東大生の8割がリビングで勉強する「納得の理由」

米田まりな(整理収納アドバイザー)
2023.10.11 11:57 2023.02.07 19:57

デフォルトは「机上にモノを置かない」

東大生の8割がリビングで勉強する「納得の理由」の画像3

自宅だと仕事や勉強に集中できないという人は多いと思います。

本格的に在宅勤務を導入している人だと、自宅で7時間程度(長い人だと12時間以上)ずっと集中し続けることになります。

オフィス勤務の場合は、デスク・会議室・休憩スペースなど、複数のワーキングスペースを使い分けることで気分転換できますが、自宅だとそうはいきません。

誰からも話しかけられることもないし、目に入ってくる景色も基本的に一緒。オフィスと同じように集中したり、気分転換するにも限界があります。

自宅でもメリハリをつけて作業するためには、「変化」が必要です。そこで、小さな「模様替え」をしてはどうでしょうか?

つまり、作業内容に応じて環境を変えてみるのです。

経理処理や何かを書き写すなど集中して作業をしたいときは、視界に入るモノをゼロにすること。 机の上のモノは限りなく排除し、椅子の周りの床も片づけて、自由に椅子を動かせるスペースを確保しましょう。机の上がゼロの状態を「デフォルト」にしておくことが何より重要です。

一方、企画書作成や新規アイディアのブレストといったアウトプット作業のときは、意図的にモノを置いて散らかします。関連する本や、リラックスグッズ・人形など「適度な異物」を視界に入れて、発想を活性化させましょう。

ミネソタ大学のキャスリーン・ヴォース教授も、「散らかったデスクこそが創造力を搔き立てる」という研究結果(※)を発表しています。

集中力と創造力は、相反する部分があります。1つのことに集中することで作業効率は上がりますが、複数のことに漫然と思いを巡らせているときのほうが、じつは新しいひらめきが生まれやすいのです。ポイントは、散らかりが「恣意的(意図的)」であることです。

私は雑貨屋さんのヴィレッジヴァンガードが好きでよく訪れます。一見混沌としているように見える店内でも、お店のレイアウトやセレクトされたアイテムは、お客様が楽しめるように考えて配置されています。

デスクも同じです。アイディアが湧き出てくるような洋書やパンフレットが並んでいる状態と、やり残したタスクを連想させる書類が積み重なった状態では、心地よさは天と地ほど異なります。あえて前者のアイテムを配置するのです。心地よい混沌は、意図的につくります。

机の上がゼロの状態をデフォルトにしておけば、クリエイティブモードに入るときだけ必要なモノを意図的に配置し、集中したいときはモノを片づけるだけでOKです。

作業に集中するのも、クリエイティブなアイディアを練るのも、両方同じ自宅のデスクで実現できれば好都合です。まずはデフォルトをゼロにし、混沌をコントロールしていきましょう。

 

参考:「A messy desk encourages a creative mind, study finds」American psychological association・October 2013, Vol 44, No.9

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米田まりな

米田まりな

2014年に東京大学経済学部卒業後、住友商事に入社し、Eコマース領域の事業投資を担当。18年より株式会社サマリーに出向、収納サービス「サマリーポケット」の運営に従事する。現在は大手不動産デベロッパーで働く傍ら、 プライベートで整理収納アドバイザー(1級)の資格を活かし、副業としてイベントや雑誌監修、記事執筆など多方面で活躍中。作家・デザイナー・起業家から一般の家庭まで幅広い層に向けて片づけのコンサルティングも行なっている。