子どもにとって「甘え」は、自分の人生を切り開いていくための燃料です。しっかり受けとめ、成長をやさしく見守りましょう。

 

親子

 

 

7秒間、抱きしめるだけでOK

 

「甘え」というと、どうしても「弱い」イメージを抱きがちで、甘えさせるとわがままになるのではないか、自立できなくなるのではないかと、不安を抱くお母さんも多いのではないでしょうか。でも、心配いりません。甘えは、「何かに挑戦しよう」「一歩前に踏み出したい」というときに出るものだからです。

 

私たち大人も、家事や仕事をがんばった後、「自分へのごほうび」と言って、好きなものを食べたり、ほしかったものを買ったりしますよね。あれが、甘えです。そしてその後、「よし、これでまたがんばれる」と気合が入る。つまり、甘えは、がんばるための燃料なのです。

 

子どもの場合も、新しいことにチャレンジするとき、たとえば幼稚園でみんなの輪の中に入っていきたいけど仲よくしてもらえるかな、というときなどに、急にお母さんと手をつなぎたがったりします。一歩前に踏み出したいけど不安だから、お母さんに甘えて安心したい、お母さんのところでパワーチャージしたい、ということなのです。

 

ですから、子どもが甘えてきたら、それは成長しようとしているサイン。十分、甘えさせてあげましょう。

 

甘えの出方は子どもによって、また年齢によってもさまざまですが、6歳くらいまではスキンシップを求める子が多いです。子どもが甘えてきたら、ぎゅーっと抱きしめてあげてください。たった7秒抱きしめるだけで、愛情ホルモンとも呼ばれるオキシトシンが出ると言われており、元気がわいてくるはずです。

 

甘えさせることで育つ7つの力

 

親が「甘え」を受けとめることで、子どもが自信をもって人生を歩むために必要な7つの力が育まれます。

 

【1】挑戦力

好奇心が育ち、チャレンジ精神のある子に

初めてのものを見たり、新しい場所に出ていったりすると、子どもは「おもしろそう、やってみたい、新しいことに挑戦したい」と思います。でも、1人では不安で、その状態を楽しむことができません。でも、お母さんが側にいてくれれば、不安が「楽しみたい」というワクワク感、つまり好奇心に切り替えられて、「挑戦する力」が育ちます。

初めての場で手をつなぎたがったり、お母さんの陰に隠れたりしたときは、挑戦したいサインなのだと受けとめ、優しくフォローしましょう。

 

【2】行動力

やる気をキープし、前向きな気持ちをもてる子に

「新しいことにチャレンジしてみよう!」という気持ちになっても、いざとなると一歩を踏み出す勇気がまだない。そんなとき、お母さんに甘えてエネルギーチャージができると、「よし、やろう!」と前に進んで、行動に移せるようになります。

お母さんと手をつなぎたがるなどスキンシップを求めるケースが多いのですが、文句を言ったり駄々をこねるなど、あまのじゃく的な態度をとることもあります。困った行動が甘えのサインではないか注意して、子どもを見てください。

 

【3】集中力

強い探究心が生まれ、じっくり取り組める子に

たとえば、砂遊びに夢中になっているかと思うと、ふと気づいてお母さんのところに戻り、しばらくするとまた砂場に戻る、というような形で甘えが出るときは、集中力が伸びている証拠です。

目の前のことをもっとわかりたい、理解したいという探究心が芽生え、ぐーっと集中するのですが、やがてエネルギー切れになって、お母さんのところに戻るのです。親の元で燃料補給をし、またやってみる......をくり返しながら、集中力が育っていきます。

 

【4】自立力

自分のことは自分ででき、1人でがんばれる子に

保育園や幼稚園に通い始めると、大好きなお母さんと離れ、1人でやらなければいけないことも増えます。子どもなりに、必死に我慢し、ぎりぎりのところでがんばっているのです。だから家に帰ると、お母さんにまとわりついたり、話をしたがります。

甘えることでパワーを補給するとともに、「お母さんは僕(私)のことが好き?」と愛情確認をしているのです。自分は愛されていると実感できれば「1人でも大丈夫。がんばれる」と思え、自立心が伸びていきます。

 

【5】忍耐力

最後まであきらめず、へこたれない子に

新しいことに挑戦しようと行動を起こすと、壁にぶつかります。でも、なんとかしてこの壁を乗り越えたい、そのためにお母さんに勇気をもらいたい、助けてもらいたいと思ったときに甘えが出ます。とくに、幼児期は、友だち関係でトラブルが起きたときに甘えてくることが多く、スキンシップを求めてきます。

友だちと仲良くしたい、がんばってトラブルを解決したいと努力する力、困難に耐える力が育つチャンス。しっかり抱きしめてあげましょう。

 

【6】共感力

周りのことを思いやれる、やさしい子に

友だちと仲良くなれた、できなかった逆上がりができるようになったなど、何か1つ壁を乗り越えると、他人に対してやさしくしよう、という気持ちが芽生えます。そして、4歳くらいから、壁にぶち当たっている人に対して「がんばって!」と応援できるようになります。それは共感力が育ち、人の気持ちがわかるようになっている証拠です。

こうした共感力は、自分が壁にぶつかって困ったときに、お母さんに甘えて、助けてもらった経験があってこそ育ちます。やさしくされた子は、やさしくできるのです。

 

【7】自己肯定力

自信がもて、自分自身で人生を切り開いていける子に

「自分は自分らしくいていいんだ」という自己肯定感が高いと、自分に自信をもって人生を切り開いていくことができます。失敗を恐れずに挑戦し、そこで失敗をしたとしてもへこたれず、また挑戦しようとします。

自分らしく生きていくために必要な、この自己肯定感は、「未熟な自分」を認め、受け入れてこそ育まれるもの。それには、できる・できないに関係なく無条件に自分のことを愛してくれ、甘えさせてくれるお母さんの存在が必要なのです。

 

子どもが甘えやすい親でいるために大切なこと

 

ともすると、子どもの「甘え」を見逃してしまいがち。子どもの成長をサポートできる親でいるために、心がけてほしいことがあります。

 

・日頃から子どもをよく観察する

子どもの甘えの形は、言葉にしろ行動にしろ、ワンパターンであることがほとんど。同じことを言ったり、同じことをくり返したりするのも、甘えが出ている証拠です。

たとえば、同じ洋服ばかり着たがる、お気に入りのタオルやシーツがあって手放さない、というのも甘えのサイン。成長しようとしているときは新しい刺激を嫌うので、「いつもと同じこと、もの」にこだわって、刺激をシャットアウトしようとするのです。

こうしたサインを見逃さないように、またそれが何の甘えのサインなのかを見極めるためにも、日頃から子どもをよく観察しましょう。成長するにつれサインがわかりにくくなりますが、お母さんに観察力があれば、必ず見つけられます。

 

・子どもが甘えたいときに甘えさせる

子どもが甘えてくる時間は、子どもによって違います。朝だったり夜だったり、保育園や幼稚園から帰ってきたときなど、いろいろです。とにかく、子どもがスキンシップをとりたがったり、よく話しかけてくる時間があると思うのですが、それが甘えさせるベストタイミング。このとき、できれば10分ほど子どもとしっかり向き合って、たっぷり甘えさせてあげましょう。子どもが甘えたいときに甘えさせることが一番大事です。

たとえば、夕食の支度をしているときに甘えてきたら、食事を少し遅らせてでも話を聞いたり、子どもと触れ合う時間を取りましょう。そしてその時間は、「そうだね」と、子どもの言うこと、やることをただ受けとめることが大切です。

 

【著者紹介】

竹内エリカ(一般財団法人 日本キッズコーチング協会理事長)

幼児教育者。お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了。20年以上にわたり、子どもの心理、教育、育成について研究。2児の母。著書に、『男の子の一生を決める 0歳から6歳までの育て方』(KADOKAWA)など多数。

 

 


 

 

『のびのび子育て』 2月号より

 

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本記事は、のびのび子育て2018年2月号特集「1日7秒、本気で抱きしめよう 甘えさせるほど「いい性格」に育つ!」より、一部を抜粋編集したものです。