「クラスの輪に入れない子」のために親ができること 家庭でできる友達づくりの練習法

熱海康太
2025.11.14 15:29 2025.11.14 19:00

廊下を歩く小学生の集団

「うちの子、休み時間にいつも一人でいる…」友達ができないのではと心配する保護者は少なくありません。元公立学校教員で多数の教育書を執筆、現在は一般社団法人日本未来教育研究機構代表理事として活動する熱海康太さんが、ASD(自閉スペクトラム症)の特性を持つ子どもの友達づくりをサポートする方法を解説。困りごとの把握、家庭でのシミュレーション、具体的な言葉の練習、成功体験の積み重ねなど、実践的な方法をご紹介します。

友達の輪に入れない子どもが自信を持てる、家庭でできるソーシャルスキル練習法

「先生、うちの子、休み時間にいつも一人でいるみたいで…友達ができないんじゃないかと心配で」。保護者面談でそう話されたのは、小学2年生のSくんのお母さんでした。

Sくんは真面目で賢い男の子でしたが、クラスの輪に入ることが苦手で、休み時間は図書室で一人で本を読んでいることが多い子でした。お母さんは「本人は気にしていないようなんですが、このままで大丈夫でしょうか」と不安そうに話されました。

Sくんは後に専門機関での相談を経て、ASD(自閉スペクトラム症)の特性があることがわかりました。ASDの子は、暗黙のルールや相手の気持ちを読み取ることが苦手で、どうやって友達の輪に入ればいいのか、どんな言葉をかければいいのかがわからないことがあります。

社交場面での困りごとを具体的に把握する

遠くを見る小学生の男の子

まず私は、Sくんが具体的にどんな場面で困っているのかを観察しました。

熱海康太

熱海康太

大学卒業後、神奈川県の公立学校で教鞭を取る。 教育実践において厚木市教育委員会から表彰を受けるなど活躍。しかし、勘と根性に任せた指導法に限界を感じ、国立大学付属小学校で多くの教育論や教育実践を学ぶ。 学びを体系化することで、学級や学校は安定し、『先生の先生』を行うことも増えた。その後、教員や保護者、子どもたちのための本を執筆するようになる。 常に先端の教育理論や教育実践を研究している。

X:@jetatsumi