不登校が始まるサインとは? フリースクール代表が考える「不登校の子に親がしてあげられること」
自身も高校時代に不登校経験があり、滋賀県でフリースクール「昼TRY部」を運営するNPO法人 D.Liveの田中洋輔氏。フリースクールに通う子どもはもちろんのこと、親へのサポートにも力を注いでいます。田中氏は支援の中で、子どもが前に進むために必要なのは、親子の「心のスキンシップ」であると確信してきたといいます。
田中氏が子どもをサポートするために作成した「不登校 4つの段階」と、フリースクールに通う親へのヒアリングをまとめた「不登校 親の段階」をもとに、子どもが不登校になったときに親がどのように関わるべきかについて、解説していただきました。(取材・文/大洞静枝)
不登校の子どもは4つの段階に、親は5つの段階に分かれる
NPO法人 D.Liveの田中洋輔氏
田中氏は、2009年にフリースクールの前身となる塾を立ち上げました。当初は不登校生に限らず、地域とのつながりを作り、子どもたちの自己肯定感を高めることを目的とした教室を運営していました。
しかし、いつの間にか、不登校の子どもたちが増え、昼の居場所を作って欲しいと保護者に頼まれることが増えてきたといいます。周囲から求められる形で、2014年頃からフリースクール「昼TRY部」の運営を開始しました。現在、小学校5年生~高校3年生を対象に、不登校生の支援を行っています。
田中氏は不登校の子どもをサポートする指標として、「不登校 4つの段階」を作り、段階別に支援しています。
「不登校 4つの段階」は、『不登校母親にできること 冨永 祐一 (著)』を参考に作成。「不登校経験者だからこそ、不登校支援の難しさをわかっていたし、カウンセラーでも臨床心理士でもない自分が不登校支援なんてできないと思っていました」という田中氏が、不登校支援の方法を模索していた頃に出会い、影響を受けた本です。
「不登校 4つの段階」に加えて、フリースクールへ通う親へのヒアリングから、「不登校 親の段階」として一覧表を作り、親へのアドバイスや講座の開催も行っています。
不登校の子どもは、「行き渋り期」「混乱期」「慢性期」「回復期」の4つのステップを経て、元気を取り戻して行くことが多いといいます。親の段階は5つに分かれており、「パニック期」「暗中模索期」「燃え尽き期」「覚悟期」「受容期」があります。
子どもの「行き渋り期」「混乱期」は、親の「パニック期」
不登校の始まりとなる子どもの「行き渋り期」は、学校に行きづらくなり、心身の不調も出始める子どもにとって一番、苦しい時期です。
子どもを不登校にするのは母親ではないが、長引かせるのも短くできるのも母親次第。子どもの「立ち上がり」を支援することになるよう、子どもと接するコツをわかりやすく助言する。