0歳から12歳まででどう変わる? 子どもの意欲と感受性を育てる「年齢別・親の声掛け」

竹内エリカ
2024.04.02 15:20 2024.04.30 11:50

二人の子ども

子どもが元気に、健やかに育っているのか…? 特に初めての育児では不安になることが多いものです。わが子の成長を5つの指標をチェックしてみましょう。一般財団法人日本キッズコーチング協会理事長の竹内エリカさんが解説します。

※本稿は、 竹内エリカ著『心理学に基づいた 0歳から12歳 やる気のない子が一気に変わる「すごい一言」』(KADOKAWA)から、一部抜粋・編集したものです。

子どもの成長が見える「あいうえお」

母親と娘

子育ての正解ってなんでしょう? 私は、正解はないと思っています。子ども一人ひとりに個性があり、持っている才能も違うのですから、当然、その過程での接し方、才能の引き出し方は違うはず。正解がないからこそ、試行錯誤するのですね。

ただ正確に言うと、「子育ての方法に正解はない」けれども、「子育てのゴールには正解はある」のです。

そのゴールは何かというと、「笑顔」です。笑顔は自信の表れと言われています。自分の人生を自ら選択し、その人生を味わい尽くすこと、つまりどんな形でも「幸せ」を感じて笑顔でいてくれたら嬉しいですね。

「勉強もできてほしい」「運動もできてほしい」「優しい子になってほしい」「努力できる子になってほしい」……子どもに望むことは多いけれど、それでも「うちの子はちゃんと育っているのかな?」と不安になることがありますよね。

そんなときは子どもが元気に健全に育っているかどうかを確認できる5つの指標を思い出してください。それが、次の「元気な子を育てる『あいうえお』」です。

あ=(よく)遊ぶこと
い=意欲的であること
う=運動すること
え=笑顔でいること
お=お話をすること

遊ぶ子ども

●あ=(よく)遊ぶこと
遊びとは社会性を学ぶ第一歩と言われています。よく遊ぶこと。それは人との関わり合いを学ぶ大切なステージです。人とただ仲良くするだけではなく、もめたり喧嘩をしたりしながらも、自分の意見を言って折り合いをつけていく。そうした経験があるからこそ、コミュニケーションの基礎が養われていくのです。

●い=意欲的であること
これは、あらゆることに興味を持てるかどうか、感受性があるかどうかを意味します。太陽を見て「まぶしい」と感じ、風鈴の音を聞いて「すずしい」と感じ、レモンを食べて「すっぱい」と感じ、カメムシを触って「くさい」と感じ、お風呂に入って「あったかい」と感じるか。これらの五感(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚)に関わる感性が、学びの原点になります。

●う=運動すること
これは、日常的に体を動かしているかどうかを意味しています。心と体は連動していて、体を適度に動かすことで心も健全に育ちます。運動と言っても、スポーツに取り組んでいなければいけないという意味ではありません。

保育園や幼稚園に歩いて通っているとか、休みの日は公園で遊んでいるとか、犬の散歩をしているとか日常的な活動で十分です。

もちろん部活動などのスポーツも、定期的な運動習慣がつくのでおすすめです。本人がやりたいと言ってきたらやらせてあげるといいでしょう。

運動は、「お父さんにキャッチボールをしてもらっていた」「公園でサッカーをした」などの楽しかった気持ちや思い出とつながるので、楽しい運動習慣を作ってあげるといいですね。

木登りをする子ども

●え=笑顔でいること
これは言葉の通り、子どもが普段よく笑っているかどうかです。笑顔は自信の表れです。「楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しくなる」とも言われる通り、意識して笑顔になれる環境を作ることで、幸せな心の状態を維持することが可能になるものです。

●お=お話をすること
自分の気持ちを言葉で伝えられるかどうか、そして人の話を聞けるかどうかということです。人は自分の気持ちをわかってほしい、理解してほしいという欲求を根本的に持っています。

「ママ見て!」「パパできたよ!」といった自己主張からはじまり、「悲しい」「嬉しい」といった感情表現が上手にできるようになると、心が安定するものです。

また、相手の話を聞けることも大切です。一方的に話すだけでは、ただの欲求発散になってしまいます。話を聞ける子にするには、その子にとって楽しい会話を親が心がけるといいです。

遊んでいる子どもに「楽しそうなことをやってるね。何やってるの?」「ママ・パパのやっていることはどう思う?」と声をかけてあげるなど、普段の会話を大切にしてみてください。

この5つがバランスよく当てはまっていれば、健全に育っていると言えるでしょう。年齢別に、5つのうち特にどれに注意すればいいかをお伝えします。

パパと子とママ

0〜2歳への声かけ

まず1歳は、「う」(=運動すること)を意識しましょう。1歳は運動能力が伸びる時期。散歩に出かけたり、たくさん体を動かす遊びをしてあげたりしましょう。2歳で意識したいのは、「お」(=お話をすること)。

この頃の子どもは、言葉を覚えていろんなことを話そうとします。親は赤ちゃん言葉を使わず、大人のしっかりとした言葉で話してあげましょう。「あ、お花が咲いて綺麗だね」「黄色いお花が咲いてるね」など、情景を細かく説明する言葉を使ってあげるといいです。

3〜6歳への声かけ

3歳は自立期と言われる時期です。「い」(=意欲的であること)を意識して、何事も一生懸命取り組んでいるかを見てあげましょう。「お手伝いしたい!」「お料理したい」「靴紐は自分で結ぶ」のように自分で色々なことをやろうとしますが、それを応援してあげてください。失敗しても見守ってあげましょう。

4〜6歳で意識したいのは、「あ」(=よく遊ぶこと)。遊びは、社会性のスタートで、コミュニケーションや人間関係のルールを学ぶ場でもあります。お友達とたくさん遊ばせてあげるといいですね。

7〜12歳への声かけ

体も心も成長し、悩みも出てくる時期。まず意識したいのが「え」(=笑顔でいること)。笑顔は自信の表れ。常に笑顔があるかどうかを確認してあげましょう。ムスッとしてあんまり笑わなくなったというときは、何か悩みがあるかもしれません。

また、「お」(=お話をすること)も大切です。小学生になると、色んな感情を抱くようになります。しかし、なかなかそれを上手に人に伝えることができません。特に友達や学校に関する悩みは、親に話さない子どもが多いです。

ですので、おうちの中でお話をする習慣を作ってあげましょう。食事は家族全員でとってその間は会話をする、リラックスできて本音が出やすいお風呂の時間に話してみるなど、タイミングを見極めて声をかけてみましょう。

竹内エリカ

竹内エリカ

幼児教育者。淑徳短期大学非常勤講師。お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了。20年にわたり、子どもの心理、教育、育成について研究。2児の母。

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