ADHDの子の最難関「使ったモノを片づける」をどう解決した? 赤平大さんのテープ活用術
6年生の12月に突然「麻布中学を受けたい」と言った発達障害の息子さんの意思を尊重しつつ、二人三脚で中学受験を突破した元テレビ東京アナウンサーの赤平大さん。
発達障害について学びながら、トライ・アンド・エラーで子どもとの向き合っています。赤平産の著書『たった3つのMBA戦略を使ったら発達障害の息子が麻布中学に合格した話。』より、発達障害の子が苦手な「片づけ」を習慣化する工夫について触れた一節を紹介します。
※本記事は赤平大著『たった3つのMBA戦略を使ったら発達障害の息子が麻布中学に合格した話。』(飛鳥新社)より一部抜粋・編集したものです。
子ども自身も「なんとかしたいけど、できない」と苦しんでいる
発達障害、特にADHDにとって本当に難しいアクションが、「使ったモノを戻す」です。
たとえば、学校から帰宅して自分の部屋にランドセルを置き、水筒を置き、上着を脱いで床に置いたら、リビングに戻っておやつを取り出してテーブルで食べ、読みかけの本を読みに自分の部屋へ戻り、トイレに行こうと本を自室の机に置いて、戻ってリビングのテーブルでゲームを始めたところで「水筒はキッチンにおいてね」と私が言うと、水筒をどこに置いたかわからず面倒くさくなって生返事。
さらに「そろそろ宿題やろうか」と言われて気乗りしないままリビングテーブルにプリントと筆記具を出すと、テーブルには先客の”食べかけのおやつ”と”やりっぱなしのゲーム機”があり、その隙間で宿題のプリントを広げる。
狭いスペースなので、気づかないうちに消しゴムが床に落下していて必要な時に見つからず、バタバタしているうちに集中が途切れてしまう……こんなことが頻繁にあるのです。
その都度、私が「片づけて勉強しなさい」と指摘すると、余計に息子はイライラして勉強どころではなくなります。どの家庭でもあることだと思いますが、発達障害の中でもADHDの多動性・衝動性が強いと、家中のあちこちで”やりっぱなし””置きっ放し”が物凄く増加します。
「思いついたり気づいたら、やらないと気が済まない」のがADHDの特徴だからです。そこに着手したことを忘れてしまう注意欠如も加わります。
この時、「いつも出しっぱなしじゃないか!」「何度言えばわかるんだ!」「努力が足りない!」と頭ごなしに叱ることは絶対にダメ。これは足が不自由な人に「立って走れ!」
「頑張ればできる!」と言うようなものだと私は思っています。息子自身も「なんとかしたいけど、できない」と苦しんでいる部分です。
文房具もコップも「テープでバミる」を実践してみたら、片づける習慣
そこで私は、ここでも仕組み化を試しました。
「使ったものを”定位置”に戻すだけで、だいぶ身の回りは片付くはず」
「定位置をどうやって認識させたらいいのか……」
考えた末に、モノ1つ1つにわかりやすく「置き場所」を作ることにしました。
勉強机の上、作業の邪魔にならず、うっかり落ちない位置に四角くビニールテープを貼ります。テレビ番組の収録で出演者の立ち位置を床にテープで貼っておくことを”バミリ””バミる”と言いますが、その”バミリ”です。
「鉛筆や消しゴムを使ったら、ここに置こう」
「1回1回戻しておけば、次に使いたい時にすぐ見つかって使えるでしょ?」
洗面所に置いてある歯ブラシやコップの場所なども、テープでバミってあります。テープではっきりと置き場所を決めてあげて、そこに戻す習慣さえ作ってしまえれば、多少は勉強や作業にも集中しやすくなるはずです。
中学に入ってからはスマホやタブレット、メガネなど毎日使うものが増えたので、バミリから、小ぶりな「デスク周り収納グッズ」に切り替えて「置き場所」作戦をアレンジして継続しています。
これだけで整理整頓が完璧になるわけではありません。それでも「使い終わったモノは置き場所に戻す」という意識付けになれば、と思っています。
たった3つのMBA戦略を使ったら発達障害の息子が麻布中学に合格した話。
発達障害のわが子を中学受験成功、麻布中学に合格に導いた元テレ東アナが、子どもに伝えた具体的な勉強法や生活のルール作り、伝え方までもわかりやすく解説します。生きづらさを抱える子どもの学習&生活支援に悩むすべてのパパ&ママに!