頭のいい子はなぜ結果にこだわらないのか? 学力と人生を支える「メタ認知能力」

西村則康、辻義夫

テストの結果を「できた」「できなかった」で終わらせる子がいる一方で、「なぜ解けたのか」と、問題そのものを深掘りする子がいます。
この違いを生むのが、自分の考え方や行動を客観的に見つめるメタ認知能力です。
長年中学受験の現場で子どもたちを見てきたプロ家庭教師・西村則康先生、辻義夫先生が語る、「本当にかしこい子」に共通する学び方を、著書よりご紹介します。

※本稿は、西村 則康、辻義夫(著)『本当にかしこい子になる!勉強メンタルの育て方』(ウェッジブックス)より一部抜粋、編集したものです。

頭のいい子はメタ認知能力が優れている

メタ認知能力という言葉を聞いたことはありませんか? 最近は、メタ認知能力を伸ばすための本がたくさん出ていますので、すでにご存じの方は多いと思います。

メタ認知能力とは、自分の思考や行動を客観的に認識し、コントロールできる力をいいます。メタ認知能力の高い人は、自分自身を客観的に見つめ、感情をコントロールできるので、いつでも冷静な対応ができます。また、なにか失敗をしても、次につなげるためにはどうしたらよいかを考えるので、日々成長していきます。さらに、自分とまわりの人との適切な距離感を判断することができるので、人と一緒になにかをすることが得意です。

逆にメタ認知能力が低い人は、場当たり的で感情に任せた行動をとってしまいがちです。そのため、常に感情や情報に振り回され、あまり深く考えずに行動してしまうところがあります。どちらが将来、幸せをつかめるか──。おそらく察しがつくでしょう。

このように、メタ認知能力があるとないとでは、仕事の出来や人間関係の構築が大きく変わってきます。そのため、幸せな人生を送るための大事な要素と考えられています。

メタ認知能力は大人だけが持っている能力ではありません。小学生でも高学年になってくると、自分を客観視できるようになってくる子もいます。

そして、長年多くの子どもたちを見てきて感じるのは、頭のいい子は総じてメタ認知能力が優れているということです。

かしこい子は結果よりも問題の中身に関心を抱く

中学受験の指導にあたるようになって、かれこれ40年近く経ちますが、私たちはよく子どもたちが問題を解き終わった後に、「この問題はどうだった?」という質問をします。すると、子どもたちから「超簡単だった!」「むずかしかった」などそれぞれの感想が返ってきます。

そうしたら今度は「どこがむずかしく感じた?」「なにがわかっていたら簡単に解けたと思う?」と問いかけ、子どもたちに答えさせます。そして最後に、「じゃあ、この問題の最大のポイントはなんだったと思う?」という聞き方をします。なぜそのようなやりとりをするのかというと、物事を客観視する力をつけるためです。

多くの子どもたちは、問題を与えられたらそれを解き、答えが合っていたら「やった〜!」と喜んでおしまいです。仮に間違えてしまったら、なぜ間違えてしまったのかを考えることまではしますが、そこで「あっ、そういうことか」と気づけば終わり。

でも、メタ認知能力の高い子は、その問題が正解できても、できなくても、結果ではなく、問題の中身に目を向けようとします。たとえ正解できたとしても、「この問題のポイントはココだったんだな。ココが理解できていたから、僕はこの問題が解けたんだな」という見方をするのです。

もしくは、例えば以前解いたことのある問題と似たような問題が出てきたとき、「この問題は塾の授業で習ったあの問題と似ているぞ。あれ? でも待てよ。ここの部分が違うぞ。ということは、問われている内容も違うということだな」とか、「この問題は前に解いたあの問題と似ているぞ。ということは、すべての数字を書き出していくうちに、なにか手がかりがつかめるかもしれない。まずは書き出してみるか」といったように、自分の知識や経験と照らし合わせながら、客観的な視点でその問題を捉えようとします。この客観視する力、すなわちメタ認知能力も「勉強メンタル」の一つの大事な要素だと、私たちは考えます。

そういう力を持ち備えている子は、やはり総じて勉強ができます。そういう子たちは、なぜこの学校の先生はこういう問題を出してきたのかを考えながら、試験に臨むので、終わったあとに「いや〜、めちゃくちゃいい問題だったなぁ〜」「さすが○○中の問題は違うわぁ〜」と感動していたりする。答えが合っていたかいなかったといった結果よりも、テストの問題自体に興味が向かっているのです。

入試ですから、もちろんテストの点数の結果で合否は出ます。でも、学校が本当に望んでいるのは、そういう学ぶ意欲のある子たちです。よく入試は「初めての授業」という言い方をされますが、こうした、問題を楽しめる子、興味を持って取り組める子に実際の授業をしたい、そういうポテンシャルの高い子たちをさらに伸ばしていきたい、というのが先生たちの本心なのです。

幸せな人生を送れるかどうかの差を生む「自問自答できる力」

客観視できる力というのは、別の言葉を使うと「自問自答できる力」ともいえます。この「自問自答できる力」は、勉強においてとても大切です。

「本当にかしこい子」の共通点として、教えられたことをただマネするのではなく、「この式で本当にいいのか?」「ほかにやり方はないのか?」と、常に自分のこころのなかで自分に声かけをしながら、考えようとする姿勢が見られます。そうやって、あらゆる角度から検証して、「これが正しい」と思ったから、自分の答えにも自信がある。

そういう子は大人になってからも、暮らしのなかにあるさまざまな情報をそのまま鵜吞みにせず、「この情報は本当に正しいのだろうか?」「誰が発信している情報なのだろうか?」「エビデンスはあるのだろうか?」という見方をするので、あふれる情報に振り回されることなく、自分軸を持って行動できる人になれる。

つまり、自分の人生を自分で切り拓いていける人になれるということです。

このように、メタ認知能力があるかないかで、人生のあらゆるところで差がついてしまうのです。

勉強メンタルの育て方

西村 則康、辻義夫(著)『本当にかしこい子になる!勉強メンタルの育て方』(ウェッジブックス)

◎ほんとうの意味で頭のいい子=勉強メンタルが育っている子!

「頭がいい」とはどういうことかを徹底的に言語化!
かしこさの新機軸=「勉強メンタル」を育むために親ができること

これまでプロ家庭教師として、たくさんの子どもたちと接して気づいたのは、頭のいい子には、ある共通点があるということ。
授業を聞くときも、問題を解くときも、
「なぜそうなのだろう?」
「そういうことか!」
「ということは、こういうときにも使える知識かもしれない」
「大丈夫、自分なら解ける。絶対解いてみせる!」
と常にこころの動きが伴っているのです。
このこころのベクトルを、私たちは「勉強メンタル」と呼ぶことにしました。

「頭がよくなる」とうたった書籍は数多く存在しますが、本書ではうわべのノウハウではなく、「頭がいい」とはどういうことなのか、その本質を考え、「勉強メンタル」という一生ものの力を育む方法を提案します。

・「勉強メンタル」とは「学びに向かう姿勢」
・すべての学びの土台は「好奇心」
・自分に引き寄せて考える力
・「自由な勉強」と「覚えて、鍛える勉強」
・「当たり前」のハードルを下げてみよう

「メンタル」と聞くと、「やはり勉強には強い精神力」が必要なのでは…と思うかもしれません。しかしそうではなく、すべての学びの土台である好奇心、「学びに向かう姿勢」が、勉強メンタルでもっとも大切なこころの動きです。