「クラスの輪に入れない子」のために親ができること 家庭でできる友達づくりの練習法

熱海康太

「うちの子、休み時間にいつも一人でいる…」友達ができないのではと心配する保護者は少なくありません。元公立学校教員で多数の教育書を執筆、現在は一般社団法人日本未来教育研究機構代表理事として活動する熱海康太さんが、ASD(自閉スペクトラム症)の特性を持つ子どもの友達づくりをサポートする方法を解説。困りごとの把握、家庭でのシミュレーション、具体的な言葉の練習、成功体験の積み重ねなど、実践的な方法をご紹介します。

友達の輪に入れない子どもが自信を持てる、家庭でできるソーシャルスキル練習法

「先生、うちの子、休み時間にいつも一人でいるみたいで…友達ができないんじゃないかと心配で」。保護者面談でそう話されたのは、小学2年生のSくんのお母さんでした。

Sくんは真面目で賢い男の子でしたが、クラスの輪に入ることが苦手で、休み時間は図書室で一人で本を読んでいることが多い子でした。お母さんは「本人は気にしていないようなんですが、このままで大丈夫でしょうか」と不安そうに話されました。

Sくんは後に専門機関での相談を経て、ASD(自閉スペクトラム症)の特性があることがわかりました。ASDの子は、暗黙のルールや相手の気持ちを読み取ることが苦手で、どうやって友達の輪に入ればいいのか、どんな言葉をかければいいのかがわからないことがあります。

社交場面での困りごとを具体的に把握する

まず私は、Sくんが具体的にどんな場面で困っているのかを観察しました。