合格後に子どもが全く勉強しなくなった…親が対応を間違えると水の泡「中学受験のその後」
親子が二人三脚で臨む中学受験。つい合否にばかり意識が向いてしまいますが、親がぜひ考えておきたいのが「受験のその後」です。
子どもの人生は、中学受験が終わった後からがむしろはじまり。「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために気を付けるべきことを、和田秀樹さんの著書・『勉強できる子が家でしていること』より抜粋してご紹介します。
※本稿は和田秀樹著『勉強できる子が家でしていること』(PHP研究所)より一部抜粋・編集したものです
中学校受験で親が燃え尽きないように
中学校受験というのは、人生の入り口の段階にすぎません。今後、高校受験、大学受験と続いていきますし、場合によっては、留学のための試験や司法試験、医師国家試験などを受験することになるかもしれません。さらに社会に出てからもさまざまな試験にチャレンジしていかなければならないわけですから、中学入試の時点で燃え尽きてしまわないように、親子ともども気をつける必要があります。
中学校受験にありがちなのは、親があまりにも必死になり、それに応じて子どももがんばりすぎてしまって、中学校受験でエネルギーを使い果たしてしまうというケースです。私自身も、そして私の母親もそういう失敗をした一人です。
失敗した者の立場からいうと、「ここさえ通り抜ければ、後は楽ができる」と親子ともども思いすぎてしまったことにやはり原因があると思います。中学校受験というのは、親にとってもたいへんなものです。「これが終わったら少しは楽をさせてほしい」というような気持ちも本音ではあるでしょう。私の母もそういう気持ちがあったのだと思います。私の場合は、たまたま後から逆転できたからよかったものの、ここで燃え尽きたり、勉強をしなくなることは、やはりまずいのです。
そういう意味からすると、学校を休ませてまで中学校受験に熱を入れることには私は賛成できません。子どもが不登校になったというようなことなら別ですが、子ども自身が嫌がらずに学校に行っているのに、それを休ませてまで受験に取り組んでも、その後伸びる芽を摘むかもしれないと思います。
これから先、人生まだまだ長いのですから、「たかが中学校受験」という余裕ある気持ちで取り組んでほしいと思います。
合格後に気をつけること
私は、中学校受験のときには、一日三時間くらい勉強していたのですが、灘中に入ってからはほとんど勉強をしなくなりました。いったん勉強しない癖をつけてしまうと、これを再び三時間の勉強に持っていくのはとてもきついということを、身をもって体験しています。
中学校受験の際に、一日三時間勉強していたのであれば、中学に入ってからもそのまま勉強を続け、せめて一日一時間半勉強するというようにさせるべきでしょう。三時間やっていた勉強を、半分の一時間半に減らすのですから、苦痛ではないはずです。
私のようにいったんゼロ近くにしてしまいますと、そこから一時間に持っていくだけでもたいへんな労力になります。
くれぐれも中学校受験はゴールではないということを忘れないようにしてください。
中学校受験で失敗した子にはこんなフォローを
考えたくはないかもしれませんが、受験では「不合格」という事態もあり得ることです。失敗したときにどうするか、落ちてから考えるのでは、子どものためにもよくありません。
まず、併願校はきちんと考えておきましょう。
たとえば第一志望を私立の中高一貫校としている場合は、併願できる公立の中高一貫校があるか、具体的に考えておくことが必要です。大学受験に照準を合わせるのであれば、第二志望であっても、その六年間を使って大学受験に備えたほうが得策です。
かつては高校から御三家などの名門校に入るのは難易度が高くて大変でした。なので中学受験で進学するのが賢明とされていたのですが、最近はほとんどの優等生がどこかの中高一貫校に進学するため、高校からも比較的入りやすくなっているようです。とはいえ、高校受験も相応のエネルギーと時間を使います。それならば高校受験をパスして、大学でトップ校をめざすのも一つの考え方です。
名門校といわれる学校のランキングは、思っているよりも短いスパンで入れ替わっています。苦労して入った学校のレベルが、大学受験までの六年間のうちに下がってしまうこともあれば、逆に上がってくることもあります。現時点でのランキングやブランドにこだわりすぎないほうがいいでしょう。
いずれにしても、子どもは落ちたときのことを前提として受験をしているわけではありませんから、落ちれば大きなショックを受けます。しかし、親としては、落ちたときのことも事前に考えておき、もし落ちたらこういう言葉をかけようなどと予行演習しておくくらいの心づもりが必要でしょう。
もし第一志望に合格できず、子どもが落ち込んでいるようであれば、「中学受験で失敗しても、立派に成功している大人は大勢いる」ということを教えてあげましょう。そして、受験のために積み上げてきた勉強は無駄ではなく、基礎学力として身についており、入学時点で相当なアドバンテージとなっているはずなので、気持ちを切り替えて、次の目標に向かって学習を進めていきましょう。
親があわてないで、最後まで「あなたの味方よ」「最終的にうまくいくように何とかしてやるぞ」という姿勢を見せれば、子どもにも安心感が生まれてきます。
『勉強できる子が家でしていること 12歳までの家庭教育マニュアル』(和田秀樹 著、PHP研究所刊)
著者は学生時代、「勉強は素質だ」とあきらめていたところ、勉強法を変えることで成績が伸びて、東京大学に合格した経験があります。「子どもに合わない勉強法で劣等感を持たせるよりも、子どもに合ったやり方を見出して勉強をさせれば必ず伸びる」というのが、著者の強い信念です。それができるのは、家庭の働きかけがあってこそ。
中学受験する子も、しない子も! 子どもにとって“最後の砦”といえる、家庭で心得ておきたい「令和版・和田式勉強法」をお届けします。