子どもが寝ない原因は「毎日変える」から? 保育士に聞いた入眠儀式の上手な作り方

藤平公平
2026.03.08 18:21 2026.03.08 18:30

笑う女の子

数ある子育てのタスクの中でも、悩みが多いのが子どもの「入眠」について。子どもが小さなうちは「夜なかなか寝付いてくれない」「昼寝を全然しない」というように、寝かしつけに苦労することも少なくありません。子どもの健やかな成長のためにも、早くぐっすりと寝かせてあげたいものです。今回は入眠のコツや、夜に眠りやすくする日中の過ごし方について、保育士の菊地奈津美さんとともに解説します。

寝ないから今日はこの方法で…はNG! 変えると逆効果な寝かしつけ対策

子どもがなかなか寝付けない日々が続くと、「昨日とは違う寝かし方をしよう」と、寝るまでの環境や流れを変えてみたくなりますよね。しかし、実は寝かしつけの方法をコロコロ変えるのは逆効果だそう。工夫して色々な方法を試し続けるよりも、一貫したルーティンにして「寝るまでの流れ」を統一したほうが、子どもが眠りにつきやすくなります。

眠りのリズムを整える! 入眠儀式でスムーズに眠れる習慣づくり

寝ている女の子

子どもが眠りにつくまでの一貫したルーティンは「入眠儀式」とも呼ばれ、家庭によって方法はさまざま。例えば「寝る前に毎日同じ絵本を読む」「寝室に入ったら毎日同じオルゴールの曲を流す」などの方法がありますが、大切なのは「毎日同じことを続けること」。ルーティン化することで、子どもが「寝る時間が近づいている」と分かるようになっていきます。

最近では「寝かしつけ用」「入眠儀式用」の絵本も数多く販売されています。中でも、世界的ベストセラーとなったのが『おやすみ、ロジャー』。眠りたいのに眠れないうさぎの子ロジャーが、魔法使いのあくびおじさんに会いに行くストーリーで、本のところどころに入眠を誘う仕掛けがちりばめられています。

菊地さん「入眠儀式をつくるのは、簡単なようでなかなか難しいことでもあります。親御さんとしては、『本当にこの入眠儀式でいいのだろうか』『上手くいかなかったから、一度ルーティンを変えた方がいいのではないか』など、常に不安が付きまとってしまうでしょう。

もちろん入眠儀式があると子どもが眠りにつきやすくはなりますが、日中の活動やその日のコンディションによって、お子さんの寝つきは毎日変わります。入眠ルーティンがうまく定着したとしても、日によって振れ幅があることは覚悟したうえで毎日の寝かしつけをした方が良いかもしれません」

心も体もリセット! 夜しっかり寝るためには昼寝も大切

眠る赤ちゃん

夜にしっかり寝るためには昼寝も大切です。こども家庭庁の『保育の中の睡眠をめぐる問題』によると、乳児は午前と午後の2回、幼児は午後1回の昼寝が必要とされています。3~4歳ごろになると多くの子どもが昼寝をしなくなりますが、小さいうちは午後の活動のためにも昼寝が重要です。

夜に比べて明るい昼間は、昼寝を嫌う子どもも多く「まだ遊びたい」「寝たくない」と入眠が困難なことも。しかし、入眠儀式は昼寝にも有効なことが多く、例えば「おひるね布団を子どもと一緒に敷く」「昼寝のためにカーテンを子どもが閉める」などの行動をルーティンにすることで入眠を促します。

菊地さん「2017年に厚生労働省が告示した『保育所保育指針』でも、『午睡は生活のリズムを構成する重要な要素』と記されています。ただしこの指針では、『睡眠時間は子どもの発達の状況や個人によって差があることから、一律とならないよう配慮すること』と、ひとりひとりに合わせた配慮をするようにも求めています。

『保育所保育指針』はあくまで保育所に対する指針ですが、家庭で昼の時間を過ごす時もこの心構えは大切です。『お友達は何時間寝ているのに』など周囲との比較で焦ったりはせず、その子に合わせた睡眠の習慣を目指しましょう」

ほどんどが入眠儀式につながっている? 夜の行動も順序が大切

お風呂に入る赤ちゃん

そして最も大切なのが夜の行動。意外にも、夜の行動はほとんどが入眠儀式に含まれています。夜ごはんとお風呂の順番や、パジャマへの着替え、ハミガキなど、寝るまでの一連の流れをできるだけ同じ順番で、同じ時間に行うことが大切です。

菊地さん「睡眠だけではなく『ハミガキの習慣づけ』や『お風呂に入る』など、子どもが生活習慣を身につける上で、夜の行動をルーティン化するのは効果的かもしれません。毎日同じ流れ、時間で過ごすようにすると、見通しがつき次何をしたらいいのか、子ども自身がわかるようになってくるので、自立を促しやすくもなります。

お風呂の準備や寝室の準備など、親の側も手際がよくなり、実は楽だったりもします。子どもの性格やタイプはもちろん、各家庭の事情にも合わせて夜の習慣を考えたいですね」

子どもが小さいうちだけとわかっていても、悩みがちな「入眠」問題。親も子どももリラックスして健やかに眠れるといいですね。

菊地奈津美

菊地奈津美

大学を卒業後、さいたま市および板橋区の公立保育園で7年間保育士として勤務。その後、東京学芸大学・学芸の森保育園にて主任保育士を務め、2017年4月よりこどもの王国保育園を開園し園長に就任。2011年に保育士向けのワークショップを開催する団体『Child+』を設立し共同代表を務める。子どもの育ちの大切さを社会に発信するため、保育者が自分の夢を発表する場『保育ドリームプラン・プレゼンテーション』を2014年に立ち上げ、代表に就任する。著書に『言葉かけから見直す「不適切な保育」脱却のススメ:保育者の意識改革と園としての取り組み』他3冊がある。

Instagram:@chobichan88