うっとうしい母から脱却! 「見守る姿勢」で中学生の成績・親子関係が改善した理由

建部洋平
2025.08.21 14:20 2025.08.29 11:50

教室で勉強する高校生

反抗期の子どもとの距離感に悩む親は多いもの。口を出すほど関係はこじれ、やる気も成績も下がってしまうことがあります。

学習塾Ability塾長の建部洋平さんが、親子のギクシャクしていた関係を修復し、第一志望の高校合格まで導いた方法とは? 建部洋平著『第一志望合格率96.8%の塾講師が教える 中学生の成績は「親の声かけ」で9割決まる!』から紹介します。

※本稿は、『第一志望合格率96.8%の塾講師が教える 中学生の成績は「親の声かけ」で9割決まる!』(建部洋平/飛鳥新社)から一部抜粋・編集したものです。

ギクシャクしていた親子関係が修復し、第一志望にも合格

教室で勉強する高校生

葵ちゃんが私の塾に通いはじめたのは、中1の5月。初めての中間テストは、学年200人中152位とあまりいい成績とは言えませんでした。初めて会ったとき、彼女が大人に対してどこか少し冷めた目で見ているような感じを受けました。ところが、何度か私の授業を受けているうちに、ときどき笑顔を見せてくれるように。授業の内容に興味をもってくれたり、楽しそうにしている様子を見せてくれるようになり、「伝わった!」と感じました。

徐々に私に心を開いてくれ、休み時間に話もするようになりました。

葵ちゃんの家庭は少し問題を抱えていました。葵ちゃんが小学生のころ、お父さんが事情により、仕事を休職しなければならなくなったそうです。その間、お母さんが家計を支えなければいけない状況に。そんなお母さんの姿を見て、自分も何か力になりたいと思いつつも、家がそんな状態だったので、葵ちゃんは勉強をがんばろうという気持ちにはなれなかったようです。

心配したお母さんは、「今から勉強ギライになってしまっては困る」と、葵ちゃんに「早く宿題をやりなさい」「計算ドリルはもう終わったの?」と勉強に関してあれこれ口出しをするようになりました。また、生活面でも、事細かに言うようになったそうです。それを毎日聞いていた葵ちゃんは、次第にお母さんをうっとうしく感じるようになり、親子関係はギクシャク。ピリピリと亀裂が……。

そして、中学生になったときには、葵ちゃんの反抗期も重なり、すでに修復が難しい状態になっていたのです。

ただ、塾での葵ちゃんは、決して勉強がキライではありませんでした。むしろ、塾に通いはじめてからは、勉強をがんばるようになり、成績も少しずつ上がっていたのです。また、反抗期の子どもによく見られる全大人に対して反発する感じではなく、私の話は素直に聞いてくれる子でした。

口を挟むのをやめて、見守る姿勢に徹底

葵ちゃんが塾に通うようになって数か月が経ったころ、お母さんと保護者面談を行いました。葵ちゃんによると、とにかくお母さんは「うっとうしい存在」らしく、相当な過干渉の親御さんを想像していたのですが、実際に会ってみると、ごく普通のお母さんでした。塾に通うようになってから、葵ちゃんが勉強をがんばっていることもお母さんはちゃんと知っていたし、私の教育に対する考え方にも信頼を寄せてくれているように感じました。

お母さんの話を聞くと、自分1人で家のことをがんばらなければいけない気持ちになり、知らず知らずに大きなプレッシャーを感じていたそう。葵ちゃんにあれこれ口出ししてしまうのは、他ならぬ葵ちゃんが心配だから。

つまり、そこにはお母さんなりの深い愛情があったのです。でも、その伝え方がうまくいかなくて、親子の関係が悪化してしまった……。

そこで、私はお母さんにこう提案しました。

「葵ちゃんはお母さんが心配するほど、頼りない子ではありません。もっと葵ちゃんの力を信じてみてはいかがでしょう? そこで、私からお願いがあります。今日から葵ちゃんの行動に対して口を挟むのをやめてみてください。そして、葵ちゃんの様子をそっと見守ってください。また、結果に対してはよいときも悪いときも、次への応援につながる言葉だけかけてください」

お母さんも今のこの状況をなんとか変えたいと思っていたのでしょう。私の提案に素直にうなずき、「わかりました。やってみます」と約束してくれました。

子どもは大人の想像をはるかに超えて伸びる

空を見る中学生

それから、お母さんは私が提案した、見守る姿勢を徹底して、ときには何か言いたくなるのをグッとガマンしたそうです。

すると、次第に親子のギクシャクがなくなり、話をする時間も増えていったそうです。お母さんは、テストや成績などの結果に対して、まずよかったところ、がんばったところに目を向け、そこをたくさんほめました。

うまくいかなかったことに対しては、なぜうまくいかなかったのか親子でいっしょに考え、「じゃあ、次はがんばろうね」とお母さんが背中を押し続ける。

その結果、葵ちゃんの成績は中3の1学期には43位まで上昇したのです。

もちろん、ずっと右肩上がりだったわけではありません。横ばいだったり、下がってしまったりするときもありましたが、そのつど立て直し、そこまで上がってきたのです。

最終的に、葵ちゃんは第一志望の高校へ合格しました。

卒塾のときに、お母さんがこうおっしゃいました。

「あのときに、建部先生がおっしゃったことを継続したら、成績がグングン上がっていきました。何よりもギクシャクしていた親子関係が修復できてうれしいです。本当にありがとうございました」

私もうれしくなり、こう返しました。

「いいえ、お母さんのおかげです。お母さんが勇気を出して変わってくれたから、葵ちゃんもがんばれるようになったんですよ」

親の声かけ次第で、子どもは大人たちの想像をはるかに超えて伸びていく。どんなに塾講師ががんばってみても、親御さんの力は超えられません。

子どもにとって、もっとも影響力のある大人は、まぎれもなく親なのです。

建部洋平

1977年生まれ、愛知県育ち。大学卒業後、大手学習塾に就職し、生徒アンケートは6年連続1位、歴代最速で本部長に就任。独立後、小学生~高校生を対象にした学習塾Abilityを2校舎経営し、のべ約1万人の生徒を指導。学年トップから学習障害のある子まで幅広く支援し、劇的な成績向上を多数実現してきた。塾生のテスト結果を30点から80点台まで引き上げたような実績をいくつももち、高校受験の第一志望合格率は96.8%(2024年度)、95.2%(2025年度)。
また、「ほめる教育」の重要性を伝えるため、日本ほめる達人協会の特別認定講師資格を取得。企業研修や講演活動も行い、2023年認定講師コンテストでは準優勝。

Instagram:@yohei.tatebeckham

第一志望合格率96.8%の塾講師が教える 中学生の成績は「親の声かけ」で9割決まる!

第一志望合格率96.8%の塾講師が教える 中学生の成績は「親の声かけ」で9割決まる!』(建部洋平/飛鳥新社)

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