見て「ドキドキしちゃうよね」と言ったり、教師を見て「先生って、おもしろいね~!」と声をかけてくる子もいたりします。学校側の方針などにもよりますが、わりと男子が多めの学校や、雰囲気として伸びやかな学校だと、そんなお子さんが好ましく映ったりもします。ガチガチに緊張している子より、肝が据わっていて本番に強い、何か大成する雰囲気を持ち合わせていたりするのです(もちろん、教師の指示行動がまったくとれていないような場合は話が別)。
教師側も、「この子が6年間、本校で生活したらどんなふうに化けるだろう?」とちょっとワクワク期待してしまうのです。
こう考えてみると、「ユーモア」ってコミュニケーションの上乗せにもなり、余裕すら感じさせてしまうものだと思いませんか?
そんな「ユーモア」を持ち合わせたお子さんは、入学後もクラスの子どもたちを和ませてくれる、とっても素敵な存在になりうるのです。
アドリブ力
…明るくエネルギーがある、ストレスにも耐えることができる、勇気がある、柔軟性がある
アドリブには、「場数」「センス」もあると思いますが、日常的に意識することで、鍛えることもできます。
受験こそ、まさにアドリブが必要。とっさのときにこそ、その子の本当の姿が見えます(保護者面接も同様です)。そして、受験に限らず、今後もお子さんを「ここぞ!」のときに助けるのがアドリブだと思うのです。
受験という、幼いお子さんでもピリピリと緊張が走るとき。そんなときでも自分だけでなく、他の子に対してもアドリブ対応ができることって大切だと思いませんか。それこそ人間力。
たとえば、「受験当日トイレに行ったとき、ハンカチを忘れた子がいたら貸してあげる」「試験でグループが作れない独りぼっちの子に、進んで声を掛けられる」「急に折り紙の折り方を忘れてしまったり、もしくは誤って紙を破いてしまったりしたときにその旨を落ち着いて伝えられる」…こんなことに即活用できるのです。
小学校に入ったら、急に集団生活になります。先生がすべての自分の行動を細かく見てくれるということは激減します。そんなとき、「困っている」「どうすればいいかここまで考えたけど、この先これでいいのか?」などと尋ねて確認できることが必要なのです。依存する「待ち」の姿勢ではなくて、自分から積極的に行動していくこと。
小学校では、アドリブ力は必須の力と言えます。
素直さ
素直って、それだけで財産だと思うのですよね。 人は、人の中で生活し、成長していきます。ですから、人からの意見に耳を傾けられること、たとえ自分の好みや考えに反していたとしても「ふうん、そんな考えがあるのか」「おもしろそう。今度ちょっとやってみようかな」と思う子どもは、行動の幅が広がると思うのです。これは、「人に迎合する『イエスマン』になれ」「行動を変えろ」と育てているわけではありません。自分の考えやこだわりはとても大事。それが自分の姿を形作っています。でも、人の考えや行動をどう「受け止める」か。その受け止めの姿勢こそが素直さに直結しているのではないでしょうか。
クラスに30人の子どもがいれば、それぞれ考えが違うのは当然。「この子の、この考えはぼく(わたし)とは違うけれど、こちらの考え方には賛同できるな」そんな姿勢を持っている子は、同じように友達からも受け止めてもらえることでしょう。頑固な子は、接しにくい。入学してからも、教師はちょっと手を焼きます。
素直な子がクラスにいると、クラスが明るく、和やかになり、個を大事にできるクラスになっていくのです。
小学生の6年間の成長は、驚くほどです。身長110㎝ほどの子が160㎝になるほど成長したり、足のサイズも靴箱からはみ出すほどの、26㎝くらいにまで育つ子もいます(30㎝定規とだいたい一緒です!)。1年生のまだ「幼い子ども」から、6年生の間に「大人と見まごう」ほどの成長を遂げるわけです。この6年間に、子ども同士、または教師から多くの刺激を受けて、「素直さ」を持って自分の「枠」を広げられること。いろいろな人に出会い、多種多様な考えを知ることは、今後の子どもの人生にも大きな大きな役目を果たすことでしょう。
関連書籍
忙しいママでもできる! 私立小学校を受験しようと思ったら読む本
年々受験者数が増加する小学校受験。
かつてはごく一部の人しか知らない世界と思われてきたが、共働き世帯の参入が進み、中学受験ほどではないが盛り上がりを見せつつある。
その理由として、コロナ禍で私立の方が公立よりも対応がスピーディであったことや、中学受験の過熱や大学入試改革などを踏まえて早期に進路を決めてしまいたいというニーズもあると思われる。
ただ、どういう子どもが小学校受験に向いているのか、家庭でどういうことができるのかというと、まだノウハウが知れ渡っているとはいえず、一部のインナーサークル内で情報が流通している印象が強いのではないだろうか。書籍の多くも塾関係者のものであり、塾への誘導のために、根幹にかかわる部分は避けて記述しているのが実情である。
しかし、何となく興味を持つ人も増えている中で、とりあえず小学校受験とはどのようなもので、受かるにはどうすればいいのか、知りたい人が増えていると思われる。
そこで本書では、私立小学校に長年勤務した著者が、「どういう子どもに入学してほしいか」「そういう子どもをどうやって育てたらよいか」ということを解説する。
小学校受験初心者がこれからどういう考え方で、どういう取り組みをしていけばよいかを伝える。家庭でできる入門書。