「魚好き」と「肉嫌い」に因果関係は? 子どもの論理的思考が育つ東大式トレーニング
文章にとって大切なのは、因果関係がきちんと成り立っていること。
因果関係のある、なしを見抜けるようになると、読解力や論理的思考が身につきます。
論理的な正しさが掴めるようになるトレーニングを、西岡壱誠さんの著書より抜粋してご紹介します。
※本稿は、西岡 壱誠著『小学生が5日でできる 東大式 超速!読解ドリル』(実務教育出版)から一部抜粋・編集したものです。
「因果関係」が成り立つのはどれ?
「論理的正しさ」がわかれば読解はカンタン!
みなさんは、「因果関係」という言葉を知っていますか? 原因・理由と、それによって生じる結果や結論の関係性を指す言葉です。たとえばあなたは今、お腹が痛いとします。お腹が痛いということは、原因があるはずです。たとえば、食べ過ぎかもしれないし、病気かもしれない。なんにせよ理由があるはずです。理由を説明し接続詞の「だから」や「なぜなら」で結ばれるような関係、これが因果関係です。
でも、この因果関係、一見正しそうに見えても、実は関係が成り立っていないことがあります。たとえば、「空港には電車で行くべきだ。なぜなら、遠いからだ。」と言われたら、「うーん? 遠いからって、電車じゃなきゃいけない理由にならないんじゃない?」と思いますよね。そうです。本来なら、「空港には電車で行くべきだ。徒歩で行くには遠すぎるし、車は渋滞して時間がかかる。バスも出ていない。だから、電車で行くべきだ。」というような説明をしなければ理由になりません。「電車で行くべき」という主張をするために、「それ以外の選択肢がダメな理由」を述べなければならないのです。
このように、原因・理由と結果・結論がうまく成り立たっていることを、「論理的」といいます。理由と結論、原因と結果の関係が論理的であれば、著者の主張の説得力は強まります。因果関係が正しく書かれていることが、文章には非常に大切なのです。
ではここからは、正しい因果関係を見抜く練習をしてみましょう。難しく感じるかも知れませんが、解いていくうちに、きっと論理的なつながりがわかるようになるはずです!
練習問題
次の問題を読んで、ア~ウから答えを選んでみよう。
Q01 僕は魚料理が好きだ。
上の文と強い因果関係がある選択肢を選びなさい。
ア 僕はお肉が好きだ。
イ 僕はお寿司が好きだ。
ウ 僕はお肉は嫌いだ。
Q02 私はこの本を図書館で借りた。
上の文と強い因果関係がある選択肢を選びなさい。
ア この本は、私の本ではない。
イ この本は、図書館の本ではない。
ウ この本は、無料で図書館にゆずられた本だ。
Q03 飯田さんは虫が大の苦手である。
上の文と因果関係がない選択肢を選びなさい。
ア 飯田さんは、クモが苦手である。
イ 飯田さんは、ペットを飼えない。
ウ 飯田さんは、キャンプに行くことができない。
Q04 安田さんは算数は苦手だが、国語は得意だ。
上の文と強い因果関係がある選択肢を選びなさい。
ア 安田さんは社会と理科も得意だ。
イ 安田さんは国語の塾に通っている。
ウ 安田さんの成績は学年でトップクラスだ。
Q05 最高時速500kmのリニア中央新幹線の開業が予定されている。
上の文と因果関係がない選択肢を選びなさい。
ア 物や人を高速かつ大量に輸送することができるようになる。
イ 都市と都市の移動がスムーズになることで、地域に活気をもたらすことができる。
ウ 飛行機を使った輸送量を大幅に増やすことにつながる。
解答と解説
【解答】
Q01 イ
Q02 ア
Q03 イ
Q04 イ
Q05 ウ
【解説】
Q01
「魚料理が好き」は、イの「お寿司が好き」の理由になりますから、因果関係が成り立ちます。逆にア・ウの「お肉が好き」「お肉は嫌い」は魚料理が好きなこととは関係がありません。
Q02
図書館の本は図書館のものであり、借りた人のものにはなりませんから、「私はこの本を図書館で借りた。」という文は、アの「この本は、私の本ではない。」の原因・理由になります。イ・ウの内容はともに、「私はこの本を図書館で借りた。」ことの理由や結果にはなりません。
Q03
「飯田さんは虫が大の苦手である。」という文は、アの「クモが苦手である」の理由になりますし、キャンプ場には虫がたくさんいるので、ウの「キャンプに行くことができない」の原因にもなりますから、ア・ウはどちらも因果関係が成り立ちます。一方、虫が苦手でも犬や猫が好きな人はたくさんいるのでイは因果関係が成り立ちません。
Q04
「安田さんは算数は苦手で、国語は得意」であることが、理由や結果になる選択肢を探しましょう。イの「安田さんが国語の塾に通っている」は、安田さんが国語が得意な理由として理屈が通ります。一方で、アやウの内容は、上の文だけでは判断できないので誤りです。
Q05
リニア中央新幹線が開業すると、どのような結果がもたらされるか考えてみましょう。アやイのような効果が見込めそうですね。一方、リニア中央新幹線が開業すると、それまで移動の速さを重視して陸路ではなく飛行機を利用していた人々が、リニア中央新幹線を利用するようになり、飛行機での輸送が減ってしまう可能性があるため、ウは逆のことを言っています。
現代の小学生は、大人も驚くほど大量の文章を速く正確に読みこなす「読解力」が求められています。
読解力はコツをつかめば子どもから大人まで短期間で飛躍的に伸ばすことができます。
本書は、『東大読書』シリーズで知られる西岡壱誠氏の読解力のノウハウを 小学生から大人まで誰でも取り組みやすいドリル形式でまとめた書籍です。
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