不登校はなぜぶり返す? 頑張っていた子が再びやる気をなくす理由

福田遼
2025.11.05 14:24 2025.11.13 19:00

落ち込む小学生の女の子

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しばらく調子がよかったのに、また学校に行かなくなってしまった……そんな「不登校あるある」に悩む親御さんも少なくありません。

子どもがやる気をなくしてしまう原因と、保護者にできるサポートについて、
福田遼さんの著書からヒントをお届けします。

※本稿は、福田遼著『不登校をチャンスに変える一生モノの自信の育て方』(KADOKAWA)より一部抜粋、編集したものです。

Q.「がんばっていたのに、またやる気がなくなったようです」

A.やる気の問題ではなく、「心の体力」が消耗しているだけ

しばらく調子が良かったのに、急にやる気がなくなって、また家でダラダラとなにもしない日々に戻ってしまった。不登校サポートの長い道のりでは、何度もぶつかる壁かもしれません。

そんなときに、「昨日までできてたじゃない、今日もやれるよ!」「ここまでできたんだから、次もやってみよう!」なんて声をかけて、やる気を促そうとする人も多いです。久しぶりに保健室登校したら、担任の先生が「せっかく学校に来たんだから授業も受けていこうよ!」と声をかけるのと似ていますね。

一見、立ち止まった子どもの背中を押す励ましに見えますが、実はこれは逆効果です。目標を押し付けられたように感じる子も多く、逆に、いっそうモチベーションを削いでしまう結果になりかねません。

そもそも、不登校の子どもたちにとっては「これができた」「これまでがんばっていた」という時点で、もうすでにかなりがんばっているんです。

グーッと体に力を入れたら、フッと全身の力が自然と抜けるのと同じで、一生懸命フルパワーでがんばったあとに、ドッと疲れたり、気持ちが落ち込むのは、だれにでもある正常な反応です。

つまり、今はがんばった反動で、一時的に「心の体力」が消耗しているだけ。

ですから、焦ってどうにかしようとするのではなく、「今はちょっと疲れているんだろうな」「がんばったから疲れて当然だよね」と受け止めて、そっと見守ってあげてほしいと思います。

そこから気持ちを持ち直すには、軽い運動や簡単な活動、人と話すことなどが有効です。次のようなメニュー表を活用して、焦らずに、今できそうなちょっとした活動に取り組んでいくと良いでしょう。

不登校をチャンスに変える一生モノの自信の育て方

気分の落ち込みに、お子さん自身が罪悪感を覚えてしまっている場合もあるので、「落ち込むのはよくあることで、一時的なことなんだよ。ちょっとしたアクションを起こしていけば、また気持ちを上げていくことができるんだって」と、お子さんにこの話をしてあげるのもいいと思います。

もしもアクセルしか搭載されていない車があったら、ちょっと危険だと思いませんか? 速く進めそうな反面、すぐに事故を起こしてしまう気もします。安全にドライブするためには、ブレーキは必要不可欠です。

お子さんの成長も、そんな車と同じではないでしょうか。安全に確実に、前に進んでいくためには、ときにはブレーキを使うことも大切だと思います。焦りすぎず、無事故で未来へ進んでいきましょう。

福田遼

福田遼

1995年福岡県生まれ。九州大学教育学部卒業後、5年間の小学校教諭を経て退職。その後8カ月にわたり世界各地の教育施設を訪問。 2023年4月に旧友・秋山とともに始めた『子育てのラジオ「Teacher Teacher」』ではMCを務める。24年に株式会社Teacher Teacherを組織し、無料オンラインフリースクール「コンコン」をスタート。

不登校をチャンスに変える一生モノの自信の育て方
福田遼著『不登校をチャンスに変える一生モノの自信の育て方』(KADOKAWA)

不登校の児童は増え続け、いまや全国で30万人を突破。
「原因がわからない」「どう支援すればいいのかが見えない」
現代の“令和型不登校”は、従来とは異なる複雑さを抱えています。
それなのに、「親のせい」「育て方が悪い」という空気や発言がいまだに見られることも事実です。

本書の著者・福田遼さんは、元小学校教諭。憧れだった教員に​なって、「不登校問題」に直面しました。
学校に行けない子どもたちを救うことができなかったと、自分の無力さを痛感。
大好きだった教員を辞め、不登校問題をなんとか解決できないか、新しい仕組みを学びたいと、世界18カ国の教育現場を回りました。
そして、注力していた不登校支援を実践するべく、無料のオンラインフリースクール「コンコン」を立ち上げたのです。
子どもが自分の進みたい方向を見つけ、一歩踏み出す自信と力をつけられるように、日々子どもたちに向き合っています。

この本では、福田さんがこれまで培ってきた知識・経験・実績を総動員し、「不登校は親のせいでも子どものせいでもない」という前提のもと、
子どもが自信を取り戻し、将来幸せに生きていくためのメソッドを具体的にお話していきます。

どうにかまた学校に行ってほしくて、あれこれ子どもに働きかけている方。
いろいろやり尽くして、子どもの再登校はもう諦めたという方。
「学校に行きたくない」と訴える朝が増えて、不登校を間近に感じている方。

そんな方に、ぜひ読んでいただきたい内容になっています。

子どもの未来を諦めないすべての方へ。
不登校という状況を、自信を取り戻すチャンスに変えるための1冊です。