「自分と他人と比べて、落ちこみやすい子」が ”そうじ”で変わる理由

舛田光洋
2024.10.01 10:07 2024.09.04 11:50

掃除をする男の子

友だちやきょうだいと比べて、自信を失ってしまう……。他の人と比較するクセは、自己肯定感を下げる事に繋がることも。

そうじ力研究家の舛田光洋さんが、「そうじ」が自尊心を強くするのに最適だと感じた体験談を、著書『賢い子の「そうじ力」 そうじで身につく集中力、思考力、判断力』より抜粋してご紹介します。

※本稿は、舛田光洋,宮本さおり著 『賢い子の「そうじ力」 そうじで身につく集中力、思考力、判断力』(日本実業出版社)から一部抜粋・編集したものです

「できたこと」を数えて自尊心を強くする

悩む女性

我が子の幸せを願い、少しでも勉強ができるようになって欲しいと頑張る親御さんもいます。都会では、幼稚園や小学校低学年のうちから塾に入れる家庭もあります。塾に入るとどうしても、他の子との実力の違いなどが気になってしまいます。

「他の子はできているのに、うちの子は、どうして?」
「なかなか順位が上がらない」
「○○ちゃんは、いつも成績がいいのに」

このような他の子と比べてしまう言葉がつい出てしまうこともあるでしょう。そして残念なことに、子どもは、通っている塾の先生から心ない言葉を浴びてしまうこともあるのです。

悩みを抱える男の子
舛田家には男女合わせて3人の子どもがいます。その中の1人、末っ子の長男は小学生のときの先生の言葉によって心が折れかかった経験があります。彼は算数が得意で、上位のクラスにいました。

ところがある日、クラスが1つ下がってしまったことがあったのです。本人は、とても残念がっていましたが、私は静かに様子を見守っていました。

息子は、なかなかこの成績の落ち込みから立ち直れず、気持ちも塞ぎ込んでいるようでした。そこで、様子を聞いてみると、なんと学校の先生から心ない言葉をかけられていたのです。

「おまえは上のクラスには戻れないよ」

そうしたマイナスの言葉を「なにクソ」とバネにして力に変える子もいますが、息子はそうではありませんでした。先生から言われたこの言葉が心にグサッと刺さってしまい、そこから気力が下がってしまっていたのです。

また、舛田家の末っ子ということも息子の自己肯定感を弱めていたのかもしれません。上の姉2人は成績も優秀で、学校でも「あの舛田姉妹の弟」と、周りから見られることもあったようです。

親はどの子もかわいく、同じように接しているつもりなのですが

「僕は舛田家のお荷物だ」

などと言うこともしばしばありました。なかなか塾でクラスが上がらずに落ち込んでいた息子が、ある日

「自分は記憶力がないから上のクラスに戻れないんだ!」

と言い出したのです。しかし、私はこの子に記憶力がないなどとは思っていませんでした。今までの息子をずっと見てきたから、そう言えるのです。

なぜなら、好きな戦隊ものの名前や、何百とあるマンガのキャラクターを覚えていたからです。「あんなにたくさんの名前を覚えられるのだから、記憶力が決して悪いわけじゃない。好きなものを記憶する能力は長けていると思うから、『自分は記憶力がない』なんて思わなくていいよ」

私はそう彼に伝えました。

でも、いくら私がそう伝えても、なかなか立ち直ることができないようでした。君は君のままで素晴らしい、君には君にしかない良さがあるんだと伝えても、それが伝わりません。なぜなら、彼の自尊心を低下させているのは、人との比較だったからです。

父親に支えられる男の子
私も以前、ある作家さんと自分を比較して、すごく落ち込んでしまうことがありました。

あの人はあんなにできている……
あの人は、あんなに上手に言葉で伝えられている……

比較をあげればきりがないほどです。いくら比較したところで、その人になれるわけでもありません。また、なれたとしても、それは自分の良さを失うことになるのだと気がついたのです。そこから、人と比較するクセを払拭することができました。

子どもの頃は自他の区別をつける時期がどうしても必要で、人と比較してしまいがちになるときがあるのですが、成長していく中で、そこから自分にしかないものを見つけていくことが、とても大切なのです。

身長の伸び方に違いがあるように、学ぶ速度や伸び方にもその子のペースがあるはずです。誰かとの比較ではなく、昨日の自分と比べてできたことがあったのなら、それで充分なのです。

その点、そうじは他人との比較ではなく、どこまでいっても過去の自分との比較になります。今日はここを整理できた。今日はここの汚れが取れたと、成果がすぐに見えるのもそうじの良いところです。

このように、「できたこと」を数える日々を送っていると、自尊心も強くなります。他人との比較から抜け出すことは大人になることの一つなんだと、部屋のそうじを一緒にしながら、ぜひお子さんに伝えてあげてください。

舛田光洋

そうじ力研究家。1969年北海道生まれ。2005年「心と掃除」の研究により自ら開発した実践型思想「そうじ力」で社会啓蒙活動を開始する。『夢をかなえるそうじ力』(総合法令出版)を出版。国内外52冊におよぶ『そうじ力シリーズ』は累計380万部を超える。近著に『一生、運がよくなり続ける!「そうじ力」ですべてうまくいく』(三笠書房)がある。現在は、子どもの学習意欲、成績向上のためのそうじ力や、企業などに対しての環境整備にも力を注いでいる。

X:@masuda621

Instagram:@elmitu77

賢い子の「そうじ力」 そうじで身につく集中力、思考力、判断力

賢い子の「そうじ力」 そうじで身につく集中力、思考力、判断力』(舛田光洋,宮本さおり 著/日本実業出版社 刊)

小~中学生の子を持つ親や教育関係者に向けて、子どもが本当の賢さを得られる「そうじ力」を初公開!累計部数380万部超の「そうじ力」の舛田光洋氏が、気鋭の教育ジャーナリスト宮本さおり氏と組んで、家庭での「そうじ」の効用を伝える一冊。子ども部屋、リビング・ダイニングなどを、「捨てる」「汚れを取る」「整理整頓」のスリーステップでキレイにして、“賢い子どもが育つ環境”に変えるヒント、方法が満載!