東大生はなぜ「外山滋比古さんの言葉」を好む? 受験勉強との向き合い方を教える4つの言葉
子どもに勉強する意味をどう伝えていますか? 子どもから「なんの役に立つの?」と迫られた時に、伝えてあげられる言葉は持っていますか?
東大生の多くに愛読された本『思考の整理学』の著者として知られる外山滋比古さん。文学博士、評論家、エッセイストと活躍しながら、東京教育大学助教授、お茶の水女子大学教授、昭和女子大学教授を歴任し教育者としても精力的に活動しました。
本記事では、学ぶことの「楽しさ」を伝える外山滋比古さんの言葉を多く収録した書籍『やわらかく、考える。』より、勉強との向き合い方について触れた言葉を中心に紹介します。
※本記事は外山滋比古著『やわらかく、考える。』(PHP文庫)より一部抜粋・編集したものです。
その声は本当に多数派の意見か?
受験の予備校が、今年は◯◯大学へ何名、△△大学へ何名の合格者があったと広告する。合格者の顔写真をのせる念の入ったことをするところもある。それを見ると、すごいと思う。入りたくなるのである。
しかし、実際には、落ちた人がたくさんいる。ただ、それは伏せられる。落ちた人は自分の力が足りなかったからだと思い、予備校のせいにはしない。
だいたいにおいて、声をあげるのは、どちらかといえば、例外的な人たち、すくなくとも少数派である。それをわきまえないと、間違ったことを信じこむことになる。
教科書は未知を読むトレーニング本
教育では、いかに苦しくとも、未知を読ませる訓練を避けて通るわけには行かない。そのコースを示す教科書がおもしろいわけがない。学校の生徒は教科書を手にすると心が重くなる。
けわしい山をあえぎあえぎ登って行って頂上をきわめたときには、すばらしい達成感を味わうことができる。その眺望はこの世のものとは思われない。
そこまでの登攀(とうはん)のコースがけわしければけわしいほど、登頂の喜びも大きい。
頭の働きのルートを変える外国語学習
外国のある理論物理学者が日本語の勉強をはじめた。実用目的があってのことではなくて、ヨーロッパ語と発想形式の違う言語を学ぶことで新しい思考の展開を期待したからである。
同じことを言うのにも、ちがった形の記号を、ちがった順序に並べるだけで、頭の働きはちがったルートを走り、ちがったところへ達することができる。
辞書には宝がいっぱい
辞書は引くものと割り切っている実用派は知らない語ばかりを相手にする。それでは親しみもわかない道理だ。
どんな辞書にも日常よく使われることばが入っていて、こまかい説明がついているけれども、実用派はそんなところを見ることがない。
せっかくの宝が眠ったままである。もったいない。
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