心配性の親に育てられた子どもが、「人間関係に苦労する」心理学的な理由
寒い日に半袖で出かけようとするとき
× 寒くない? 上着を着ていったら?
〇 半袖で行くんだね
・親が心配性であるほど、子どもが依存する
どんな親でも、わが子のことは常に気にかけ心配するもの。急に泣き出したら「お腹が空いたのかな?」「おしっこしたのかな?」と心配しますし、食事を食べるようになって好き嫌いが多かったら「このまま偏食になったらどうしよう」と心配します。
反抗的な態度をとれば「もっと優しい子になってほしい」と思うし、優し過ぎて意見が言えないと「もっと自己主張できる子になってほしい」と思うものです。
心配するだけならいいのですが、「寒くない? 上着を着ていったら」とか「雨が降りそうだよ。傘を持っていきなさい」「忘れ物はない? ハンカチ持った? 宿題やった?」のように頻繁に声をかけるのは”口の出し過ぎ”です。
さらに、子どもの宿題をつきっきりで手伝ったり、子ども同士の喧嘩に口を出して学校に乗り込んだりするのは”手の出し過ぎ”です。
口の出し過ぎを「過干渉」、手の出し過ぎを「過保護」と呼んだりしますが、これらは時として子どもの経験や自立のチャンスを奪ってしまうことがあります。
口の出し過ぎ、手の出し過ぎといった親子の距離感は、その後の人間関係の「距離感の土台」に影響します。
心理学では、自分と他人を区別する境界線のことを「バウンダリー」と言い、小さい頃からの親と子の関係がその後の人間関係の距離感の土台になると考えられています。
親と子どもの距離が近すぎるとバウンダリーが曖昧になりやすく、子どもは自分で考える機会を奪われてしまい、人の感情に振り回されやすくなります。子どもが自ら考えて行動できるよう、口の出し過ぎ、手の出し過ぎには注意したいものです。具体例を紹介していきます。
0〜2歳への声かけ
歩き始めた頃の子どもをイメージしてください。一生懸命歩こうとして、心許ないと思うでしょう。危なっかしく見えても、すぐ後ろから支えたり、背中を掴んだりするのは手の出し過ぎです。
常に支えられていると、子どもは自分の重心や、どうすれば安定させられるかがわからなくなります。支え過ぎた方が、転ぶ危険性が高くなってしまうのです。
子どもの経験を邪魔しないように、「こっち側を歩こうか」とやわらかい地面を歩かせるなど、環境に気を遣ってあげることが大切です。
3〜6歳への声かけ
子どもが寒い日に半袖で出かけようとしているとします。そのままだとこごえて辛い思いをし、風邪をひいてしまうかもしれません。子どもの様子を伺うことなく真っ先に「上着を着ていきなさい」と言うのが過干渉、そのうえでさらに上着を持ってきてあげるのが過保護にあたります。
まずは「半袖で行くのね」などと声をかけて、「外は寒いのかどうか」「自分はどうすべきなのか」を子ども自身に考えさせてあげましょう。
7〜12歳への声かけ
学校に行った子どもが家に忘れ物をしていた場合、あなたはどうしますか? 「子どもがかわいそう」という気持ちになって届けたくなりますね。
ですが、そこはぐっとこらえてください。子どもが辛い思いをするのは子ども自身のせいなので、親はそれを見守ってあげましょう。
ただし、他の人に影響がある場合は例外。発表会で使うものを忘れてクラスのみんなに迷惑をかけるというときは、持っていってあげてもいいです。
「子どもがかわいそうだから」という理由で手伝うのは我慢して、あとで「どうして忘れ物しちゃったんだろう」「しないためにはどうしたらいいかな」と一緒に考えてあげて、対策を練るという形で協力してあげましょう。
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