手続き漏れ厳禁! 出産前後にもらえるお金と手続きをチェック

藤平公平

出産時は、行政や加入している健康保険などからさまざまな経済的サポートを受けられます。しかし初めての出産では戸惑うことも多く、「よく分からない」「知らなかった」という声も珍しくありません。今回は、ファイナンシャルプランナーの吉野裕一さんとともに、出産前後にもらえる主なお金と手続きについてご紹介。確実に受け取るためにぜひ確認してみてください。

※本記事は2025年3月現在の情報に基づいて作成された記事です。制度等は状況により変更される可能性があります

出産時にもらえる主なお金

もっとも代表的なお金が「出産育児一時金」。加入している健康保険や国民健康保険制度から支給されるもので、出産費用を補助するために設けられています。2023年4月より、支給額が42万円から50万円へと引き上げられました。

出産育児一時金は、出産した病院に直接お金が支払われる「直接支払制度」が一般的。保険証を提示し、病院から渡される書類にサインするだけで手続きが完了します。ただし対応していない医療機関もあるため、事前に確認しておきましょう。

また妊娠届出と出生届出時には、それぞれ5万円相当の「出産・子育て応援交付金」が支給される制度も。子育て用品の購入に使えるクーポン券や現金がもらえますが、自治体によって内容が異なるため、お住まいの市区町村で詳細を確認してください。

吉野さん「厚生労働省が医療費保険制度について調査した資料では、2022年の出産費用の平均は、正常分娩の場合でおよそ48万円となっています。これは入院料と分娩料を合わせた金額になるので、50万円の支給があれば病院に支払う金額はまかなうことができると考えられます。

ただし、入院費や分娩費用は医院によって異なりますし、無痛分娩などを選択した場合、さらに値段が上がる可能性も。また、入院の準備などで通常の生活よりも出費が増えることも予想されますので、あらかじめ金銭面での準備をしておくことは必要になるでしょう」

会社員が産休・育休中にもらえるお金

次に、働く女性が産休や育休中にもらえるお金についてご紹介します。まず「出産手当金」は、出産のため会社を休み、給料が支給されない期間に健康保険(国民健康保険は除く)から受け取ることができるお金。

支給額は標準報酬日額の3分の2で、産前42日(多胎妊娠の場合は98日)から産後56日までの期間が対象です。会社を通して申請しますが、請求用紙に出産した病院の証明が必要となるため、入院時に忘れずに手続きしてください。

さらに産後56日を経過して育休に入ると、子どもが1歳になるまで「育児休業給付金」を受け取ることができるように。支給額は育休開始から180日目までが賃金の67%、181日目以降が50%です。「産後パパ育休」を取得した場合は「出生時育児休業給付金」も支給されるため、早めに会社に確認して準備を整えましょう。

吉野さん「育児休業給付金については、手続きをすることで1歳以降も延長することができます。その場合、支給額は181日目以降と同様の50%で、2歳までの延長が上限です。育休に入る前に、どのくらいの期間育休をとるつもりなのか、その間の夫婦の収入はどのくらいになるのかを、一度シミュレーションしておくことが大切。保育園に何歳から入れるのか、いつから職場復帰するのかなど、現実的に家計を考えながら予定を立てましょう」

安心して子育てするための制度が充実!

子育て世帯を支える重要な支援のひとつが「児童手当」です。2024年10月から支給額が拡充され、3歳未満の子どもには月額15000円、3歳以上から高校生年代の子どもには月額10000円が支給されるようになりました(第3子以降は月額30000円)。居住地の役所へ「認定請求書」を提出することで受給できます。

また「医療費助成制度」は、子どもにかかる医療費の一部または全額を自治体が負担してくれる仕組みです。内容や対象年齢は自治体によって異なりますが、役所で「医療証」を交付してもらい、医療機関で提示するだけで適用されます。

他にも、低出生体重児への養育医療給付や自治体独自の出産祝金など、受け取れるお金はさまざま。年間の医療費が10万円(所得の合計額が200万円未満の人は合計額の5%)を超えた場合は、確定申告で医療費控除が受けられることもあるので忘れずにチェックしてください。

吉野さん「役所に届け出を出すタイプの補助金に関しては、母親がまだ入院中だったり動けなかったりするケースが多いため、最近は父親が手続きをする家庭が多く見られます。補助金に限らず、出生後の手続きは抜け漏れがあると大変です。必ず夫婦ともに『どんな手続きが必要なのか』を把握しておくようにしましょう。

ちなみに子育てが始まると、保育園や幼稚園の入学、進学等の手続きなど、煩雑な書類関係や手続き関係の“やるべきこと”がどっさり増加します。出産時の手続きもかなり面倒ですが、今後の予行練習と思って、ぜひ家族で協力して乗り越えてください」

各制度には申請期限があるため、うっかりしているともらえなくなる可能性も。不明な点は市区町村の窓口や加入している健康保険組合などに確認し、漏れなく手続きしましょう。