子どもの国語力はテレビとラジオで伸びる! 小学生の語彙力が高まる接し方

中本順也
2024.12.09 13:55 2024.12.24 11:50

朝食を食べる親子

国語は短期間での成果が見えづらいのが難しいところです。「このままでいいのかな」と心配になることがあるかもしれません。
どんなことをすれば、国語力を高めることができるでしょうか。

家庭でできる国語力を高める取り組みの具体的な方法を、すばる進学セミナー代表/かまくら国語塾主宰の中本順也著『おうちでできる子どもの国語力の伸ばし方』から紹介します。

※本稿は、中本順也著『おうちでできる子どもの国語力の伸ばし方』(かんき出版)から一部抜粋・編集したものです。

食事の時間は親子のラジオタイムに

取り組みやすさ

★★★

おすすめ学年

小学校中学年〜高学年

国語力を育むうえで改めて価値を見直したいメディアがラジオです。

朝の忙しい時間に落ち着いて活字を追うのはとても難しいこと。その点、ラジオは音声ですので、ほかのことをしながらでも聞くことができます。防災の観点からも、いつでも手に取れる場所にラジオを置いておきましょう。

朝と夕方のNHKニュースがおすすめ

ラジオはスマホで流すのでも問題はありません。

ただ、スマホで聞いていると、アプリの通知音などで音声が分断されてしまったり、場合によっては止まってしまうこともあります。

できればハンディラジオを購入することをおすすめします。2000円ほどで結構よいものが買えます。

次に、どんな番組を聞くとよいかというと、主にニュース番組です。

とくに、朝食と同時に朝のNHKニュースを聞くことをおすすめします。

朝食の時間は親子が揃っている可能性が高いこと、情報を入れて脳を動かすことで目覚めを促進できることが理由です。

また、可能であれば1日に2回、夕食の時間にも聞いてみるとよいでしょう。

ニュースの内容に変化もありますし、朝は忙しくて話題にできなかったことを、夜にもう一度家族の話題にすることもできます。

高学年になるにつれて段々とコミュニケーションの形も変化してくるので、親子の話題づくりにもとても便利です。

わからない言葉を一緒に調べるきっかけに

勉強する小学生と親

ニュースの中には、知らない言葉や地名などがたくさん出てきます。

例えば政治や社会のニュースであれば、「為替と株の値動き」「衆議院選挙」「予算」、事件や事故であれば「業務上過失傷害」「別状はない」「渋滞の緩和」などなど。

小学生にとってはまったくなじみのない言葉です。

「きちんとした知らない言葉」を浴びること自体が、まず貴重な経験です。

子どもが好きなYouTubeやテレビアニメから吸収するだけでは、耳にする言葉に偏りが出てしまいます。

社会でよく使われている言葉、あるいは正しい使い方をされている言葉を聞くことは、新鮮なインプットになります。

脳科学者の加藤俊徳医師は、「脳の『聞く力』を鍛えるのに一番適しているアイテムのひとつに、ラジオがある」としています。

※加藤俊徳『脳を強化したければラジオを聴きなさい』宝島社

ニュースを聞くことによって、世の中のできごとに子どもが興味を持ち、調べたり、行動してみたりする可能性も高まります。

「これってどういう意味?」と、難しめの質問が飛んでくることもあると思います。

もちろん、その場でうまく答えられるとよいですが、答えられなくても「家に帰ってきたら一緒に調べてみない?」と促して(そして保護者はそれを覚えておいて)、インターネットや本で調べるところまで発展したら素晴らしいですね。

気になったことを親と一緒に調べるという経験は、子どもにとっても非常に嬉しいこと。親子の大事な時間になります。

また、リスニングの力も鍛えられます。耳で正確に聞き取っていなければ、調べることもかないません。

例えば、「起死回生の一打によってサヨナラ」と聞いて、「キシカイセイ」という言葉がわからなかったとします。

知らない言葉はただの音として耳に入ってきているので、いざ子どもが辞書で調べ始めても「シキ」のところをずっと調べていたという取り違えも起こり得ます。

「あぁ、それは起死回生だから『キ』のところを調べよう」とサポートしてあげられると、やりとりが印象に残り、記憶に刻まれやすくなります。

調べるこで、初めて自分の聞き間違いを自覚できるというわけです。

「お食事券」と「汚職事件」

実際に、私の家でもこの取り組みをしています。

東京オリンピックの頃、長男との会話の中で出てきたのは「この人はお食事券使って何食べたからニュースになってるの?」というもの。

「おぉ、いい質問だね。お食事の券じゃなくて、汚職の事件だよ。汚職って何か知ってる?」「いや、わかんない」「『オショク』で調べてみて」と、会話が発展していきます。

まさにラジオで起こり得る有名な空耳ですね。

ちなみに私は、子どもや生徒との会話で口癖のように「いい質問だね」と言うので、家でも塾でもモノマネされていじられています。

国語力を伸ばしてくれるラジオ番組はニュースだけではありませんが、ラジオは「パッとつけて流れているものを聞く」という聞き方が一番多いと思いますので、ピンポイントで番組を聞くのは結構困難です。

BGMやタイムキーパーとして流しつつ、合間に挟まれる天気予報や交通情報に耳を傾けるだけでも、季節や地名にまつわる言葉をたくさん知ることができます。

言葉を知り、言葉から連想される世の中の動きを考え、新たな知識を得る。

親子のコミュニケーション、食卓での会話のネタにもなります。

ラジオ、いいことばかりですね。

おすすめのラジオ番組

「子ども科学電話相談」(NHKラジオ)

動植物や天文、科学や人体などについて、小学生の疑問に専門家の先生が答えてくれる番組です。1984年から放送されている長寿番組で、専門家の使っている少し難しめの語彙や言い回しをアナウンサーがやさしく言い換えてくれるのも、言葉の勉強にうってつけです。

こんな問題に強くなる

おうちでできる子どもの国語力の伸ばし方

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中本順也

1981年生まれ。すばる進学セミナー代表/かまくら国語塾主宰。3児の父。
慶應義塾大学文学部国文学科を卒業後、メーカーでマーケティングや営業に従事。その後、神奈川県鎌倉市にある「すばる進学セミナー」で子どもたちの中学受験・高校受験の進学指導や国語学習をサポートしながら、2020年には小学生のための小説創作教室「かまくら国語塾」も設立。小説家を招いたり、オリジナル作品集を作成したりするなど、言葉を編む楽しみを一緒に探していく空間を提供している。
幼少期をオランダ・アムステルダムで過ごし、サッカーのとりこに。自身もプレーを続けながら、地元逗子市の少年サッカークラブではカメラマン兼コーチも務めている。大事にしている言葉は、「柳は緑、花は紅」「アイデアいっぱいの人は深刻化しない」。

X:@nkmt0418

おうちでできる子どもの国語力の伸ばし方

おうちでできる子どもの国語力の伸ばし方』(中本順也著/かんき出版)

「うちの子は国語力がない……」
そんなふうにお悩みの保護者の方へ。
本書は、未就学~小学生を対象とした、おうちで国語力を伸ばすための本です。