「孤独のグルメ」に通ずる魅力あり? 『もののけしょくどう うらめしや』【絵本レビュー】

セコリ(nobico編集部)
2024.08.30 12:01 2024.09.12 11:50

うらめしや

この記事の画像(1枚)

nobico編集部員が、おすすめの絵本をご紹介します。
今回は、たにむら のりあきさんの『もののけしょくどう うらめしや』(福音館書店)を、4歳の息子に読み聞かせてみました。

今回読んだ絵本はこちら

もののけしょくどううらめしや

もののけしょくどう うらめしや』(福音館書店)
たにむら のりあき 作

読んであげるなら:4才から
自分で読むなら:小学低学年から

身近なものが「もののけ」に

うらめしや

基本的には怖がりな息子なのですが、お友だちの影響か、最近は妖怪などにも興味があるようです。
「うらめしや」と書いてあるけれどあまり怖くなさそう、という理由で、本書を読み聞かせてみました。

タイトルの通り、物語の舞台は、深夜にもののけたちが訪れる食堂、「うらめしや」。
飲み屋のような雰囲気のお店で、壁にぎっしりと貼られたメニューに妙なリアリティがあります。
モデルのお店があったるするのでしょうか?

そんな「うらめしや」にやってくるのは、リモコンさんやクッションさんなど、身近な「もの」がモチーフとなった「もののけ」たち。
基本的にみんなどこかかわいらしいのですが、妖怪っぽい不気味さもあり、ちょうどいい塩梅です。
現代的な家電などが、昔から日本にいそうなもののけの姿になっているのも、ギャップがあって面白い。
4歳児は「目がこんなになってる…」とリモコンさんの目を数えたり、興味深々の様子でした。

ちなみに、かっこいいもの好きの4歳児のお気に入りは、目つきがやや鋭い「じゅうたんさん」だそう。
じゅうたんなのに、なんだか強そう……。

おいしそう? 個性の強い料理たち

うらめしや

もののけたちが注文するのは、リモコンさんは「でんちずし」、クッションさんは「わたのハンバーグ」など、個性の強いメニューの数々。
ほかにも、「くつしたのてんぴぼし」「ほこりのほっこりスープ」「タッパーバーガー」などなど、食感や味が想像できないものばかりです。

ぱっと見は結構おいしそうで、特に揚げ物は食欲をそそられる見た目をしているのですが、衣の下は紙飛行機だったり、コロコロクリーナーだったり……とても人間には食べられそうにありません。
頭の中で「おいしそう」と「まずそう」がいったりきたりして混乱します。

4歳児も、ページをめくるたび「これはおいしいの?」とびっくりの様子。
「食べてみたいものはある?」と聞いたところ、「うーん……どれもいらない!」とばっさり。
「リモコンだから、電池をたべてもおいしいんじゃない?」などと冷静なコメントを述べていました。
赤ちゃんの頃はなんでも口に入れていたのに……成長を感じます。

「孤独のグルメ」的な魅力を感じる

うらめしや

好物を自由に注文し、幸せそうに平らげるもののけたち。
メニュー豊富な渋めのお店に、登場人物のきもちのいい食べっぷり、そして「食感がたまらない」「おダシ最高」といった具体的な食レポ……
個人的には、若干「孤独のグルメ」に通じる魅力も感じました。
(五郎さんと違って、もののけたちはとても賑やかなのですが。)

4歳児のツボにも見事ハマったようで、「もういっかい、最初から!」と何度も繰り返し読みたがる1冊となりました。
お店の壁に貼られた、物語に登場しないメニューにまで思いを馳せ、隅々まで楽しんでます。

余談ですが、先日「てんぷら妖怪」というカプセルトイに4歳児が大変興味惹かれており、調べたところ『うらめしや』の作者、たにむらのりあきさんの作品であることが判明しました。
たにむらさんの作品は、どうやら息子の心に刺さる様子。新作絵本や『うらめしや』の続編、期待してお待ちしています!

nobico(のびこ)編集部

nobico(のびこ)編集部

PHP研究所が提供する育児・教育情報。比べない、悩まない「のびのび子育て」応援サイト。

X:@PHP_nobico

Instagram:@php_nobico

もののけしょくどううらめしや

もののけしょくどう うらめしや』(たにむら のりあき作,福音館書店)

ここは、もののけしょくどう「うらめしや」。じまんのメニューは「でんちにぎりずし」「ほこりのほっこりスープ」などちょっとふしぎなものがずらり。そしてやってくるお客さんはというと、リモコンさんに、しょうめいさんに、じゅうたんさん……みんな、いったいなにをちゅうもんするのでしょうか。よなよな、どこかでこっそりやっているかもしれない、すこしかわったしょくどうのおはなしを、ご賞“見”あれ。