親から子への「今日は何して遊ぶ?」はなぜ禁句? 子どもの想像力を伸ばす「ノープラン公園遊び」

柳澤綾子
2026.03.14 00:16 2026.03.14 06:00

座るきょうだい

早期教育が脚光を浴びる昨今。乳児から通える英語教室に、絵画教室、水泳教室などなど、お教室も選ぶほどあるようになりました。でも実は、〇〇教室で日常を埋め尽くすのは御法度ですと専門家の先生方は言われています。

幼児のうちは決められたことをすることよりも、自由に過ごせる、自由に遊べる時にこそ脳がより良く成長するそうです。『自分で決められる子になる育て方ベスト』著者で東京大学客員研究員の医師・柳澤綾子先生にお話を聞きました。(聞き手・文/一般社団法人Raise)

子どもの遊び方を決めてしまう親が増えてしまう理由

公園で遊ぶ親子

幼児のうちから習い事に熱心な親御さんが見られます。しかし、この時期の子どもの場合は自由な遊び、”ノープラン外遊び”が上手なほうがいろんな能力を統合して使えるようになります。

知育教室もいいですが、子どもは日々の生活から吸収することのほうがはるかに多く、ノープラン外遊びには大人になった時にも役立つ力を学べる良さが詰まっています。お子さんと公園にいくだけでOKですから、お金をかけずに手軽に実践することができます。

そんなお手軽さが魅力のノープラン外遊びなのですが、中には「それでもなんだかすごく疲れるんです」という親御さんがいました。

この親御さんに話しを聞くと、公園で何をして遊ぶかを考えてから連れて行くそうで、プランに合わせて道具を準備し、忘れ物がないかをチェックしてやっと出発となるため、その時点ですでにうっすらと疲れてしまっていたのです。

親御さんは良かれと思ってやっていたことだと思うのですが、実はこれ、親御さんが疲れるだけでなく、お子さんにとってもあまり良くないことがあります。

子どもから「今日はバトミントンしたい」とリクエストが入った場合はいいのですが、親の側で遊びのプランを綿密に立て過ぎるのは子どもの自主性を育てるという観点でみるとちょっと考えものなのです。我が子のためと思った行為が逆に自主性を損なう要因になるとしたら、親御さんとしても本望ではないですよね。

そもそも公園は、何かをするために行く場所ではありません。外の空気、木々などの自然、そこにある遊具など、子どもはその場にあるものから感じ取ることは沢山あります。世界的に有名な作家で物理学者のレイチェル・カーソンは、著書の中でこのように書いています。

「美しいものを美しいと感じる感覚、新しいものや未知なるものにふれる刺激、思いやり、憐れみ、賛嘆や愛情などさまさまな形の感情がひとたびよbさまされると、次はその対象となるものについてもっとよく知りたいと思うようになります。」
――『センス・オブ・ワンダー』(新潮社)

そして、子どものころには誰でも持っている澄み切った洞察力や美しいもの、畏敬すべきものへの直感力が大人になるにつれて鈍るのだと言っています。つまり、この時期だからこそ子どもたちが感じ取れるものがあり、その力を見つけるチャンスがノープラン外遊びには溢れているのです。

ノープラン外遊びでは、自分で遊びを見つけて生み出していかなくてはなりません。これは大人になっても必要になるゼロからイチを生み出す力にも繋がります。現状を認識し、あるものを活用し、ルールを組み立ててゴールを決めるということを、遊びを通して練習することができるからです。

バトミントンなど、すでに決まったルールのあるものでは、ルールに沿っていくことを学びますが、ゼロからイチを生み出すような創造性はノープラン遊びの方が育みやすいのです。

実は禁句「今日は何して遊ぶ?」

川遊びをする女の子

公園に到着すると、つい「今日は何して遊ぶ?」と聞いてしまいたくなるのですが、この質問もちょっと控えてみてください。こう聞いてしまうと子どもは「何か目的のある遊びでないといけないのかな?」と感じてしまうことがあるからです。

子どもは、乾いた葉っぱと濡れた葉っぱを踏んだときの音の違いを感じるだけで楽しくなっていけます。子ども自身が楽しいと思うことを自分で見つける力を持っていますから、親があれこれと聞かなくても、自分で遊びを見つけていきます。

「いやいや、うちの子は言わないとぜんぜん動かないんです」という親御さんが時々いますが、そんなことはありません。大人の視点でみると、何もしていないように見えてしまっているだけで、本人はじっと何かをしているのかもしれません。

ためしに、15分間口を出さずにお子さんの様子を見守ってみてください。必ず何か動き始めると思います。命に危険があることや、他人にケガを負わせるような行動は別として、お子さんが何をしているのかをじっと観察してほしいのです。

この時に大切なのは、子ども本人を見るのではなく、子どもが見ているものを一緒に見ることです。

子どもがどんなことに興味があり、何をしているのか、新たな発見やフレッシュな驚きを子どもの目線で一緒に楽しんでみてください。じっとして動く様子が見られない子の場合もなにか気になる音を聞こうと集中していることもありますし、地面を這っている虫を観察している最中ということもあります。

子どもを見守っている最中に「それは何?」などと聞く必要もありません。ただ一緒に「へ~」と子どもの発見を見守るだけで大丈夫なのです。子どもの好きなようにさせること、これが、好きに突き進む情熱力と物事をゼロから生み出す力を育むことに繋がります。

柳澤綾子

柳澤綾子

医師・医学博士。東京大学医学系研究科公衆衛生学客員研究員。国立国際医療研究センター元特任研究員。年間500本以上の論文に目を通し、エビデンスに基づいた最新の医療、教育、子育てに関する有益な情報の発信に務めている。二児の子育て真っ最中。