理系出身“方程式父さん“ほど要注意 勉強の並走で「うちの子はできない」と決めつける親の特徴

西村 則康、辻義夫

子どもの勉強は、親の関わり方次第で大きく変わります。理系親・文系親それぞれが陥りがちな落とし穴と、子どもの力を伸ばす「並走」のコツを、プロ家庭教師の西村則康先生、辻義夫先生の著書より抜粋してご紹介します。

※本稿は、西村則康、辻義夫(著)『理系が得意になる子の育て方』(ウェッジブックス)より一部抜粋、編集したものです。

理系出身に多い「方程式父さん」

4年生以降の勉強がそれまでと大きく違うのは、親御さんにとって教え方が難しく感じられる点かもしれません。理系に苦手意識がある親御さんや、学校での教え方が昔と今では違うことを気にされている方からよくそういう声を聞きます。

確かに、子どもが学校の勉強で苦戦している箇所があるとき、「ちゃんとわからせないと」と構えがちです。お子さんの将来を真剣に考えるからこそ、間違えてはいけないと力んでしまう気持ちもわかります。

その点、親御さんが理系ならば有利かというと、実はそうとも言い切れないのです。私たちが最近よく出会うのは、小学生の算数を自分が得意な数学で教えてしまうタイプの親御さんです。

算数をなんとかしてほしいということでお宅を訪ねると、ノートには数学の方程式が書いてあります。算数は数学の基盤となる科目ではありますが、まだ算数を習っている過程の子どもにいきなり方程式を理解しろと言っても無理です。

しかし、この手の「方程式父さん」の例は枚挙にいとまがなく、「方程式母さん」もいますし、理系出身の「方程式ご両親」もいます。

子どもの一日の学習計画を分単位で作成し、子どもに守らせようとする「エクセル父さん」。ビジネスの業務改善として導入されるPDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)風なものを取り入れたものの、中途半端になりかえって子どものモチベーションを下げてしまう「PDCA父さん」。

いろいろなタイプの親御さんがおられますが、みなさんに共通するのは、自分が得意だった勉強のやり方や仕事で成果を出した方法を、そのままやらせるのがベストだと信じておられること。そして、それが未達成だと「うちの子はできない子だ」と決めつける傾向にあることです。

勉強熱心だった方がなりがちな「満点解答母さん」

他方で、理系出身であることを存分に生かしている親御さんもおられます。うまくいく方は何をしているかというと、得意な数学を生かして、事前に算数の問題集の解説をしっかり読んでいます。

数学から離れ、算数的な教え方をするには何をどう言えば伝わるのか、言葉を吟味しながら勉強を見てあげています。もちろん、文系の親御さんでも同じようにして、上手に学習のフォローをしている方もいます。

親御さんが理系か文系かに限らず、子どもの勉強を見るときに気をつけるといいのは、「どうして間違えちゃったんだっけ?」と振り返り、「こうすればよかったんだ!」と納得感を得られる機会を増やしたり、一緒に見つけたりすることです。

間違えた問題ができるようになるまで、何回も何回も作業を強いることではなく、ましてや勉強しているかどうか見張ったり監視したりすることでもないのです。

以前、学校や塾のテスト結果をすべてエクセルに入力し、全部解けるようになるまで繰り返し勉強をさせていたお母さんがいました。その方は、心のどこかで自分がやっていることが本当に子どものためになるのかどうか不安を抱えていました。

当然ながら、おすすめできる方法でも褒められる方法でもないのですが、なぜそうなってしまうのかという理由は少しわかりました。ご自身が勉強熱心で真面目なうえに優秀だった方ほど、「満点解答」信仰になっているのです。

できなかったところは徹底的につぶして、満点を取るための作業をするのが勉強だというのは大きな誤解です。それをお子さんにやらせていると、親子ともども非常にしんどくなってしまいます。

見直しのネガティブなイメージを払う方法

子どもはだいたい見直しを嫌います。「見直しなさい」「できるまでやりなさい」と言われて、マイナスイメージを持たないわけがないです。ほとんどの子が、間違えたことを非難されている気持ちを持ちながら解き直しをすることになるからです。

ただ、学習を確かなものにしていくには、見直しは必要です。そこで、責められているうな気持ちをいかに持たせないかという演出をしてほしいのです。

コツは、「今この間違いに気がついてよかったね!」「ラッキーだね〜」といった雰囲気が出せるかどうかです。そんな声かけができれば、見直しのネガティブさが払拭され、子どものやる気も出ます。ちょっとした言葉遣いが子どもの行動を変えますし、親御さんもうまく並走していけるでしょう。

自分は理系のことがよくわからないということが不安やイライラの原因になっているようなら、専門家に早い時期からちゃんと頼るという視点も必要です。セミナーに参加して情報を得るなど、一歩踏み出す勇気が必要です。

 

理系が得意になる子の育て方

西村 則康、辻義夫(著)『理系が得意になる子の育て方』(ウェッジブックス)

幼児期から始められて、小学校高学年でも遅くない!
理系が得意になる学習&生活習慣・41の実践的アドバイス!
「算数ができる=理系」とは限らない?単純な判断は子どもの可能性を狭めてしまう!
令和の時代に必要な「理系力」を親が理解し、子どもの可能性を無限に広げよう

「わが子を理系にしたい」――。先が見えない時代を生き抜くために、子どもには「専門的な能力を身につけてほしい」と考える親御さんが増えています。
その中で、「理系」という選択肢が頭に浮かぶのでしょう。
しかし、「家庭でできることはあるのでしょうか?」「親が文系なので自信がなくて……」という不安な気持ちが先行し、子どもに「間違った方向」で努力をさせてしまうと、むしろ算数・理科嫌いになりかねません。
理系力を育てるための学習・生活習慣は、幼児期から始められて、小学校高学年から取り組んでも遅くありません。
単に学力が高いだけではなく、目標に向かう方法や問題解決手段を自分で考えられる「ホンモノの理系力」を養うため、子どもの可能性を最大限引き出す方法をお伝えします。