小学生の学力UPに必要不可欠!「語彙力」を爆伸びさせる勉強の習慣

陰山英男, 小河園子
2025.08.13 12:06 2025.08.19 11:50

陰山英男先生,小河園子

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陰山英男先生が、小学生の基礎学力に欠かせないと語る「語彙力」。また、小河園子先生によると、英語力を決まるのは「英単語の暗記量」だと言えるのだそうです。学びの基礎力である語彙を“爆伸び”させる学習法とは?お二人の対談から探ります。

語彙力の重要性

本を読む子ども

陰山:あと、算数以外で小学生の基礎学力としてものすごく大事だと思っているのは語彙力です。町田のモデル校でもまずは漢字の勉強に力を入れていて、1年間で習う漢字を1カ月で覚えてもらうんです。9割くらいの子どもが80点以上取れたので、うまく行っていると思います。

小河:速いですね!

陰山:僕からしたらそれは下準備にすぎなくて、その漢字を使った全熟語に習熟してもらうことが本当の狙い。漢字を覚えても単語になったときに意味がわからなかったら語彙力は上がらないですよね。

たとえば「見る」は1年生、「当てる」は2年生で習うんですけど、それが「見当」になるとその瞬間に意味がわからないし、読めなくなっちゃうんです。

よく「読解力を高めましょう」なんて言われますけど、読解力を高めたいなら語彙力を高めればいいんです。だから僕の書いた本でも漢字以外に音読の重要性についても触れています。

それに語彙力がなければ新聞も読めないし、難易度の高い本も読めないですよね。子どもが自発的に勉強するときに使う教材は子ども向けのものとは限らないわけですから。

だからいま先生方に指示をしているのは、習った漢字が使われている全熟語を漢和辞典を引いて覚えなさいと。1日10分、15分でいいんです。それを2か月ぐらいやったらめちゃくちゃ語彙力上がりますよ。辞典ってすごくハードルが高いように見えますけど、結局は漢字の組み合わせですから集中してやればけっこう速いんです。

小河:なるほど。

陰山:これ小河先生にぜひお聞きしたかったんですけど、英単語の暗記量って、英語力の6、7割がた決めませんか?

小河:はい、決めます。

陰山:やっぱりそうなんだ!

小河:材料がなければ何もできません。中学に上がると覚える単語が増えるので、最近は「中1の壁」なんてみなさんよくおっしゃるけど、そもそも小学校での単語の覚え方が甘すぎるんです。

私、いまの話はいろんなところでするんですけど、「だけど先生。それをやったら子どもが英語嫌いになりますよ」って言う人が本当に多いんですけど……。

小河・陰山:なりません!

小河:絶対になりません、って!むしろ大好きになるんです。英語がどんどん読めるようになるんですから。

実は私の書いた本にも、1月から12月の英語とか、虹の七色とか、覚えたい単語みたいなものを少し掲載したんですけど、かなり遠慮がちに書いています。私の指導法をわかっている人からは「小河さん、あの本って消費税分くらいしか書いていないでしょ」って言われています(笑)。教え子たちからも「先生、なにショートホームルームみたいな話書いているの。先生もっとがっつり系でしょ」って突っ込まれています。

でもそうなんです。語彙力は本当に大事です。

勉強するならデカい塊かつ短期集中!

本を読む子ども

小河:その覚え方にもコツがあって、たとえば大学入試レベルの英単語って2500くらいありますけど、それを中高の6年間かけて覚えるのが学校なんですね。

でも、2500なんて、本人にスイッチが入ったら3週間で覚えられる量なんです。私の子もそのパターンでしたし、そういう生徒は何人もみてきました。息子から「単語どうしよう」って言われた時に、「はい、待ってましたー」と言わんばかりに用意していた教材を与えたら、3週間でやっちゃいましたね。むしろそれ以上かけると飽きちゃうかもしれない。

陰山:学力向上って基本は短期集中ですよね。

小河:そうなんです!  もちろん性格の差もあるので一概には言えませんけど、なにか新しいことを学ぶときは短期集中でまとめてやる。当然、1回では覚えられないので、覚えるまで繰り返す。教科書を1ページずつ教える授業も多いですけどやるなら見開き一気にやって、それを2回やる。これがいいのかと思っています。

だからといって1日に何時間もかけるとダラダラしちゃうので、時間に関してはすぱっと区切ったほうがいいと思います。

陰山:小河さんとわたしの持論に驚くべき共通点があろ、面白かったですね。

小河:子どもの様子をよく見て、夢中になれる時間を伸ばしていきたいですね。

●陰山英男
1958年兵庫県生まれ。岡山大学法学部卒。兵庫県朝来町立(現朝来市立)山口小学校教師時代から、反復学習や規則正しい生活習慣の定着で基礎学力の向上を目指す「隂山メソッド」を確立し、脚光を浴びる。
2003年4月尾道市立土堂小学校校長に全国公募により就任。百ます計算や漢字練習の反復学習を続け基礎学力の向上に取り組む一方、そろばん指導やICT機器の活用など新旧を問わず積極的に導入する教育法によって子どもたちの学力向上を実現している。過去、文部科学省中央教育審議会教育課程部会委員、内閣官房教育再生会議委員、大阪府教育委員会委員長などを歴任。2006年4月から2016年まで、立命館大学教授。現在、陰山ラボ代表。陰山メソッド普及のため教育クリエイターとして活躍し、講演会等を実施するほか、全国各地で教育アドバイザーなどにも就任、子どもたちの学力向上に成果をあげている。

●小河園子
聖学院大学講師(非常勤)。元埼玉県立浦和高校教諭。浦和第一女子高校、南稜高校、浦和高校、お茶の水女子大学付属高校(非常勤)など国公立の高校で教鞭をとり、40年間の英語教師生活で1万人の生徒を導いてきた。

 

陰山流 新・おうち学習戦略

陰山英男 (著)『陰山流 新・おうち学習戦略』(Gakken)

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気がつくと子どもの英語力がぐんぐん伸びている おうち英語

小河 園子 (著)『気がつくと子どもの英語力がぐんぐん伸びている おうち英語』(Gakken)

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