英語が苦手な親が、英語が得意な子を育てるための「4つの要素」

船津洋(児童英語研究所代表取締役所長)
2023.10.11 11:15 2023.02.01 19:20

韻を踏むマザーグースなどもおすすめ

「家庭内英会話」と並んで、英語の入力として必要なものが「歌」の存在です。特に「マザーグース」には幼児期の英語教育には欠かすことのできない要素である「押韻(ライミング)」がふんだんに含まれているのでオススメです。

さらに、幼児の言語獲得期になくてはならないものが「絵本」。色、形、数、さらには文字、曜日、月、季節、天候などなど、生活に必要かつ日常会話に密着したさまざまな概念の入力には絵本がピッタリです。

同じく幼児から小学生まで情報の入力に威力を発揮するのが、「フラッシュカード」による単語の入力です。このフラッシュカードは、「語彙」をダイレクトに入力できるのがメリットです。

基本の「家庭内英会話」を中心に、押韻の「歌」、基礎概念の「絵本」、仮語彙の「単語」、以上の4つの要素をまんべんなく入力できるように環境を整えましょう。

ここで注意したいのは、音声教材を基本とすることです。

アニメなどの視覚情報は、音声のみの教材に比べてなかなか聞き流すことができません。

楽しむ分にはまったく問題はありませんが、映像には、繰り返すと飽きてしまいがちなこと、映像で伝わるので音声の情報が少なくなること、さらにはビジュアルでわかるために言語情報自体が断片的になるというデメリットがあります。

あくまでもインプットは音声教材を中心に進めましょう。

かけ流しに最適な音声教材や、小学校の低学年、小学校の中高学年、中学生以降と、それぞれの年齢に適した入力の方法などは拙著『10万組の親子が学んだ 子どもの英語「超効率」勉強法』にもまとめていますので、ご参考にしていただければと思います。

インプットにおけるNGな行為は?

音声の入力に関して、3つの注意点を述べておきます。

第一に、反応を求めないことです。英語の音声を子どもが喜んで聞くことはまれです。あくまでBGMとしてかけ流すことで、英語を単語単位で聞き取る「リズム回路」を身につけさせるのが目的です。子どもが喜ぶことが目的ではないので、気をつけましょう。

第二に、学習効果を求める余り、 子どもにリピートさせる親御さんもいますが、これもよくありません。繰り返しますが、「入力」されればよいので、この段階で「出力」する必要はないのです。

もちろん、子どもが聞いた内容を自然と口にするのは構いませんが、リピートなど出力させることによって、自然な獲得ではなく「お勉強」という意識が働いてしまうことになりかねません。また、母親の間違った英語音声が入力されてしまう可能性も考えられます。

最後に、これは重要ですが、日本語を入れないことです。たとえば、’strawberry’という音声を、まずはかけ流しで入力します。あとはフラッシュカードで ‘いちご’の絵を見せれば、それで、’strawberry’の「語彙化」は完了です。これ以上は何も必要ありません。

しかし、間接法的な学校教育に慣れきってしまっている大人の感覚だと、どうしても「’strawberry’はいちごよ」と日本語を添えたくなってしまうのです。

赤い三角錐状の果物の絵に ‘strawberry’という音が対応するのが英語の回路です。そこに日本語が入る余地など本来ないのです。「英語は英語で」という「直接法」の入力が望ましいので、日本語を差し込むのは控えることにしましょう。

ちなみに、子どもから「どういう意味?」と聞かれても「さぁ」と答えておけば結構です。「ママにはよくわからない。どういう意味だろうねぇ」と答えておくことで、英単語を一度和訳するのでは無く、日本語と同じように直感的に「語彙化」させることがと答えておくことで、母語と同じように英単語を自然と「語彙化」させることが可能となります。

また、日本語の発達を促す「日本語の入力」のためにも、両親もしくは片方の親は日本語で話しかけるのがいいでしょう。しっかりと日本語教育を行い、その上で英語教育を行うことでバランスの良いバイリンガルに育ちます。

このほか、小学校の低学年、小学校の中高学年、中学生以降と、それぞれの年齢に適した入力の方法などは拙著にまとめています。

アウトプットを求めていきなり英会話スクールなどに通うのではなく、まずは家庭で贅沢な英語のシャワーを浴びさせ、良質で大量のインプットを与えてあげてください。

10万組の親子が学んだ 子どもの英語「超効率」勉強法
10万組の親子が学んだ 子どもの英語「超効率」勉強法(かんき出版)

船津洋

船津洋

1965年生まれ。東京都出身。株式会社児童英語研究所代表取締役所長。上智大学外国語学部英語学科卒業(言語学専攻)。右脳教育の第一人者・七田眞氏に師事し、同氏が設立した児童英語研究所に入社。以来30年以上にわたり、幼児教室や通信教育などの教務を通じて子どもの英語教育と発達研究に携わる。特に、自身が開発した「パルキッズ」は音声を入り口にした英語インプット教材として、6万本を超えるヒット商品となった。
著書に10万部超えのベストセラーとなった『たった「80単語」!読むだけで「英語脳」になる本』(三笠書房)のほか、『どんな子でもバイリンガルに育つ魔法のメソッド』(総合法令出版)、『ローマ字で読むな!』『英語の絶対音感トレーニング』(以上フォレスト出版)など多数。