不登校が始まるサインとは? フリースクール代表が考える「不登校の子に親がしてあげられること」

大洞静枝
2025.04.24 13:37 2025.04.24 13:39

落ち込む小学生の女の子

 

自身も高校時代に不登校経験があり、滋賀県でフリースクール「昼TRY部」を運営するNPO法人 D.Liveの田中洋輔氏。フリースクールに通う子どもはもちろんのこと、親へのサポートにも力を注いでいます。田中氏は支援の中で、子どもが前に進むために必要なのは、親子の「心のスキンシップ」であると確信してきたといいます。

田中氏が子どもをサポートするために作成した「不登校 4つの段階」と、フリースクールに通う親へのヒアリングをまとめた「不登校 親の段階」をもとに、子どもが不登校になったときに親がどのように関わるべきかについて、解説していただきました。(取材・文/大洞静枝)

不登校の子どもは4つの段階に、親は5つの段階に分かれる

NPO法人 D.Liveの田中洋輔氏NPO法人 D.Liveの田中洋輔氏

田中氏は、2009年にフリースクールの前身となる塾を立ち上げました。当初は不登校生に限らず、地域とのつながりを作り、子どもたちの自己肯定感を高めることを目的とした教室を運営していました。

しかし、いつの間にか、不登校の子どもたちが増え、昼の居場所を作って欲しいと保護者に頼まれることが増えてきたといいます。周囲から求められる形で、2014年頃からフリースクール「昼TRY部」の運営を開始しました。現在、小学校5年生~高校3年生を対象に、不登校生の支援を行っています。

田中氏は不登校の子どもをサポートする指標として、「不登校 4つの段階」を作り、段階別に支援しています。

「不登校 4つの段階」は、『不登校母親にできること 冨永 祐一 (著)』を参考に作成。「不登校経験者だからこそ、不登校支援の難しさをわかっていたし、カウンセラーでも臨床心理士でもない自分が不登校支援なんてできないと思っていました」という田中氏が、不登校支援の方法を模索していた頃に出会い、影響を受けた本です。

「不登校 4つの段階」に加えて、フリースクールへ通う親へのヒアリングから、「不登校 親の段階」として一覧表を作り、親へのアドバイスや講座の開催も行っています。

不登校の子どもは、「行き渋り期」「混乱期」「慢性期」「回復期」の4つのステップを経て、元気を取り戻して行くことが多いといいます。親の段階は5つに分かれており、「パニック期」「暗中模索期」「燃え尽き期」「覚悟期」「受容期」があります。

不登校4段階

 

子どもの「行き渋り期」「混乱期」は、親の「パニック期」

寝ている女の子

 

不登校の始まりとなる子どもの「行き渋り期」は、学校に行きづらくなり、心身の不調も出始める子どもにとって一番、苦しい時期です。

大洞静枝

大洞静枝

同志社大学商学部卒業後、生命保険会社に入社し、バックオフィスにて企業保険の更新業務に携わる。第二子出産後、業界新聞社の記者に転身し、モビリティ・移動・まちづくりの分野で取材・執筆活動を行う。2019年に独立。ライター業と並行し、NPO法人生態会の事務局メンバーとして、関西のスタートアップ支援に携わっている。3兄弟の母。

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田中洋輔

田中洋輔

NPO 法人 D.Live 代表理事/ 立命館大学文学部卒業。プロ野球選手を目指すも、強豪の高校へ入り挫折し不登校に。自身の経験から、 自分に自信が持てず苦しんでいる子がいる現状を変えたいと思い、大学生のとき(2009年)に団体を立ち上げる。

自尊感情 (自己肯定感)についてまとめた『子どもの自信白書』の発行、子どもの居場所や自信を育む教室運営。PTAや地域団体などにて、不登校や自尊感情についての講演・研修もおこなう。 最近は、不登校の子どもへの1対1のコンサルティングもおこなっている。京都新聞にてコラム『よし笛』を連載中。

不登校母親にできること

不登校母親にできること(冨永祐一 ・著、筑摩書房刊)

子どもを不登校にするのは母親ではないが、長引かせるのも短くできるのも母親次第。子どもの「立ち上がり」を支援することになるよう、子どもと接するコツをわかりやすく助言する。