真面目な中学生ほど追い詰められる? 親ができる「逃げ道」の作り方とは
親が「絶対ダメ」と決めたルールも、ときには緩めることで子どもを救うことがあります。毎日全力で頑張る中学生には、心と身体が限界に近づく瞬間があるもの。そんなとき、「逃げる」ことを許す余裕が親には必要かもしれません。
子どもに親の愛情が伝わる“5回に1回許す”ルールとは? 建部洋平著『第一志望合格率96.8%の塾講師が教える 中学生の成績は「親の声かけ」で9割決まる!』から紹介します。
※本稿は、『第一志望合格率96.8%の塾講師が教える 中学生の成績は「親の声かけ」で9割決まる!』(建部洋平/飛鳥新社)から一部抜粋・編集したものです。
許す・許さないのライン引き
子どもは大人から見たら「ダメなこと」を往々にしてしまうところがあります。それは子どもがダメなのではなく、子どもとはそういうものだからです。
親が許す・許さないのラインをしっかり引いておくことは確かに大切です。ただ、ラインにこだわりすぎてしまうと、子どもを潰してしまうこともあります。
入試1か月前に“勉強禁止令”
以前、私の教え子でとても成績優秀な男の子がいました。そのご家庭は親御さんが教育熱心で、「どんなことがあっても毎日2時間は勉強の時間をとること」と子どもの勉強に関してはしっかりラインを引く方でした。
しかし、彼は入試1か月前に、突然精神的に不安定になり勉強どころではない状態になってしまったのです。これはもう限界に来ているなと思った私は、「今日から1週間一切勉強はしない」と勉強禁止令を出したのです。もちろん、親御さんにも承諾していただきました。
すると、4日くらい経って、彼が私のところにやって来て、こう言ったのです。
「先生、僕、やっぱり勉強がしたいです!」
その表情は前回会ったときとはまるで別人。何か吹っ切れたような晴れ晴れとした顔をしていました。おそらく彼は疲れていたのでしょう。数日間たっぷり休んで、心も身体も完全に回復し、無事に第一志望だった難関高校に合格。親子で手を取り合い、大喜びしていました。
「逃げる」を許せるボスになろう
何がよくて、何がダメかのライン引きは、確かに大事ですが、ときには「逃げる」ことを許す余裕も親にはもってほしいのです。
ただし、逃げることをかんたんに許していては、ライン引きの意味がありません。目安としては5回に1回くらいがいいかなと思っています。
たとえば、ある家庭では、毎日お風呂掃除を子どもがすることが決まりでした。毎日やることで、毎月決まったお小遣いがもらえる。そういうルールを家族でつくったのです。
しかし、中学生の生活は、親が思っている以上にハードです。毎日6時間の授業のあとに、部活があって、塾もある。疲れてコテッと寝てしまうときもあるでしょう。だから、本当に疲れているなと思ったときは、「今日だけはしょうがない」とふっと逃がし、親がやってあげるときもあるそうです。これが、子どもの心を救うのです。
親が普段は「絶対にダメ!」と言っていても、弱っているときは自分を許してくれる。子どもはそこに親のやさしさを感じ、自分が愛されていることを知る。このバランスがとても大事なのです。
ただ、何度も許してしまうと、子どもになめられます。
だから、「5回に1回」。
親が毎日ちゃんと軸をもって接し続けていれば、逃がしてくれたポイントで子どもは親の愛情に気づきます。ときには子どもを「許せる親=見守れる親=信じてくれる親」として子どもに伝わります。
そういう関係性ができると、いざ本当に正してあげたいと思ったときに子どもは耳を傾けてくれるようになるのです。
いつもガミガミではなく、ときに逃がしてくれて、愛情を与えてくれている親が今本気でこう言っている。
これはそうしたほうがいいんだと自ら感じて動いてくれるはずです。
『第一志望合格率96.8%の塾講師が教える 中学生の成績は「親の声かけ」で9割決まる!』(建部洋平/飛鳥新社)
「勉強しなさい」と言わずに、子どものやる気を引き出す方法がある!
×「もっとがんばってみなさい」
○「今回は下がっちゃったけど、この教科はできているね!」
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