「HSC=内向的」ではない? 繊細な子が殻にこもる本当の理由とサポート法

むらかみりりか
2025.11.06 17:08 2025.11.19 11:50

ソファーに突っ伏すイヤイヤ期の女の子

「強い刺激に敏感で『外の世界は怖い』と感じやすく、自分を守るために殻に閉じこもってしまう」というHSC(繊細な子)。しかし、HSCだからといって、その子が「内向的」であるとは限りません。閉じていた心の殻を自然と開き、その子らしくのびのび過ごせるようになる方法とは?

HSCの母親としての経験を生かし『発達科学コミュニケーション』マスタートレーナーとなった、むらかみりりかさんの著書より紹介します。

※本稿は、『HSC・繊細な子の育て方がわかる!ペアレントトレーニング』(むらかみりりか/パステル出版)から一部抜粋・編集したものです。

自分を上手に出せず殻に閉じこもります

繊細な子は、安心を感じられる範囲がとても狭くなりやすい子どもたちです。「外の世界は刺激であふれている! 自分の身を守らなければ!」と自分の殻にこもるのです。

安心の範囲は、少しずつ広げていくことが大事です。自分の好きなこと、興味のあることを切り口に始めるのが効果的。

例えば「給食は好き」「図工の時間は好き」「〇〇先生は好き」など、「それなら学校に行ってみようかな?」と思えることをきっかけに、一歩踏み出すことで子どもが安心できる範囲を広げていけばいいのです。

解決エピソード

以前、私の息子は、毎日過ごす教室であっても、半径50センチくらいのパーソナルスペースの中に閉じこもり、周りから話しかけられても、返事さえしないことも……。

そんな息子が、あるとき休み時間に大好きな映画のパンフレットを開くと、友だちが「なになに? 見せて~」と寄ってきてくれて、大好きな映画の話題で友だちとおしゃべりができた、ということがありました。

また、不登校だったある男の子は、先生から「ドッジボール大会をやるから来てみない?」と誘われたことがきっかけで、登校できるようになりました。その日はそのまま「今日は終わりの会まで出てくる」と言って、お母さんを驚かせたというのです。

このように“教室登校は苦手だけれど、学校行事だったら行ける“という子は少なくありません。繊細さを持ちながらも、好奇心旺盛なタイプの子どもたちです。

中には「不登校なのに、どうして行事だけ来るの?」と心ない言葉をかける友だちや保護者がいるかもしれませんが、気にする必要は全くありません! 「やりたいと思えるものには行動できる」のは、この子たちの才能なのですから。

繊細な子は内向的というのは誤解です。確かに、安心を感じられる範囲は狭くなりがちですが、人や場所に安心を感じられさえすれば、まるで別人のように人に懐いたり、のびのびと過ごせたりします。

「外の世界は怖い!」と思い込んでしまう前に、安心できる人や居場所を見つけることで、自分の殻から出ていけるようになるのです。

むらかみりりか

繊細な子どもを親子の関わりによって挑戦できる子に育てるペアレントトレーニングに従事。ひとり息子と自身も繊細な気質を持つ。
15歳で単身オーストラリアに留学し、現地の高校と大学を卒業。帰国後、北米のトップ大学に通う学生のキャリアコンサルティングに従事する中、才能の開花は幼少期の教育で決まると気づく。
その後、大手インターナショナルスクールの園長に就任し、脳科学ベースの教育プログラムを取り入れた幼児教育に携わる。そこで、自身の息子を含め、集団生活の中では力を発揮しづらい子どもたちがいることに着目し、子どもの成長を左右するのは親の接し方であることを再確認する。
息子の登校拒否を機に、7000組以上の親子が実践してきた『発達科学コミュニケーション』と出会い、繊細な子も挑戦できるようになることを確信。自身もトレーナーとして活動を始める。
独自の研究から繊細な子の心のコンディションと脳の育て方がわかる『ココロファインダー』を開発。400組を超える親子を支援してきた経験から、現在は繊細な子の脳を育てるスクールの代表を務め、トレーナーのプロデュースにも尽力している。

繊細な子の育て方がわかる!ペアレントトレーニング

むらかみりりか『HSC・繊細な子の育て方がわかる!ペアレントトレーニング』(パステル出版)
「共感は逆効果だった――」
「初めてのことが苦手」「学校に行くのがつらい」「すぐ傷つく」そんな繊細な子が、わずか3カ月で笑顔で挑戦できる子に変わった!繊細な子の脳を発達させる、親子のコミュニケーションの新常識がわかります。
本書は、脳科学に基づいたペアレントトレーニングを通じて、親の関わり方を変えるだけで子どもが大きく変わった理由と解決策を、親子の実話とともにまとめた一冊です。