子育てでイライラすることや腹が立つことがあったとき、子育て仲間同士でストレスを発散できるネットワークをもつことには大きなメリットがあります。『子どもへの「怒り」を上手にコントロールできる本』(榎本博明著)からの転載でご紹介します。

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腹が立つことや悔しいことがあったとき、そのことをだれかにぶちまけることでスッキリした、そんな経験はありませんか。
 
胸の内に溜め込んだ思いを吐き出すことでスッキリすることを「カタルシス効果」と言います。
 
生意気で言うことを聞かない子どもに腹が立ったり、子育てにまったく理解がなく非協力的な夫に腹が立ったりしたとき、それを気安く話せる仲間がいると、ストレスが解消され、気持ちが楽になります。解決策をアドバイスしてもらうようなことがなくても、ただ聴いてもらえるだけで気分がスッキリし、心のコンディションを前向きに保つことができます。
 
子育て仲間同士で、ストレスを発散できるネットワークをもてるとよいでしょう。
 
しかも子育て仲間のネットワークは、実際に役立つ情報やアドバイスが得られるという利点もあります。
 
子育てをしていると、どうしたらよいかわからなくて不安になることや、どう考えたらよいか迷うことが次々に出てくるものです。しつけ上の迷いとか、勉強や友だち関係で気がかりなこと、発達の遅れとか病気のようなちょっと深刻な悩みなど、日々いろんな問題に直面します。そんなとき、同じように子育てをしている仲間がいれば、いろいろと情報交換できます。
 
似たような経験をした人から有益なアドバイスがもらえることもあるでしょう。そんなに心配することはないとわかることもあれば、どこどこの病院に行ってみるといいとアドバイスされることもあります。あの塾が評判が良いとか、ウチはあそこのスポーツ教室に通わせているといった情報も得られます。
 
実家が遠くていざというときに頼れずにいつも不安だというお母さんにとっても、子育て仲間のネットワークは必要不可欠と言えます。
 
たとえば、下の子が熱を出したりして病院に連れて行かなければならないけれど、上の子のお迎えもあるし、どうしょう……というとき。お母さん自身が病気やケガをして病院にかからなければならなくなり、子どもが帰ってきても家にだれもいなくなってしまうというようなとき。そんなとき、親しい子育て仲間のネットワークがあれば、子どもをその家の子と一緒に迎えてもらったり、子どもをちょっと預かってもらったりできます。
 
そうしたネットワークがあるだけで安心でき、気持ちに余裕ができます。気持ちの余裕があると、無駄に子どもにイライラせずにすみます。
 
また、子育て仲間で集まってお茶でも飲みながらお喋りする場も、とても貴重です。お喋りでストレスを発散したり、気がかりなことを相談したりできるだけでなく、お母さんたちが仲良くしていると、子どもたちも居場所ができてホッとできます。近所に遊び集団がなくなった今日、お母さん同士のつながりがあると、子どもたちが集団遊びをして人間関係力をつけることができ、とても貴重な経験の場になります。
 
一方で、子育て仲間のネットワークが必要というのは理屈ではわかるけど、お母さんたちとのつきあいは気を遣うし面倒だという人もいます。とくに内向的なお母さんは、人づきあいに人一倍気を遣うため、かえって疲れてしまうと言います。価値観も違うし、性格も違う、育った家庭環境や職業も違うし、合わない人とつきあうのは疲れる。結局イヤになってつきあいの輪から抜けたという人もいます。
 
人によって性格も違えば生き方も違い、心地よく感じる距離感も違って当然です。でも、会社勤めをしている人も、自営で取引先に営業して回っている人も、気の合う人とばかりつきあうわけにはいきません。気の合わない人とも無難につきあわなければ仕事になりません。
 
子どもたちだって、幼稚園や学校で気の合う友だちと遊ぶだけでなく、気の合わない友だちともうまくやっていかねばなりません。お母さんがそのお手本になるのです。
 
自分の器を大きくするといった意味でも、ちょっとがんばって子育て仲間のネットワークに入っていきましょう。同じように子育てをしていて、子どもたち同士が知り合いだったりするわけで、話題に困るようなこともないはずです。
 
ネットワークにはデメリットもあるかもしれませんが、メリットのほうがはるかにしのぎます。親子ともにストレスを軽くするためにも、恐れずに一歩、踏み込んでみましょう。
 
 
 

 
 
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【出典】
榎本博明 著
なぜ、子どもに怒りを抱いてしまうのか?「怒りのスイッチ」の消し方、性格心理学に基づいたイライラ解消法、自己コントロールのコツ等をわかりやすく解説しています。
 
 
 
 
 
 
 
 
【著者紹介】
榎本博明(えのもと・ひろあき)
心理学博士。1955年、東京都生まれ。東京大学教育心理学科卒業。東芝市場調査課勤務の後、東京都立大学大学院心理学専攻博士課程中退。川村短期大学講師、大阪大学大学院助教授、名城大学大学院教授等を経て、MP人間科学研究所代表。心理学をベースにした企業研修・教育講演などを行なっている。
著書に『「聴いてるつもり」症候群』(集英社)、『<ほんとうの自分>のつくり方』(講談社現代新書)、『近しい相手ほど許せないのはなぜか』(角川SSC新書)、『「自分はこんなもんじゃない」の心理』(PHP新書)などがある。
 

 
 
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