子どもの脳と心の成長に、スキンシップは大事な役割を果たします。幼児期のスキンシップは、一生の宝物とも言えるでしょう。

 

siawasekazoku.jpg

 

"スキンシップ"が幸せの根っこをつくる!

 

スキンシップの大切さを知っている方は多いと思います。でも、スキンシップはなぜ大事なのでしょうか? それは子どもの中に"幸せの根っこ"をつくってくれるからです。

 

子どもに優しく触れると、「人って温かくて心地よくて安心できる存在なんだ」という人への信頼感が育ちます。小さい頃から親とのスキンシップが多かった子は、こうした信頼感の他、「自分は生きている価値のある存在だ」といった自尊感情が持てるようになります。また、キレるなどの衝動性や攻撃性が低い子になる、社会性の高い子になることもわかっています。すなわち社会の中で幸せに生きていく力が育つようになるのです。

 

スキンシップの基本は、子どもが求めてきた時に、愛情を込めてしっかり抱きしめること。幼児期はこれに加えて、頭をなでてほめる、背中を優しくたたいて励ますなど、日常場面でのコミュニケーション的なスキンシップを増やすことが大事になります。

 

スキンシップは愛情ホルモン"オキシトシン"をつくる!

 

みなさんは、「オキシトシン」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?「オキシトシン」は脳内物質の一種で愛情ホルモンとも呼ばれ、主に人と親密な関係を深める、愛情や絆を深める、安らぎや幸福感を高めるなどの働きがあります。この「オキシトシン」がもっともよく出るのが、好きな人との愛情のこもったコミュニケーション。親とのスキンシップは一番の方法です。

 

5~10分の愛情あるスキンシップですぐに脳からオキシトシンが分泌され、効果が1時間ほど持続します。さらに嬉しいことに、子どもの頃にオキシトシンがよく出ているとオキシトシンを出しやすい脳となり、一生にわたって愛情や幸福感を感じやすい脳となるのです。

 

子どもを強くするオキシトシンの3つの力

 

オキシトシンがたくさん出るようになると、子どもにとってどんなよいことがあるのでしょうか?大きな3つの効果を紹介します。

 

1・触れる人との愛着関係が強まる

オキシトシンの一番の力が、相手への愛情を深め、双方の愛着関係を強めてくれることです。マッサージを使った私の研究では、触れられた側はもちろん、触れた側のオキシトシン数値も高くなることがわかりました。子どもと触れ合うと、子どものオキシトシンが増えるだけでなく、あなたのオキシトシンもたくさん出るのです。親子で優しい気持ちで関わり合えるようになります。

 

2・学習能力(記憶力)が高まる

オキシトシンが出ると一時的な記憶を蓄えておく機能が高まり、記憶力がアップします。また心身がリラックスするため、目の前のことに集中できるようにもなります。私の研究でも家族でのスキンシップが多い子は、そうでない子よりも若干ですが知能指数検査のポイントが高いという結果が出ました。記憶力と集中力が高まることで、学習能力が向上するのです。

 

3・ストレスに強くなる

これまでの数々の研究で、オキシトシンには、ストレスホルモンの血中濃度を下げて、ストレスを抑える効果があることがわかっています。心拍数や上昇した血圧を低下させたり、不安や恐怖をやわらげて安らぎの感情を高めたりする働きもあるため、オキシトシンがよく出ると、ストレスがあっても落ち着いた状態でいられるのです。多少のことに負けない強さがもてるようになります。

 

皮膚と脳はきょうだい!皮膚は「露出した脳」です

 

ここでは、なぜスキンシップが脳の育ちを促すのかをお伝えしていきます。その大きな理由は、脳と皮膚が同じ細胞層から作られることにあります。

 

受精卵は、ある時期にくると3つの細胞層に分かれて、それぞれの層から臓器をつくり出していきます。このうち一番外側の細胞層からつくられるのが皮膚と脳の2つ。内側に潜り込んだ部分が脳、外側に広がった部分が皮膚となります。つまり皮膚と脳は「きょうだい」で、皮膚は「霧出した脳」と言えるのです。

 

そのため皮膚からの情報はダイレクトに脳に届きます。スキンシップで肌が心地よい刺激を受けると、それが脳に伝わって活性化されます。優しく温かなスキンシップは子どもの脳を心地よく刺激して、情緒や感受性が豊かになるなど、発達によい影響をもたらしてくれるのです。

 

触れ合いの多い子ほど、その後の自立は早くなる

 

スキンシップは心の栄養です。幼児期に笑顔の触れ合いを増やすと心が安定し、自尊心や人への信頼感も育って、お母さんを安全基地として、子どもは外の世界にどんどん出ていけるようになります。

 

長い目でみると、優しく温かな触れ合いが多いほうが、子どもの自立は早まるのです。とはいえ、中にはスキンシップがちょっと苦手という方もいるかもしれません。でも安心してください。オキシトシンは、優しい言葉をかけるだけでも出てきます。抱きしめるのは苦手でも、笑顔で温かな言葉をかける、あるいは軽く手を握ったり、頭をなでたりというスキンシップを意識してみてください。できることから少しずつ始めれば大丈夫です。

 

・時間がないときの触れ合い方

...ところどころでギュッと抱きしめる

朝の登園時間や家事などで忙しくて時間がないような時は、少しの間、ほんの1分ギュッと抱きしめるだけでもOKです。大切なのは、子どもが求めてきた時に「忙しいから」と後回しにしないこと。手をとめ1~2分でいいので、子どもとの触れ合いの時間を取ってから用事をするようにしましょう。

 

・時間がある時の触れ合い方

...絵本を読んだり、じゃれつき遊びをする

触れ合うための時間がたっぷり取れる時は、くすぐりっこなどのじゃれつき遊びをする、膝の上にのせて絵本を読む、子どもとお風呂でのんびり過ごすなどのコミュニケーションを。子どもと一緒に家事をして、「ありがとう!」と頭をなでたり、「できた!」とハイタッチするのもお勧めです。

 

【著者紹介】

山口 創(やまぐち・はじめ) 桜美林大学リベラルアーツ学群教授。1967年生まれ。早稲田大学大学院人間科学研究科博士諌程修了。臨床先達心理士。専門は身体心理学・健康心理学。スキンシップについての研究を行なう。著書は「幸せになる脳はだっこで育つ。」(廣済堂出版)他多数。

 


 

のびのび子育て

 

「PHPのびのび子育て」は未来を担う子どもたちの健全な成長と幸せを願って、発刊している月刊誌。2015年6月号の特集は<「抱っこ」するといい性格に育つ>です。

 

年間購読のご案内

「子どもをつれて買い物に行くのは大変…」「ついつい、買い忘れてしまう」 そんなあなたにおすすめしたいのが、年間購読。毎月ご自宅へお届けします。送料無料。

年間購読のお手続きはこちらからどうぞ