思春期はいつ始まる? 「3つの段階」と「男子と女子」による違い・接し方

相場千恵子(シンクアフフェーズ)

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子育てをするうえで親がよく理解しておかなければならないものとして、思春期があります。

思春期に突入すると、それまでとは態度や言動が大きく変化することも珍しくありません。どのように対応すれば良いかわからず、戸惑ってしまうこともあるでしょう。

ですが、それは子どもにとっても同じです。また、男子と女子では思春期に違いがあります。
そもそも思春期とは何なのか、いつから始まりどういった行動がみられるのかなどについて解説します。

思春期の時期とは?

そもそも、思春期とはどういったものなのでしょうか。
一般的に、思春期に該当する年齢はおおよそ10歳から20歳です。個人差が大きく、これより早く始まるケースもあれば、20歳を過ぎても長く続くケースもあります。
また、思春期ではあるものの、特にそれまでと大きな変化が見られない子どももいます。

思春期には、からだと心に大きな変化が現れるため、本人たちもその急激な変化に戸惑う時期です。性に対する意識が高まる傾向が見られるほか、これまでと興味が変わることも珍しくありません。

また、親との接し方も大きく変わります。干渉されることを嫌ったり、一緒に出かけることを嫌がったりする子どもも多いです。親も思春期について理解し、接し方を考えることが大切になります。

思春期の3段階

思春期は、大きく分けて前期・中期・後期の3段階に分類されます。それぞれの時期と特徴を確認しておきましょう。

前期

前期は、10歳~14歳頃の時期です。この頃になると少し大人びた態度をとったり、それまでとは異なる言葉遣いが気になり始めたりします。徐々に自我が芽生え始める時期です。

少しずつからだの変化も見られるようになるので、本人も自身の変化に戸惑い、自分は何なのか、誰なのかといった不安や疑問を感じることもあります。
衝動的な暴力行為を示す子どももいるため、親が戸惑いを感じることもあるでしょう

中期

中期は、14~17歳頃の時期です。さまざまな葛藤を抱えやすい時期でもあり、大人よりも友人関係に強い興味を持ちます。そのため、前期よりも親と距離をとったり、反抗期に突入したりする時期です。
思春期特有の課題が見られるのも中期であり、その背景には反抗期による親子のコミュニケーション不足なども挙げられます。

性意識が高まることから、異性に興味を持つ子どもも増える時期です。複雑な時期であることから、不登校の子どもの割合が増加しやすくなります。
文部科学省によると、令和4年時点での不登校児童生徒数及びその割合は小学生が1.7%なのに対し、中学生は6.0%です。(※)

参考:(PDF)文部科学省:令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要[PDF]

後期

後期は、17~20歳頃の時期であり、大人になるための移行時期です。自分は何なのか、誰なのかといった疑問に対し、多くの子どもが答えを出す時期ともいえるでしょう。
また、自分はこれからどうなっていきたいのか、どこへ行こうとしているのかといった答えを見つける時期でもあります。

少しずつ思春期の混乱は落ち着いていくようになりますが、社会人になることに対する不安を感じやすい時期です。

男子と女子による思春期の違い

男子と女子では、思春期の時期や態度・行動に違いが見られます。共通点も含めて紹介します。

時期

思春期に入る時期は、男子と女子では違いがあります。
男子が思春期に突入する年齢の目安は、10~14歳ほどです。

一方、女子の思春期が始まるのは8歳半~10歳です。一般的には男子よりも早く思春期を迎えることになります。
女子のほうが大人びている子どもが多いといわれるのもこのためです。また、女子は思春期が始まるのが早い分、終わるのも早いため、思春期特有の反抗的な態度やトラブルといったものは女子のほうが早く落ち着くケースが多いといえます。

ただし、思春期が始まる時期については個人差があるので、一概にはいえません。小学校中学年から中学生の間くらいで始まると考えておくと良いでしょう。

態度や行動

男子に多く見られる思春期特有の変化として、暴力的な行為・言動が挙げられます。親に手をあげるようなケースは多くありませんが、暴言を吐いたり、自分の思い通りにならなかったことに対し、イライラして八つ当たりしたりすることも珍しくありません。

女子は、それまでと比較して父親に対して冷たくなったり、屁理屈が増えたりする傾向があります。最近妙に口答えが増えてきたと感じる場合も、思春期の影響によるものかもしれません。

共通点

男子と女子の両方にいえるのが、どちらも心やからだの変化が現れ、不安定な状態になっているということです。言動にも変化が現れるので戸惑ってしまうことがありますが、それ以上に子どもは戸惑いを感じていることを理解しましょう。

また、男女ともに思春期はイライラしやすい傾向が強まります。些細なことでもすぐにカッとしてしまうので、親としては何に対して怒っているのか、不機嫌になっているのかわからないことも少なくありません。
これは、本人も同じです。自分でもムカムカ、イライラしている原因がわからず、そのことに対して不安定な状態になることもあります。

思春期の子どもへの接し方

思春期の子どもに対する正しい接し方を理解しておかないと、毎日ぶつかり合いになってしまうこともあります。どのように接すれば良いかわからない方は、以下の4つを意識してみてはいかがでしょうか。

笑顔で接する

子どもが不機嫌だったり、イライラしていたりするからといって、親も同じ状態になってしまうのはよくありません。さらに子どもの不安やイライラが加速してしまう可能性もあります。

たとえば子どもが反抗的な態度をとったとしても、親はいつもと変わらずに笑顔で接しましょう。いつも笑顔で向き合ってくれる親は子どもにとって信頼できたり、安心できたりする存在になります。
何か困ったことがあったとき、頼りやすくなるでしょう。

子どもとぶつかってしまうことがあったとしてもできるだけ早く気持ちを切り替え、笑顔で接することが大切です。

話を聞く

子どもが話しかけてきたときは、丁寧に話を聞くことも重要です。
もしも子どもが親に聞いて欲しいことがあって話しかけたのにきちんと聞いてもらえなかった場合は、次から話しかけるのをためらってしまいます。

「親は自分の話を聞いてくれない」「自分に興味を持ってくれていない」といった不安につながってしまうこともあります。

問題行動の理由を理解する

思春期にはたびたび問題行動が起こりますが、問題行動には理由があります。その中心にあるのは、思春期から始まるホルモンバランスの変化や、小さな子どもの頃とは変わってゆく心やからだの成長です。

中には自分でも無意識のうちにイライラして周りに当たってしまい、それを大きく後悔する子どももいます。自分のものであるはずの心やからだがうまくコントロールできず、問題行動につながってしまうケースが多いです。

反抗的な態度や暴力的な態度をとってしまう思春期の子どもには、その態度・行動をとってしまう理由があることを知っておくと、理解につなげやすくなるでしょう。

成長の過程を見守る

思春期の問題行動は少しずつ落ち着いてきます。また、子ども自身も自分のからだや感情がコントロールできずにいるので、無理にその態度や行動を直そうとするのではなく、見守る姿勢も大切です。
諦めて無視するのではなく、子どもが何か相談してきたときには力になれるような姿勢でいましょう。

まとめ

思春期の問題は非常に難しく、この時期に親と子どもの関係性が大きく崩れてしまうこともあります。何か問題行動を起こした場合は親としてそれを正そうと考えるのは当たり前のことといえますが、思春期の問題行動には心とからだの変化が関連しているので慎重に対応しなければなりません。

大切なのは、子どもとしっかり向き合うことです。また、親自身が思春期について深く理解することも欠かせません。子育て経験のある知り合いに話を聞いてみるのもおすすめです。